クジラ,鯨・・

クジラ,鯨・・

イオンモールKYOTOがオープンして一ヶ月。店内には,多くの店舗が入っているが,大半は全国チェーンの専門店だ。零細規模の小売店が集積するような昔の市場ではなく,大手企業が集まって,それを一箇所に纏め上げているのも大手である。まるで巨鯨のような大手物流しか生き残れない時代だなと思っていたら,鯨の話がニュースに出ていた。しばらく考えていたのだが,やはり書いておく。

子供の頃,小学校の給食で肉が出るというと,クジラだった。
独特の臭みがあって,クジラが出ると,多くの子供たちが,なんだ~という失望を表していた。クジラは安い肉の代名詞であり,牛肉が一番「高価な肉」だった。

自分はクジラをあまり美味いとは思わない。昔,尾の身の刺身を食べたときは,それなりに美味いとは思ったが,さほどの感動があったわけでもない。独特の臭いがあったからだ。推するに,冷凍もどしであるから,臭いがこもっていたのだろうと思われる。

たまに食べると,その臭いが懐かしく,なにやら郷愁を覚えるから,しみじみとはするけれども,何度も食べたいとは思わない。ただ,昭和の時代を思い出すための機会にしかならない。

本当に美味い鯨肉を食べたことが無いからかもしれないし,あるいは新鮮なのを食べてもそれほどではないのかもしれないが,もうひとつの懸念は,ダイオキシンの含有量でもある。マグロと同じく,食物連鎖の頂点に位置する最終捕食者であるクジラは,ダイオキシンなど有害物質が多く蓄積されている。マグロほど美味いと感じるわけではないので,危険を承知でまで食べたいとは思わない。

さて,下記にフェアユースさせていただいているニュースだが,グリーンピースは,「日本のクジラの食文化に反対ではない」のだそうだ。クジラを食べるという食文化を否定はしない,しかしクジラを乱獲するのは反対する,ということか。

食文化を否定しないという程度まで譲歩しながら,食文化の域を超えた乱獲は許さないというならば,マグロの乱獲に対してはなんら肯定の余地はなかろう。物流システムの結果の流行で冷凍マグロと合成ワサビを覚えて,ひたすらマグロを乱獲している日本以外の国々に対して,マグロ捕獲を禁止したらよい。日本のマグロは食文化であるから,それ以外を禁止すれば,鯨と同様にすぐに数は増えるだろう。食文化を尊重し,巨大物流システムを否定したらすべて解決するはずだ。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100702-00000006-maiall-soci

<IWC>商業捕鯨再開先送り 世界のクジラは増加傾向
7月2日8時16分配信 毎日新聞

世界の海にいる主なクジラの分布と数(日本鯨類研究所公表、数字は頭)
 商業捕鯨を認める議長案が提出された先月下旬の国際捕鯨委員会(IWC)では各国の対立が続き、同案は合意に至らなかったが、そもそも、世界にはどんなクジラがどのくらいいるのだろう。世界のクジラ事情を改めて調べてみた。【小島正美】

【ニュースがわかる】どうなる日本のクジラ捕り

 ◇日本沿岸で30種超 シロナガスは乱獲で激減

 世界には、イルカも含めて約80種類のクジラがおり、日本の沿岸だけでも30種類以上いる。このうち捕鯨について国際的な議論となっているのは、IWCが管理対象とする13種類だ。

 水産庁や日本鯨類研究所によると、南半球では、ミンククジラが約76万頭と最も多く、マッコウクジラ、ニタリクジラ、ザトウクジラ、ナガスクジラも多い。一方、少ないのは体長約30メートルと世界で最も大きいシロナガスクジラやイワシクジラ、ミナミセミクジラ。北半球ではミンクやマッコウが多い一方、シロナガス、セミ、ホッキョク、コクは少ない。シロナガスは60年代までに大量に捕獲されて激減、代わってミンクが急増した。最近はザトウが爆発的に増え、ナガスも増加気味だ。これらの数字は鯨類研や世界の科学者の推計に基づき、IWC科学委員会でおおむね認められたものだ。

