愛のために自分を犠牲する人がいれば、
自分のために愛を犠牲する人もいます。
そして、愛のために人が犠牲させられることがあれば、
人のために、愛が犠牲させられることもあります。
一般的に、自分以外の存在のために自己犠牲する人は崇高であるとされています。
が、他人の意思を無視して、他人を犠牲にするのは下劣であるとされてしまいます。
今回の愛しき人は、
マクシミリアン殿下を愛するセルベリアちゃんと、
アリシアを愛していたファルディオですね。
その対比も、かなりはっきりしています。
さて、第20話の「愛しき人」です。
まず、戦場のヴァルキュリアの公式サイトのあらすじから:
http://www.valkyria-anime.com/oa/index.html
第二十章「愛しき人」
第7小隊の活躍により、劣勢になりつつある帝国軍。
マクシミリアンは本国から指揮権の剥奪を言い渡され、ガリアに総力戦を挑んできた。
決戦地ナジアル平原で、士気も高く戦地に立つ第1小隊に、対するはマクシミリアンが指揮する大型戦車ゲルビル。
激戦の中、蒼いオーラに全身を包み、巨大な槍と盾を手にしたセルベリアが、ファルディオたちの目前に立ちはだかる。
そして、ダモン将軍の意向により後方支援を命じられた第7小隊や、兵士を鼓舞するため戦地を訪れていたコーデリア姫の元に、衝撃が走った……。
20話のあらすじ:
- 書庫の中、アリシアのことを思い浮かびながら考えことをしているファルディオ。外を見ると、そこにはすっかり元気になったアリシアが居た。
- 一転、帝国軍の要塞の中、ガリアへの侵攻指揮権が剥奪されそうなことを、マクシミリアン殿下からセルベリアちゃんとイェーガーに伝える。
- 回想の中では、ガリアよりも連邦との戦いを重視する帝国皇帝の言葉と、帝国皇太子の皮肉の言葉が述べられる。
- 苦況の中、マクシミリアン殿下はセルベリアちゃんのヴァルキュリア人パワーを活用することを決意する。
- 憂鬱な顔で歩いているラマールは、エーデルワイズ号を整備しているザカを見かける。ザカがエーデルワイズ号を褒めると、ラマールは怒り去る。そこに、すっかり爽やかに成ったウェルキンが現れ、同情。
- 食堂に落ち込んでいるラマールの前に、ファルディオが考えことをしていた。自分と同じく悩み、落ち込むことがあることを知り、かつファルディオに激励され、ラマールは少し気が晴れる。
- 帝国要塞の前、全兵力を集めた帝国軍は、セルベリアちゃんの号令で出撃。セルベリアちゃんはマクシミリアンのために尽くすことを心の中で誓う。
- イェーガーの戦車、ケーニヒヴォルフの中で、セルベリアちゃん付きの下士官なはずのカールが居た。イェーガーと今回の戦略について語る。総力戦を挑むようだ。総力戦をせざるを得ないマクシミリアンの立場の危うさに、イェーガーは心配する。
- バーロット中隊長の執務室の中、義勇軍の小隊長らが集まり、軍議。中隊長による現状の説明の後、激戦に危惧する小隊長らに対し、すっかり元気になったウェルキンは、帝国軍が追い詰められていることを指摘し、ガリア軍に風が吹いていると。バーロット大尉がそれを同意すると、小隊長らは元気になった。
- 第1小隊のミーティング。ラマールが悩んでいることをからかわれると、いきなり他の第1小隊隊員らがしゃべりだす。皆仲良くわいわいと。
- ファルディオの頭の中では、現在の戦局だと、アリシアのヴァルキュリア人パワーを使わなくでもいけそう。そして第1小隊に出撃準備命令。
- 城の中、ポルグ宰相に止められるが、コーデリア姫は決戦の地ナジアルに向かい、ガリア兵に激励することを決意する。
