Kawasaki Z750FX
カワサキZ750FX
発売年 1979年
いわばマーク2の国内向けで,Z2と同様に,輸出モデルを国内向けにアレンジしたものであり,D2とD3の二種類がある。いずれもZ1に対するZ2ほど類似しているわけではない。
KZ750D2(Z750FX) 1979年(1月~8月)
車台番号 KZ750D-003901~(運輸省認可型式はKZ750D)
エンジン番号 Z2E024801~
(総生産台数 2185台)
*エンジンの外観はZ1000Mk.IIと同様だが,クランクケースは旧来のZ2系とほぼ同じである。
KZ750D3(Z750FX) 1979年10月~1980年4月
車台番号 KZ750D-006301~(運輸省認可型式はKZ750D)
エンジン番号 Z2E-27201~
(総生産台数 850台)
*D2と大差はないが,クランクケースが改良されており,Z1000Mk.IIと同じものになっている。つまり,エンジンはZ1000Mk.IIのボアダウン仕様である。外観では,ヘッドライト下にKAWASAKIのロゴの入ったオーナメントが付くといった程度の変化が見られる。
D2とD3でエンジンが異なる。前期のD2のエンジンはそれまでのZ2エンジンが基本であり,カムカバーなどが角型になっているだけで,中身はあまり変化はない。一方,後期のD3はエンジンがMk.IIと同じZ系最強のクランクケースとなっており,クランクとカムのチェーンコマ数や歯数の異なるものである。また,D2,D3ともに,マフラーがZ1000Mk.IIとは異なり,750cc用の専用設計となっている。
国内向けの750は,輸出仕様のパーツを少数生産の国内向けに使用してボアダウンバージョンを生産していたのであるが,この750FXを最後に,カワサキフラッグシップのボアダウンバージョンは国内で販売されなくなった。類似名称でZ750FXのIIやIIIがあるが,それらは,最後にはゼファー750に至るZ650ベースのザッパーエンジンであり,フレームも全く異なるものである。
モリワキがこれをベースにモリワキモンスターと呼ばれるレース車を作成したこともあって,人気も高い。同時期には,400ccで4気筒のZ400FXが人気を博した。エフエックス,あるいはフェックスと呼ばれたりする。
このころ,街ではよく空冷カワサキ4気筒の集合管サウンドが聞こえたものだった。それが750であろうと400であろうと,空冷カワサキ+ヨシムラやモリワキの集合管の音は,なによりも心に響いたものだ。それはスズキやヤマハよりも重厚で,ホンダよりも乾いた音であり,カワサキの音だということが遠くでもわかった。水冷エンジンはなかったので,ことさら空冷などと言うことはなかったが,カワサキが集合管の音は独特の魅力を感じたものだった。