黒谷さん(金戒光明寺)の前で
–チューンド911とフルカスタムカワサキZ2–
カワサキ空冷Zという概念範疇があるように,自動車には,空冷ポルシェという概念範疇がある。空冷のPorsche,すなわち空冷911だが,これを真のポルシェと称し,他はポルシェではない,とか,水冷化されたポルシェは水物だ,などというファナティックな論調もある。
各人の勝手な論調や視座はさておき,空冷911に独特の魅力があるのは事実である。エンジンをリアアクスルの後ろに置くという,自動車工学的見地からすると,極めて運動性能の悪い車両が,ポルシェ本社の技術力と努力と,そして,ボディに対するオーバーパワーなエンジンのおかげで,とても面白い乗り物になっているからだ。
このリアエンジンの911は,コーナーリングでアクセルを離すと,ノーズがインに入っていくオーバーステアになる。一般的なFFやFRのアンダーステアとは全く異なる挙動を示すのである。
そして,空冷911のエンジンはバサバサという,金属的で戦闘的な迫力ある,独特の音を発するのだが,これが,攻撃的でポジティブな気分をかもしだすリズムになり,ドライバーを駆り立てる。(近年の水冷911は,空冷時代と似たような音を発するけれども,それは笛としてのマフラーで作成されているような,いわば「造られた音」である。)
背後から聞こえるその音に駆り立てられながら,コーナー直前でフルブレーキング,前輪に荷重をかけながら,ノーズをアクセルオフでインに向けて,コーナーに突入する。テールを滑らせながら回転し,立ち上がりでは後輪のグリップを得て,軽いノーズを上げてコーナーを脱出していく。太鼓と銅鑼でジャーン!ってな調子だ。
とにかく,走り方に独特のクセがある上に,音が人をその気にさせる。非常に個性が強い車なので,一度その魅力に取り付かれると,離れられなくなる。
しかし,RRの宿命で,いったん滑り出すと,すべては一瞬のできごととなり,瞬間技で修正しなくてはならず,これはそれなりの反射神経が要求される。非常に難しい,一種の曲芸の達人技なので,911乗りは尊敬される(?)。
空冷Z好きで,空冷911好きという人は多いらしい。最近,空冷911の中古車価格もこなれてきたから,一台,どうです?
京都コンピュータ学院自動車制御学科では,ポルシェも研究対象にするのだと言い張っているのだが,あまり賛同は得られていない。どなたかポルシェ好きの人,入学して,授業開講のリクエストをして欲しいのですけど・・。15名,と思ってたら30名でした。30名,集まると開講できるんですけど・・・。皆でポルシェのレーサーを製作して,草レースにエントリーするなんて,楽しい授業だと思いませんか?