 IWCは82年に商業捕鯨の一時停止を決め、日本は国際捕鯨取締条約に基づき、87年から南極海、94年から北太平洋で調査目的の捕鯨を開始した。捕獲数は年によって異なるが、ミンクが約700~900頭、ニタリ50頭、イワシ100頭、マッコウ1~6頭だ。

 世界では、IWC規定を留保しているノルウェーとアイスランドが商業捕鯨でミンククジラやナガスクジラを捕獲。デンマーク、米国アラスカ、カナダ、ロシアなどの先住民族もホッキョククジラやナガスクジラなどを捕獲する。日本国内では北海道、宮城、千葉、和歌山の4カ所でツチクジラなどが捕獲されているが、これらはIWCの管理対象外だ。

 先月のIWCの議長案は、日本沿岸での商業捕鯨を認め南極海での捕鯨数を最終的に200頭に縮小する案だったが、反捕鯨国の同意は得られなかった。

 ◇価格高く、だぶつく在庫

 クジラ肉は価格が高いことなどから、大衆料理とはなっていない。専門料理店が仕入れる価格は100グラムあたり約600~1000円と国産和牛並みの値段。年間約70億円かかる調査捕鯨の費用は、国の補助金(約8億円)と捕獲したクジラの肉を売って賄う仕組みのため、調査捕鯨を行う日本鯨類研究所が安く卸すと調査費用が捻出(ねんしゅつ)できなくなる恐れがある。

 クジラ肉があまり売れないため、1年程度の在庫があるのが現状だ。環境保護団体のグリーンピース・ジャパン(東京)は「日本のクジラの食文化に反対ではない」としたうえで、「捕獲した冷凍クジラの在庫は、1年分の消費量に相当する約4000トンもだぶついている。調査捕鯨は税金の無駄遣いだ」と消費者のクジラ離れが進む中、南極海などで捕獲する意味はないと主張する。

 5月下旬、東京都内で第22回「捕鯨の伝統と食文化を守る会」(日本捕鯨協会など主催)が開かれ、国会議員などが各種クジラ料理に舌鼓を打った=写真。刺し身、ベーコン、ステーキ、空揚げなどが並び、コッペパンにはさんだカツドッグに群がった人たちは「昔、食べた味だ」と懐かしい味を楽しんでいた。「クジラ食文化を守る会」の梅崎義人事務局長は「大量の水やえさを食べて育つ牛などの家畜に比べて、海で育つクジラは将来の食料不足を解決する食品のひとつになりうる」と語り、国が世界的な食料問題の解決の糸口にクジラを位置付けるべきだと訴えている。

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 ■IWC管理対象のクジラ

 シロナガス、ナガス、イワシ、ニタリ、ミンク、マッコウ、ザトウ、ホッキョク、コク、セミ、コセミ、ミナミトックリ、キタトックリ

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味覚を考える

味覚を考える

美味いと感じる味覚には二種類ある。

第一は,身体の本能的な要求に合致しているもの。運動した後の水が美味かったり,ビタミンが欠乏しているときの生野菜が美味いとか,たんぱく質が足りない時の肉とか,その時々の肉体の要求に応えるものを食べると,人間はそれを美味いと感じる。

第二は,それぞれの文化特性に基づく「学習の結果」である。
特に刺激の強いものや,異文化からみたときに違和感を感じるもの,などである。
その文化(民族とか集落とか地方とかでも良い)において,その地方でしか食べることができないもので,それが人間の肉体的な要求に応えるもの,あるいは,なんらかの儀式性を伴って習慣づけられたものなどを,当地の人間は「美味い」という。
これらには,当然,美味いの第一の理由と重なるものもある。その当地に昔からあるような独自の食物を美味いと感じるようになる訳だ。

さらに,時代が進んで,人間が学習すると,それまでは食べて来なかったものでも美味いと感じるようになる。また,その味が,今までになかった味であり,刺激が強かったりすると,美味い!というようになったりする。
アサヒのドライというビールがあるが,あれが爆発的にヒットしたのは,従来のビールにはなかったような辛みがあって,まさにドライという命名とともに,「新しい学習をした結果」なのだ。インスタントラーメンの世界でも,それまでになかったタイプの味が同様に刺激が強いと,爆発的にヒットすることが知られている。