- ナジアル会戦が始まる。第1小隊も含む義勇軍の半数は前線に出た。バーロッド中隊長は奮戦している第7小隊を前線に出すと進言したが、ダモン将軍の意向により、後方援護に回った。
- 戦いの中、マクシミリアン殿下の大型戦車、ゲルビルは前線に出る。圧倒的な火力と装甲でガリア軍を蹴散らす。
- ゲルビルを横から観測したファルディオは、主砲発射後、ラジエータ(エンジンの一部)が冷却のためにむき出しになることを気付き、むき出しになったラジエータを攻撃する作戦を考案する。
- 後方陣営の中、たまたま出会ったアリシアとウェルキンは、ヴァルキュリア人の槍と盾を持って、兵士達を激励するコーデリア姫の姿を見る。
- コーデリア姫の激励により、ガリア軍の士気は著しく向上した。
- ガリアの抵抗が強まったと感じたカール少尉は、ゲルビルの後退を進言するが、イェーガーはそれを却下する。
- 進行するゲルビルの主砲が発射した直後、ラジエータがむき出しになり、第1小隊の面々は集中攻撃。作戦は的中し、ゲルビルの進行が止まる。
- それを見て、一転攻勢に出るガリア軍。ファルディオは勝利の手応えを感じる。
- ガリア後方陣地の中、コーデリア姫、バーロット中隊長とウェルキンが面談。バーロット中隊長はコーデリア姫の勇敢さと、その効果を称え、コーデリア姫は謙遜する。
- ガリア軍の猛攻を受け、マクシミリアン殿下は伝家の宝刀を抜く。
- マクシミリアン殿下の命令を受け、セルベリアちゃんは蒼く光り、ガリア軍を蹴散らし始める。槍一振りで何台の戦車の姿が戦場から消え去る。それを見たファルディオは驚きの中、敵ヴァルキュリア人の存在を確認する。
- 再び後方陣地の中、敵ヴァルキュリア兵の存在の急報が入る。
- 塹壕の中の第1小隊隊員らは強大な敵に圧倒されていたが、ラマールの「いけます!」の一声で全員が立ち向かう気になった。
- 勇敢にも歩兵らはセルベリアちゃんの正面に砲火を集中しつつ、その隙で後から回る作戦に出たが、「小賢しい」の一言の後、セルベリアちゃんは槍で一突き。
- 危険を感じたラマールはファルディオを塹壕に押し込み、ラマールは微笑みながら、蒼い光の中で溶ける。
- 後方の陣地で、リアルティの無い前線の巨大な砂煙を見て、ガリア軍の面々は驚く。
- 完全に沈黙したガリア軍を見て、セルベリアちゃんは自陣に戻る。
- 塹壕の中で気を失っているファルディオが目覚めると、目の前は何一つ残らず、一面の荒野に成った戦場。そしてガリア軍に唯一の生存者として救出される。
- トラックの中でも、陣地で歩いていても、ウェルキンに話しかけられても、軍の高層部の前に出ても、コーデリア姫が持ってきたヴァルキュリア人の槍と盾を見ても、野営病院に衛生兵の手当てを受けても、ファルディオの目は終始うつろ状態。
- 第7小隊の面々が集まっているところ、敵ヴァルキュリア人がこっちに向かっているとの知らせが入る。
- 目がうつろでも、自力で野営病院から自分のテントに戻ったファルディオは第1小隊の集合写真を見て、先ほどの戦いの最期を思い出すが、生気が戻らず。
- そこに、アリシアが訪れ、ファルディオを慰めると、アリシアを見て、「アリシア」と呟き、蒼いセルベリアちゃんがフラッシュバック。
- ふっと、先ほど高層部のテントで見たヴァルキュリア人の槍と盾を思い出す。
- 反応の無いファルディオを見て、「いつでも力になるから」と去るアリシアに対し、ファルディオはゆらゆら立ち上がり、アリシアの笑顔を思い浮かべながら、「すまない」と。拳銃の弾で後からアリシアの左胸を貫通する。
- アリシアは崩れ落ちる、ファルディオは表情を歪ませる。
今回の話は、一言で言えば、セルベリアちゃん無双ですね。
タイトルの戦場の「ヴァルキュリア」はようやく本領発揮…じゃないでしょうか?
