多くの私立大学がデリバティブで損

ずいぶんと多くの私立大学がデリバティブで損しているようだ。
表面化しているだけで69法人ということは,実際にはもっとあるのだろう。文科省が経営指導に入るというが,では今までいったい何をしてたんですかと聞きたいもんだ。

不愉快なのは,その損金の中に,我々の支払った税金が,いくらかは含まれるということである。国庫補助という形で流れている国民の税金,どこかの私立大学で教育や研究に,有用に使われているなら納得できるが,こういうギャンブルまがいの投機に使われて,しかもスッてしまわれると,スッた分くらいは返してくれと言いたくなる。

堅実なKCGは(貧乏なので?)投資していないのだが,KCGに来ている学生さんの親たちも,税金を支払っているのだし,働いている我々も支払っている。それが回り回って,どこかの大学の補助金になって,そしてそれを博打でスッたと言われると・・・。(怒)

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朝日新聞
http://www.asahi.com/business/update/0317/TKY200903170355.html
2009年3月17日22時48分
私大の13%がデリバティブ 資産運用、教育に影響も

 全国の私大・短大を運営する学校法人のうち、駒沢大学などの多額損失で問題になったデリバティブ取引を、12.8%にあたる69法人が行っていたことが分かった。日本私立学校振興・共済事業団が17日、各法人へのアンケート結果を発表した。

 資産運用で多額の損失を出す私大が出ていることから、同事業団が1月に実施。8割にあたる538法人から回答を得た。デリバティブ取引を行っていた69法人のうち39法人は、取引の目的は「(資産運用での)リスクを回避するため」としたが、31法人は、投機目的と見られる「それ以外」と回答した(複数回答)。

 また、デリバティブと債券を組み合わせた「仕組み債」のうち元本保証のない商品を保有していたのは、21.2%にあたる114法人だった。

 株式などを含む資産運用全体の教育・研究活動への影響として、現に11法人が「大きな支障が生じるおそれがある」、2法人が「支障が生じている」と答えた。人件費の削減にまで触れているところもあるという。

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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090317-OYT1T01150.htm
(2009年3月18日02時03分 読売新聞)

私大、金融取引で含み損…12法人「運営に影響」
 世界的な株安などにより金融取引で巨額損失を出す私立大が出る中、大学運営への支障を懸念する大学法人が全国で少なくとも12法人あることが17日わかった。

 含み損が出て売却が困難な金融商品を抱えていたり、デリバティブ(金融派生商品)取引の損失が膨らみ、解約資金の調達が経営を危うくしたりしている法人もあり、今年3月期決算で損失確定を迫られるところもありそうだ。

 調査は、昨年秋以降、駒沢大が154億円、南山大などを運営する南山学園が34億円など、デリバティブ取引による損失が相次いで明るみに出たため、日本私立学校振興・共済事業団(東京)が今年1月にアンケート方式で実施。大学や短大を運営する計668法人のうち、約8割の538法人から回答を得た。

 想定外の損失の出る恐れがあるデリバティブ取引を行っていたのは69法人。うち31法人は金利の変動などに備えるためではなく、投機目的だった。元本の保証されない「仕組み債」は計114法人が保有、私立大の資産運用にリスクの高い金融商品が浸透している実態が浮かび上がった。

 このため、今後5年間の法人運営に与える影響については、4法人が「大きな支障が現実に生じている」、8法人が「大きな支障が生じるおそれがある」と回答。人件費の削減や施設整備計画の見直しなど、教育研究活動への影響を懸念する法人も13あった。調査結果を踏まえ、文部科学省では「学生に影響が及ばないよう、国と事業団で連携し、経営指導にあたらなければならない」としている。

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2009年02月04日
愛知大、金融取引含み損120億 名古屋駅南進出見直し
■http://www.asahi.com/edu/news/NGY200902020012.html

 愛知大学(愛知県豊橋市)が、資産運用のために始めたデリバティブ(金融派生商品)取引で、昨年10月末時点での含み損が約120億円に達することが分かった。財務問題の責任をとる形で、経営担当の太田明副学長が辞任する意向を示した。名古屋市の笹島地区への進出計画も見直す方向だ。

愛知大の複数の幹部によると、損失が出ているのは「通貨スワップ」と呼ばれる取引。多くは円安になると利益が出る仕組みだった。しかし、金融不安の影響による米ドルの下落などから含み損が発生。昨年10月末時点で計19本の取引を試算すると計120億円に達するという。

 そのうち1本について、昨年11月に解約を決め、28億円の損失を確定させた。残りの取引については扱いを検討している。いまのところ「一気に解約すれば、大学の経営に響きかねない。数本は処理するにしても、大半は時間をかけて処理するしかない」(幹部)と判断している。