韓国料理に唐辛子が大量に使われるのも同様の理由だ。韓国に唐辛子が伝わったのはそれほど古くはなく,江戸時代の日本から伝来したと言われている。しかし,伝わったとたん,刺激が強くで,それは美味いということになり,さらに刺激を求めて大量に使用する習慣が出来た。

日本では梅干はポピュラーな保存食であるが,「酸っぱく塩辛いという刺激の強さ」が,それが美味いという学習の結果をもたらしたのだろう。

刺激には「辛さ」や「酸っぱさ」や「塩辛さ」だけではなく,強い「油っぽさ」もある。
マグロのトロが美味いという感覚は,強い油っぽさが原因だと筆者は見ている。魚の脂身は,冷凍して戻すと,強烈に匂うようになる。新鮮な魚の脂身と,冷凍戻しのそれを食べ比べると,よくわかる筈だ。
魚の身は,冷凍すると細胞が破壊され,細胞壁で囲われた水分が浸み出してくる。そこに,油脂が大量にあると,油っぽさや匂いが強烈になる。逆に言うと,たんぱく質の美味さが減少して,油脂の臭みが前に出てくるということだ。

丁度60年代から70年代だが,冷凍と流通の技術,資本力による大量消費が始まった頃,日本でそのような冷凍戻しのマグロが流行り出した。大量捕獲で冷凍の切り身にするには,体躯の大きなマグロは最も生産効率の良い魚だった訳だ。タラやオヒョウも白身を取るには効率の良い魚だが,マグロには及ばない。

そして,それまでまともな刺身などほとんど食べたことの無かった内陸の人々が,「刺身」と称して販売される「マグロの冷凍戻し」を,「ご馳走である」,と学習した。他の冷凍戻しの魚に比べると,油っぽさが強いマグロは,一番の刺激だったのだろう。

80年代でも,内陸の旅館に泊まると,あたかもメインのご馳走の如くにマグロの冷凍戻しが食卓に並んでいたのを思い出す。横に添えられているのは,あの,ヒリヒリと辛いだけの合成ワサビだった。
そして,「刺身はご馳走だ」と伝え聞いていた内陸の人々が,その合成ワサビの刺激も「学習」したのであった。例え冷凍戻しであろうと,「マグロは美味い」という言説がまん延した訳だ。

得をしたのは(するのは)言うまでも無い,乱獲と大量流通を担う企業たちである。庶民が,まんまと巨大資本に騙されたと言って良い。

そうやって,社会の下地として「マグロは美味いご馳走だ」と言う言説が日本中にまん延し,さらに,マスコミの発達によって,本場の本当に美味いマグロの報道がなされるようになっていった。
まともに味も解らない若いタレントが,大間や噴火湾,勝浦のマグロを食べて「美味い」と連呼する。それを観た視聴者が,近所のスーパーや仕事帰りの居酒屋で冷凍戻しのマグロを喰う。漁師たちは,大きなのを一本釣ったら,それが高値で売れるもんだから,築地に送る。築地では,氷で冷蔵したものも冷凍したものも,値段の違いこそあれ,大量に売られる。

さらに,日本人の冷凍と流通の技術を利活用する巨大資本は,台湾や中国にマーケットを拡大していった。台湾や中国での冷凍戻しマグロの食べ方を観ていると,濃い緑色の着色料の入った合成ワサビを不味そうな醤油にドロドロに溶いて,強烈な辛い刺激を伴う冷凍戻しのマグロを喰っている。それが美味いのだそうだ。

そこにあるのは,「マグロは美味いご馳走である」,という言説(=思い込み)と,かつてマグロであった冷凍戻しの残骸の大量消費だけだ。そしてあえて言うならば,強い刺激を美味いものだと学習した(させられた)愚かな消費者である。

そうやって,本場のマグロから冷凍戻しまで,実際の本場での味覚を知った上でではなく,元来のグルメとは本質的に異なる「学習された味覚」を満足させながら,学習させられた多数の消費者が,巨大資本の餌食になっていっているのである。
乱獲されているのはマグロだけではない。冷凍戻しのマグロの残骸を美味いと感じているような,「学習させられた消費者たち」も,そうである。懐の財産を乱獲されているのだよ。

