内定取り消し問題に関して

内定取り消しが増加し,あちこちの大学で問題になっている。一般の大学では,就職活動をする時期や内定の出る時期が一定で,時期を逃すとほとんど就職の機会がなくなるからだ。

KCGでも,過去に内定取り消しは何度かあったが,問題化したことがない。IT系は,企業からの求人が時期を問わず,年がら年中,多数寄せられるので,ある企業の内定が取り消されたところで,別の同ランクの企業に即座に就職できるからだ。
一例として,東京のあるソフト会社で,親会社の業績悪化により業務継続が不可能になり,内定が取り消されたという例を示そう。夏頃にその会社に内定していた3名の学生が内定取り消しを喰らって青くなっていたが,その後,それぞれ他の会社に応募して,1~2ヶ月で同等かそれ以上の会社に内定した。
そのように,KCGの場合,基本的に,そのレベルの企業の内定をゲットできる学生ならば,卒業式を過ぎても,同等の条件で就職している。

求人の数も,一般の私立文系とは比較にならないくらい多い。私立文系では,大学に寄せられる総求人数が,卒業生の数に達しないところも多々ある。KCGでは,景気動向によって変動するとしても,卒業生1人に対して,50社~80社くらいからの求人が寄せられる。単純計算では,一人で数十社を選べるというわけだ。(勉強せず努力せずして就職できるというわけではない。念のため。)

文系大学卒や高卒で,企業の終身雇用の対象となり,時期を同じくして採用され,定年までの間の人員確保の対象となり,ある会社に一生勤め上げる,という生き方が,一般の就職という概念である。それはそれで日本的な美徳であるし,否定する根拠はない。

しかし他方,IT系,ソフト会社,コンピュータ関係というのは,昔から転職がいわば当たり前の業界であり,スキルアップや待遇の向上のために,割と気軽に転職する。会社経営側から見ると,あまりありがたい話ではないにしても,働くビジネスマンは,転職を機になんらかの好転を結果するのが多数派だろう。

そういうところを考えてみると,IT系というのは実に時代の先端を行っているといえるのかもしれない。

自動車産業では,生産台数の縮小から,F1やWRCから撤退したという,マニアには面白くない話まで,様々に不況の影響が語られているが,生産台数が減少しても,車載ソフトウェアの開発業務の数は減らない。開発車種が減るともちろん仕事も減るが,ソフトウェアは定期的なバージョンアップが必至だから,就労者数の変動はさほど多くは無いだろう。また,業務量を変動させると,会社側は,開発の仕事はできなくなるので,極力変動をなくす方向への力学が働く。

こういった量的な変化と質的な変化を見極める必要があるのだが,マスコミの各種報道の説明不足で,自動車ITの開発も同様に極端に減少しているような誤解を招いているのではないだろうか。自動車産業が不況になって大変だが,自動車関係のIT開発要員の需要は,まだまだ増えるし,いまこそ,自動車制御の第一世代なのだから,生涯その業界で生きていくために,その職を目指してほしいと思う。今,この業界に入っておくと,将来絶対得する筈だ。

エコ(古い言い方で省エネ)とか,環境問題に対応していくためにも,CarITの開発業務は,人類にとって最大の課題である。
そして,自動車やバイクの本当の素晴らしさがわかる人にこそ,その業界のIT部門で先頭に立ってもらいたい。特に,空冷カワサキを理解できる若人たちにそれを期待している。

化石燃料で走るバイクがこの世から消えたとしても,動力が電気や水素になったとしても,カワサキZ1,Z2のような名車を創出してもらいたいものだ。

全国のライダーの受験生,学生,若人たちよ,自動車制御学科に集まってほしい。(絶対,面白いぞ。)

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