 このため、資金運用などを担当している太田副学長がけじめをつける形で辞意を示し、認められる方向だ。

 再開発事業が進む名古屋駅南側の「ささしまライブ24地区」への進出計画についても、見直す方向で名古屋市とも話している。

 当初の計画では新学部のほか、同県三好町の名古屋校舎の学部や、豊橋校舎の一部の学部を移し、約290億円を投じて23階建てと11階建ての校舎などを建設するとしていた。しかし、「少なくとも、一部の階数を減らすなど規模を縮小させる方針」(幹部)という。12年の開校予定も、内部には時期の延期を探る声がある。

 また、豊橋校舎で二つの新学部を10~12年度をメドに設けるとしてきたが、食や農を扱う構想の文理融合型の新学部について、棚上げする方針を決めた。ある幹部は「財務の先行きが不透明な中で、計画通り進めるのは難しい」としている。

 愛知大の08年3月末の総資産は約545億円。

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西日本新聞
2009年1月19日 20:10
大阪産業大が含み損60億円 「経営に影響ない」
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/72018

 大阪産業大(大阪府大東市)は19日、資産運用を目的とした金融取引で、昨年末時点で約60億円の含み損を抱えていることを明らかにした。

 大産大は「長期保有を目的として資産運用しており、一時的な含み損。学校経営に影響はない」としている。

 大学によると、国内の証券会社を通じ、総額約300億円を国債や地方債のほか、債券にデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ仕組み債で運用している。昨年3月末時点では約43億円の含み損だったが、金融危機や円高で含み損が拡大したという。

 財務担当の笠原伸和常務理事は「今後はリスクの大きい金融商品への投資は抑えたい」と話している。

 大産大の系列校には昨年、夏の全国高校野球選手権大会を制した大阪桐蔭高校などがある。

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東洋経済
仕組み債、デリバティブ投資で多額の含み損! 大阪産業大学の杜撰な資産運用(1) – 09/01/22 | 12:30
http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/b4eefbb3c113ecefd02fc268c23482d0/

 大学生だけで約1万人、傘下の中学、高校や大学院を含めると約1万3000人の学生を擁する「学校法人大阪産業大学」(以下、大産大。古谷七五三(ふるたにしめじ)次理事長)が、仕組み債の運用やデリバティブ取引の失敗で多額の損失を抱えていることが、週刊東洋経済の取材で明らかになった。

 大産大で資産運用の総責任者を務める森山信一副理事長(大阪桐蔭高校および大阪桐蔭中学校の校長を兼務)は本誌の取材に対し、「手堅い運用をしている。多額の損失を抱えている事実はない」と言い切った。が、実態は森山副理事長の説明とは大きく異なり、学校運営の屋台骨を揺るがすものだ。

 週刊東洋経済では大産大の稟議書、仕組み債やデリバティブ取引に関する証券会社作成のセールス資料、監査法人による非公表文書など数多くの証拠資料を入手。有価証券の評価に詳しい細野祐二公認会計士に分析を依頼したところ、同会計士から「今、すべてを解約すれば、100億円近い損失が出る可能性が高い」との見解が出た。

 解約せずに取引を続けたとしても、現時点の為替水準のままで3月決算期末を迎えた場合、投資残高で100億円を上回る仕組み債の多くが5割以上の価値下落によって強制評価減(減損)を迫られる可能性が高い。その場合、2008年度決算が多額の赤字に転落し、学校法人の運営に支障を来すおそれもある。

 私立大学の資産運用では、駒澤大学が通貨スワップなどのデリバティブ取引の失敗で、154億円もの損失を計上。キャンパスの土地・建物を担保にみずほ銀行から約110億円の融資を受ける事態に陥った。そして昨年12月18日には理事長が解任された。大産大も駒大と同様に、リスクの高い仕組み債や通貨スワップに手を出しており、昨年秋以降は含み損が膨らんでいる。古谷理事長や森山副理事長らの運営責任が厳しく問われる可能性も高まっている。

野村証券が売り込んだばくちまがいの商品

 大産大は1928年に「大阪鉄道学校」として発足し、その後「学校法人大阪交通学園」へ改称。75年に「学校法人大阪産業大学」に再び改称し、現在に至る。傘下に有する大阪桐蔭高校は昨夏の全国高校野球大会で優勝を果たしている。

 ところが、関西で十指に入る規模の有力大学でありながら、資産運用はずさん極まりないものだった。

 手元に大産大の内部資料がある。08年1月28日に起案された稟議書で、件名は「資産運用(デリバティブ取引)について」。稟議書には次のような記述がされている。

 「下記内容のデリバティブ商品を08年1月24日付で野村証券大阪支店と契約を締結いたしましたので稟申します」。

 デリバティブの内容はオーストラリアドル(豪ドル)と円のキャッシュフローを交換する通貨スワップ取引で、期間は10年。1豪ドルが74円よりも円安であれば、学校法人側がキャッシュを受け取る。一方、74円より円高になると支払額が受取額を超過する。そこに3倍のレバレッジを組み込んだことから、円高が進むにつれて、支払額が急膨張していくという投機性の高い取引だ(下図参照)。

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