一度だけで良いから,本場で本当のマグロを食べて,騙されていたことを知るべきだ。二度と冷凍戻しなんて食べたいとは思わないようになるだろう。
もしそのように思わなかったとしたら,味覚音痴の極致なので,マグロの代わりにブロイラーの生のササミや熟したアボガドにワサビ醤油を付けて,マグロだと思って食べていたら良い。それだけで海産資源の枯渇に貢献することになるのだから。

時代はエコである。

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鮪,マグロ,まぐろの話

EUは禁輸すればマグロを絶滅危機から救える,と思い込んでいるのかもしれないが,そうではない。

世界中で,「冷凍マグロは美味い,刺身や寿司にして美味い」,と信じ込んでしまったところに,一番の原因がある。冷凍戻しのマグロを「美味い」と信じ,マスコミがそれを煽り,本醸造でない合成醤油に緑の着色料の入った合成ワサビを溶き,鼻にツンと来る刺激に反応して,それが美味いものだと信じ込んだことが,一番の悪因だ。

海洋資源の浪費は,第一に,冷凍技術と大量の流通システムの発明から始まり,本当に食べ頃の生のマグロを食べたことがない人々が,その冷凍マグロと合成ワサビの刺激に反応することが,「美味いものだ」と思い込んだのである。

すでに述べたように,人間はどんなものでも,学習すると,それが美味いと信じる生物である。言いかえると,そういう文化が出来上がってしまうということである。

では,解決策はなにかというと,
①マスコミが冷凍マグロは不味い,冷蔵マグロも不味い。と,真実を喧伝すること。
②一方,本当の生の食べ頃のマグロは,こういうものなんだということを「教育」すること。

それで,マーケットが冷凍マグロを買わなくなったら,多くの流通業界も漁業従事者も,マグロの乱獲などしなくなるだろう。売れないからだ。

つまり,一番の原因は,大量捕獲にあるのではなく,それを美味いものだと学習した多くの人々の,食に対する徹底的な誤謬,理解の過ちにある。

本当のマグロの味を知っている人たちは,冷凍戻しマグロなんて食べない。全国ネットの大手スーパーの,昨年捕獲された冷凍戻しのマグロが美味いと感じるのは,そのように刷り込まれてしまっているからである。大量流通と冷凍技術の普及によって,そのパワーによって,冷凍戻しマグロは美味いものだという「言説」が出来上がってしまっているというだけの話なのである。


EU「環境外交」連敗…クロマグロ禁輸否決

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100320-OYT1T00076.htm?from=nwla

【ブリュッセル=尾関航也】大西洋クロマグロの国際取引規制を協議したワシントン条約締約国会議で18日、欧州連合(EU)の禁輸提案が否決されたのは、環境保護を看板政策に掲げるEUにとっては手痛い敗北となった。

 環境政策で経済的打撃を被る当事者の「実利の壁」を乗り越えられなかった格好で、EU内では理念先行型の戦略に見直しを迫る声が強まりそうだ。

 EUの執行機関、欧州委員会は18日、環境政策と漁業担当の両委員による連名の声明を発表。「EU提案に関する投票結果を残念に思う」と失望感を隠さなかった。

 締約国会議では、来週の本会議での再投票で巻き返しを図る道もあったが、EUは早々に提案採択断念の方針を固めた。加盟国の中で、取引禁止への漁民の反発を抱えるフランスやスペインなどが消極的な姿勢に終始したためだ。加盟国間の利害が異なる問題では外交力を発揮できないEUの構造的なもろさを露呈した格好だ。

 EUでは、「禁輸しなければクロマグロは数年で消滅する。スシも食べられない。日本は(禁輸否決で)自分で自分の首を絞めたのだ」(バス・エイクハウト欧州議員=オランダ「緑の党」所属)など、日本が資源保護を顧みずに短期的利益の確保に走っているとの批判が根強い。だが、18日の採決の結果については、「日本の実利外交に敗れた」との意見も高まっている。

