カワサキZ2とD1

 30年余を経た現在,カワサキZファミリーの中古車の中で,Z2は価格が高騰している。世界中で販売され,良く知られているZ1に対して,国内マーケットでしか発売されなかったZ2が,空冷Zの中で世界一高値となっているのである。人気が高いことと生産台数が少ないからである。しかし,そのZ2に対して,それより生産台数の少ないZ750D1は,どういうわけか,マーケットプライスが低い。

 国内で販売された空冷Zのうち,Z750D1が,いわゆる丸Z(タンクがティアドロップ型)の最終完成形であり,最小生産台数なのである。キャスター角が変更され,リアブレーキのディスク化されるなどして,性能はZ2よりは格段に向上している。タンクに流れるような金色のラインも,以前のデザインよりはずっと洗練されている。
 Zの国内向けで, Z750D1は,Z750FXD3に次いで,生産台数が少ない。火の玉Z2よりも少ないのである。そして,Z2仕様に改造されたり,エンジンを抜き取り廃車されたりして,確実に減少率が高い(車両の残存率が低い)のも,このZ750D1であろう。

 免許制度が改正され中型二輪という免許ができて,大型二輪が一部の特権階級のものとなった頃,その免許を持ち,さらにはカワサキの「新車」で最大排気量のナナハン,すなわちZ750Fourに乗っているということが,どれほどの羨望の的であったか。Z2が新車で購入できた頃は,誰でも二輪免許を取れば,簡単にナナハンに乗れたのである。その時代を切り取ってみると,Z2が衝撃のデビューをしたときから数年後,D1にはD1の輝いたときが確実にあった。D1のリアルタイムを知っている人達は,D1が新車で並んでいたとき,すでに中古車しかないZ2と比べて,どちらを欲しがっただろうか。多くの人は,新車を欲しがったと思う。その頃は,ゼッツーというよりも,Zナナハンフォアと言うほうが,「新しい」のであった。
 もちろんZ2の神話は残っていたし,Z2のサイドカバーのデザインほうが好きだという友人もいた。そして我々は,「両方が新車で売りに出ていたら,どちらを選ぶか」と言う議論をしたものだった。一方は,サイドカバーのデザインで選び,他方は,リアディスクという性能と,流れる金色ラインのタンクでそれを選び,それぞれ,賞賛していた。

 Z1/Z2を信奉するあまりに,丸Zの最終完成形であるZ750D1を軽んじるという最近の傾向は,歴史と本質を知らないという他ない。D1をしてZ2だと言い張るような愚論はそろそろ終えるべきであろう。いわゆる丸Zの中で,性能・デザインともに最も優れており,Zファミリーの中では生産台数が極めて少ない,Z750D1のオーナーには,もっと誇りを感じてもらいたいと思う。

 カワサキZ2に,それを礼賛する意味と価値があるように,カワサキZ750A4,Z750A5,Z750D1などの「Four」のそれぞれにも,また異なる意味と価値があるのだ。大型二輪免許を持っていて,ナナハンフォアに乗っているというのが,そのときは,最も輝いていたと記憶している。

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,のカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科
KCG レーシング
日本最初の自動車制御学科
京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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