油磨き

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,のカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

Z750 B

Kawasaki Z750B(Twin) カワサキZ750ツイン。珍しいヨーロッパ仕様。国内仕様はこちら【Z750Twin

リアフェンダーが長く,下のほうにリフレクターがついている。リアのウインカーが後ろ寄りに装着されている。これらは法定のものなので,同時期のZ1000Mk.IIなどの欧州仕様も同じようになっている。
ホイールは,Z1000Mk.IIと同様のキャストで,フロントはWディスクである。マフラーはオリジナルではなく,左出しの集合に交換されている。

Z750 twin
Z750 ツイン

サイドカバーのZ750のエンブレムの下には,TWINというステッカーが貼られている。同時期に販売されていたZ750D-1には,FOURのステッカーが貼られていた。近年,Z750D-1のこともZ2と呼ぶ人がいるらしいが,当時は,Z2の後継機種は,「フォア」だったのである。

さて,古いツインを引っ張り出してきて磨いていた。アルミとプラスチックでできていると言って過言ではない最近のバイクや車では,おそらく誰もしていないと思われる油磨きである。知らない人のために,油磨きについて書いておく。

かつて,バイクが鉄馬とか呼ばれた時代,バイクも車も,鉄の塊であった。鉄にメッキをかけているか,塗装しているかの違いであって,鉄は鉄である。油磨きをすると,テッカーというか,ヌメーッというか,実に味わい深い輝きが出る。クロームメッキではないユニクロメッキや錫メッキなどのネジは,すぐに錆びて赤茶けてくるが,そこにも油で磨きをかけると,奥深い茶色になる。

JRが国鉄と呼ばれていた頃,そして,カワサキZ2が発売された頃,日本にはまだ蒸気機関車が走っていた。鉄(くろがね)という形容がなされるように,蒸気機関車は黒であったが,黒の塗装をされた上に,油で磨き上げるのが普通だった。筆者はその油磨きというテクニックを,子供の頃,自転車屋のオヤジに教わった。

用意するもの
・柔らかい目のグリス(昔,ガソリンスタンドで分けてくれたような,飴色の安物のグリスが良い。)
・機械油
・クレのCRCも便利である。
・スプレー式のカーワックスがあると良い。
・ボロ布

グリスを手にとって,車体のあちこちに擦り付けていく。黒に塗装されていて,錆がポツポツ浮いているところ,メッキがはげてきているところ,あちこちに塗っていく。錆びたネジやナットには,軽く赤錆を落としてから,グリスをすり込んでいく。プラスネジのプラスの溝の中や,六角ナットのワッシャとの隙間などにも。
基本は機械油で良いが,ネジの頭などには,グリスのほうが後々まで残るので防錆に良い。
グリスを機械油やCRCで薄く伸ばしながら,すり込んで,あとは綺麗になるまで布で磨く。そして,油をくれてやったメッキの部分,塗装の部分の両方に,カーワックスを塗りこんでいく。ワックスには蝋が入っているので,その蝋が油に伸ばされて,塗装やメッキに開いた小さな穴に入っていき,防錆になるのだ。ワックスを油で伸ばしても良いと思う。
但し,油脂類はゴムを侵すので,ゴムには油脂類はつけないほうが良い。CRCもゴムにはつけないように。ゴムにはシリコングリスか,クレのラバープロテクタントを塗布する。

メッキや塗装は,目に見えない小さな穴が無数に開いている。穴の中は鉄の地肌である。錆とは,その穴から生じるのである。その穴を,油と蝋で塞いでいくのである。新車時からこれをしておくと,持ちが違うようになる。

さて,そのようにして,手を油だらけにして磨き上げていくと,金属の塊は,なんとも色っぽくなってくる。鉄の塊が命を持ち始めるのだ。最近流行している粉体焼付け塗装は,焼き上がりがホーローのようになって綺麗だが,テカテカしているだけで色気がない。
油で磨き上げたウレタン塗装やメッキは,鉄の奥深い味わいがある。それこそ鉄馬の色気というものであって,無機物であるはずの乗り物が,息吹を持つ所以である。

最近,ヤレた色,経年劣化した風合いを尊ぶ人が増えてきた。そういった鉄の塊のような旧車をお持ちの諸兄は,赤錆をそのままにしておかず,ぜひ油で愛車を磨き上げていただきたい。そういったメンテナンスの仕方こそが,70年代なのである。

京都コンピュータ学院自動車制御学科

京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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