 19日付英紙フィナンシャル・タイムズは、クロマグロの禁輸否決が、EUにとっては昨年の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に続く2連敗にあたるとし、「欧州は国際的影響力について自己分析を迫られている」と指摘した。

 COP15では、EUは先進国でも急進的な温室効果ガス削減の枠組みを主張したが、国内産業への打撃を警戒する米国や中国に阻まれた形となった。EUはその後、気候変動対策では、再生エネルギー産業の振興や資源コストの削減など「実利」を強調する姿勢が顕著になっている。

 クロマグロをめぐっても、欧州委員会はあくまで、資源量減少の「科学的データ」を根拠に、EU単独でも取引規制に踏み切るべきだとの立場だ。しかし、肝心の加盟各国が実利優先を鮮明にする中では、この姿勢も後退を余儀なくさせられる可能性は十分ある。

(2010年3月20日00時38分 読売新聞)

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大西洋・地中海産クロマグロ禁輸案を否決②

大西洋・地中海産クロマグロ禁輸案を否決②

「値上がりを回避できる」などというと,あたかも庶民の味方のような感を持つが,値上がり云々を論じる前に,そして,資源管理を言うならば,「消費と浪費の管理」を徹底するべきである。

下記を読むと,回転ずしや大手スーパーが確保するマグロの量が想像できると思う。ダイエーは全国チェーンだが,なんと来年度分の冷凍マグロを確保しているという。背後にはすさまじい大量の乱獲があるのだ。

こういったところで大量消費されるような,冷凍戻しのマグロ(形骸・抜けがら)を食すことを,まずは止めたらよい。冷凍マグロが美味いなどという馬鹿な妄信は即刻捨てるべきだ。

最近の回転ずしでは,軍艦巻きの上に,トンカツやコーンのマヨネーズ合え,牛の焼き肉やサラダなどが乗っていたりするのだが,これが結構いける。握りも,そういう変わり種のほうが,冷凍戻しの魚よりはよほど美味い。海老フライと称してオキアミのフライをのっけたものもあったが,美味かった。

回転ずしで回っている寿司の中で一番不味いのは,マグロや鯛,カンパチなどの「中・大型魚類の冷凍戻し」であるから,回転ずしに行けば,もっぱらこういう変わり種を食べるようにしている。

すしの概念を広義で捉えると,どんなバリエーションもありなのだから,いっそ「冷凍魚を使わない」とでも宣言して,資源保護に寄与すればどうか。
「脱冷凍天然魚」を謳って本気で寿司の新ネタを追求すれば,もっと美味い大衆食堂になり,それこそ庶民の味方になるだろう。

クロマグロ禁止否決、築地の業者「ホッ」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100319-OYT1T00684.htm?from=nwla

 カタールでのワシントン条約締約国会議で、クロマグロの禁輸提案が否決されてから一夜明けた19日朝、東京・築地の市場などでは、「ひとまずホッとした」「これで値上がりを回避できる」などと胸をなで下ろす業者の姿がみられた。

 だが、乱獲で漁獲量が減少する中、“禁輸論議”はいつ再燃してもおかしくない状態。国内マグロ漁業者からは「今回のマグロ騒動を教訓に、徹底した資源管理に取り組むべきだ」という声もあがっている。

 ◆築地◆

 鮮魚店が並ぶ築地の場外市場。ガラスケースの上にアイルランド産クロマグロの大トロ(1キロ1万5000~1万6000円)を置く店では、男性店員が「マグロ見てってよ」と威勢の良い声をかけていた。「ひとまず安心。(禁輸措置で)値が上がるようなことにならなくてよかった」と、店員は安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 買い付けに来ていた東京都葛飾区の飲食店経営の男性(49)も、なじみの鮮魚店の店員らと「よかったね」「ホッとしたよ」と言葉を交わした。「可決されると思ってたから拍子抜けした。お客さんにも『マグロはなくならないよ、大丈夫』と話したよ」

 一方で、大量消費や乱獲のあり方を反省する関係者も。市場内で海鮮丼を販売する「菅野商店」取締役の飯島浩之さん(45)は、「禁輸になるのは困るが、日本の食文化を守るためにも、消費に関する一定のルールが必要」と話した。