色々ブログを見回ると、「こんなにすごいなら、もっと早く使ったら…」の意見が多かったのですね。
しかし、最後の最後まで切らないから、切り札です。
ぉぅぇぃが思うに、ヴァルキュリア単体なら、単なる無敵の近衛兵…しかならないのですが、
「こんなスゴイの(ヴァルキュリア+槍と盾のセット)」持っていると周りにバレたら、
マクシミリアン殿下は帝国の皇帝陛下や皇太子あたりに毒殺されると思われます。
専制国家では、力を持っていることだけで、死が与えられます。
最強の槍を持つだけで、天下は取れないからね~。
それを支えるための政治力、資源、人望などがないと、
武力だけでは、出来ることは限られています。
殿下は世界の破壊を望んでいる大魔王ではなく、天下を取りたいからね。
原作では、初めてヴァルキュリアの力を体感できるのは今回のナジアル会戦ではなく、
ヴァルキュリア人の遺跡で行われたバリアスの決戦でした。
アニメほどではありませんでしたが、
こちらの攻撃をすべてゼロダメージ、セルベリアちゃんの攻撃はすべて一撃必殺、
身をもってヴァルキュリア人の恐怖を植えつけられるようなステージでした。
バリアスの決戦では、セルベリアちゃんはマクシミリアン殿下の巨大戦車・ゲルビルの保護を優先し、
こちらに積極的に攻めてくるわけではありませんので、
まあ、どうにか戦闘を乗り切った…という感じですね。
「戦場のヴァルキュリア」の時代背景は、
基本的に第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を彷彿させています。
戦略・戦術・戦法・武装も、基本的にその時代を準ずるが、
「ヴァルキュリア」という架空の存在によって、完全に別次元の戦いになります。
と言っても、「戦場」における戦いについては、
「ヴァルキュリア」という要素は基本的にそれほど大きな影響を与えていません。
敵のヴァルキュリアと正面衝突することも無かったし、
味方のヴァルキュリアを操作することも出来ません。
「ヴァルキュリア」の成分は、このゲームの戦場のわずか数パーセントしか占めていません。
では、戦場に「ヴァルキュリア」を登場させる目的はどこにあるのか?
結論から言うと、謳いたいストーリーのため…ですね。
あんまり多く触れるとネタバレに成ってしまいますので、
言及を控えますが、1人の人間ではなく、無敵の兵器として生まれ、
戦場でしか自分の存在価値を感じられないのは、やっぱり悲しいことです。
ファルディオの告白から始まるウェルキンのご乱心は、義妹の死という劇薬と、
アリシアの介護(?)によって、どうやら完全に終了されたようです。
戦略会議でも、割とまともな知見を述べました。
が、結局人間の知恵は想像外のことに対応することは困難ですので、
敵ヴァルキュリアであるセルベリアちゃん対策は、恐らく「人間」には不可能に近い。
ご乱心が終わった…ということで、
ウェルキン⇔アリシアの関係は、すっかり本来向かうべき路線に戻ったように見えます。
本来なら、「雨降って地固まる」…っと言いたいとことですが、
なぜ固まったのは、解釈に苦しみますのは残念なところ。
オリジナルキャラクターのラマールと第1小隊の面々は、
あっさりとセルベリアちゃんの力の前で、消滅されましたね。
確かに戦局的にどうにも成らなかったのですが、
壊滅的な打撃を受けてしまったのは、「小賢しい」…ということじゃないでしょうか?
しかし、「目立ち始めたらヤバイ」という法則は、多くのアニメに通用していますね。
前々回ウェルキン叩いたファルディオですが、今回は自分の采配で小隊全滅…、
という悲惨な目を合わせてる上に、アリシアを犠牲するするような下劣な行動に走った。
原作では、アリシアとファルディオはさほど接点が無かったし、
セルベリアちゃんの力を見てからかなり時間が経ち、
その間アリシアの正体(?)を知ったり、随分と悩んだようように見えますので、
この行動に走るのは、「人」として、また納得できるのですが、
アニメでは、圧倒的な敵を怯え、短絡的にアリシアを撃った…のように見えます。
結局、ファルディオも今までは偉そうなことを言うけれど、英雄ところが、普通の人すらも言えず、
ただの下劣で卑怯な臆病者…ということになってしまいました、
せめて、冷静な状態でマジメに悩んだらな…。
今まで持ち上げたのは、落とすための伏線だったでしょうか?
それならば、ウェルキンと同様、結構可哀想な扱われ方になりましたね。
このアニメでは、なんだかキャラクターの扱いがぞんざい…ですね。
肝心なところで、キャラクター達の格好いいところを見せれないのは、
キャラクターに対する愛が足りない…のような気がします。
ところで、左胸撃たれたアリシアですが、ヒロイン補正で、死ぬことは無いと思います。
まあ、ちょっとネタバレ発言に近いかもしれませんが、
例のオープニングを思い浮かべば、少しは合点できるかも?
それにしても、説明ナシにいきなり心臓を狙うのは、ちょっと…ね。
イサラはわき腹一発なのに…。
終盤に近いせいか、作画の質がかなり落ちてきているような気がします。
今回の「ナジアル会戦」は戦ヴァルの戦役の中で、
「最大級」ではなく、実質上「最大」の戦場です。
それだけに、迫力のある戦いを描ききれなかったのは、実に残念です。
ゲーム版のほうは、コレより数倍も気合が入っていました。
「アニメオープニング>ゲームの戦場ムービー>ナジアル会戦」って感じですね。
いや、戦車のほうはCGで頑張ってる…っと思いますが、キャラクター描画はちょっとヤバイ。
特にセルベリアちゃんの落差は大きいですね。
アニメ版のセルベリアちゃんの勇姿は10点満点なら、
ゲーム版のセルベリアちゃんは120点…くらい違うのですね。
いつものように、ゲーム版から流れを大きく改変されましたが、
今回はちゃんと「ナジアル会戦」を会戦らしくやっていましたので、
ぉぅぇぃ的には、コレだけで十分に満足できる回です。
残り回数は少ないのですが、難攻不落の「ギルランダイオ要塞」の要塞攻略戦や、
超巨大戦車マーモットと対峙する「乙女の盾」、
イェーガーのケーニヒヴォルフと衝突する「ヴァーゼル橋」突破戦、
最後、マーモットに乗り込むラスボス戦もやってくれたら、もう思い残すことが無いですね。
さて、次回は「はかなき絆」です。
今回の「愛しき人」は、原作と100%展開が違ったので、
どうなるかは全く読めませんが、
とりあえず、見て行きたいと思います。
誰と誰のキズナなんだろうね…。
おまけ:
*アニメの戦場のヴァルキュリアとは別物ですが、良かったら是非本家の戦場のヴァルキュリア(PS3ゲーム)のレビューも見てみてください!
*PSPお持ちの方、戦場のヴァルキュリア2・ガリア王立士官学校のまとめもどうぞ!!
*アニメ戦場のヴァルキュリア(笑)一回目から二十六回目の感想はこちら:
- 第1章「戦火の出会い」
- 第2章「コナユキソウの祈り」
- 第3章「第7小隊誕生」
- 第4章「束の間の休日」
- 第5章「クローデン奇襲戦」
- 第6章「従軍記者、奮闘す!」
- 第7章「ダルクスの災厄」
- 第8章「紐解かれる歴史」
- 第9章「蒼き魔女」
- 第10章「吹雪の夜」
- 第11章「招かれざる客達」
- 第12章「さらわれた姫君」
- 第13章「戦慄の移動要塞」
- 第14章「ファウゼンの選択」
- 第15章「歌姫の過去」
- 第16章「語られなかった想い」
- 第17章「精霊節の贈り物」
- 第18章「八月の雨」
- 第19章「涙」
- 第20話「愛しき人」
- 第21話「はかなき絆」
- 第22話「とまどい」
- 第23話「愛のかたち」
- 第23話「愛のかたち」
- 第23話「愛のかたち」
- 第24話「決意」
- 第25話「護るべきもの」
- 第26話「決戦」
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