 ◆小売り◆

 クロマグロが売り上げ全体の1割を占める回転ずし店「すし銚子丸」を運営する「銚子丸」(千葉市)の広報担当者は、「否決されて一安心だが、また今後も同様の議論は起こりうる」と語る。19日から、奄美大島直送のクロマグロを格安提供するキャンペーンを全69店舗で始め、「どのような事態になっても対処できるよう、様々な仕入れルートの開拓に取り組んでいきたい」という。

 販売するマグロ全体の約2割をクロマグロが占めるスーパー「ダイエー」(本社・東京都江東区)のIR広報部は、「(委員会では否決されたが)本会議がまだ残っており、安心できない」と慎重な姿勢を崩さない。「来年度分のクロマグロは冷凍物を確保済みだが、万一、禁輸になれば再来年度以降どうなるかわからない」と話す。

 ◆漁業者◆

 全国有数の遠洋マグロ漁船基地の宮城県気仙沼市。

 遠洋マグロ漁船の漁労長、小野寺剛さん(62)は否決の吉報にも、「国は気を引き締めてほしい」と厳しい表情を崩さない。

 マグロを一網打尽に乱獲する海外の大型巻き網船が出現したのは10年ほど前だ。乱獲への批判から漁業制限も厳しくなり、20年前には1隻あたり1日約3トンあった漁獲量は、今では1トン以下に減った。かつて一般のサラリーマンの2倍あったという漁船員の給料も、今は半分になったという。「我々は漁獲枠を厳格に守ってきた」と話す小野寺さんは、「今回の議論を招いたのは、(違法操業の海外の船から大量のマグロを購入する)輸入管理の甘さ。同じ提案を出されないように、国はしっかり管理してほしい」と注文をつけた。

(2010年3月19日14時43分 読売新聞)

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大西洋・地中海産クロマグロ禁輸案を否決①

マグロ禁輸案が否決された。
これをどう見るか。
CITESの採決で禁輸したところで,実際の効力がどこまであるのかという問題がある。
また,単に一斉に禁輸するほどなのかというと,これまた,あまり根拠がない。
一番悪いのは,大型の網で大量に捕獲し,冷凍して,マグロなのかなんなのか解らないものにして大量に流通させ大量に消費するというシステムである。

マグロの価格が高騰すると言っても,そういった大量の浪費を止めれば値段は下落するだろうし,マスコミや言説を信じて味もわからぬまま喰らう消費者がもう少し賢くなれば,馬鹿な大量消費にも少しは歯止めがかかろう。

禁輸とか禁漁をする前に,①冷凍保存を禁止する。②冷蔵や電気冷蔵は一定の技術以上だけを認める。
・・・というだけで,某国の密漁品を買う者はいなくなるし,冷蔵の技術レベルを上げると,これまた某国の漁船が軒並み使えなくなる。それで,8割以上のマグロが保護されるようになるだろう。


大西洋・地中海産クロマグロ禁輸案を否決
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100318-OYT1T01151.htm?from=nwla

【ドーハ=是枝智、実森出】絶滅のおそれがある野生動物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議は18日午後(日本時間同日夜)、第1委員会が開かれ、地中海を含む大西洋産クロマグロの国際取引を禁止するモナコの提案を賛成20、反対68、棄権30で否決した。

 禁輸実施まで1年間の猶予期間を設けるとした欧州連合(EU)の「修正禁輸案」も賛成43、反対72、棄権14で否決した。ただ、禁輸に賛成する米国やEUなどが、25日の会議最終日までに本会議での再投票を求める可能性もある。

 委員会では、即時禁輸を提案したモナコの代表が「密漁が横行し、クロマグロは絶滅の危機に直面している」と訴えた。これに対し、日本は「ワシントン条約の管理下では資源の有効利用ができない」などと主張し、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、チリ、トルコ、リビアなどが日本に同調したとみられる。

 当初は、討議を重ねた上で21日以降に採決を行う予定だったが、リビアが即日採決を提案。無記名で投票が行われた結果、モナコ案とEU案はともに、採択に必要な3分の2以上の賛成が得られなかった。採決後、モナコの代表は記者団に対し、モナコ案の本会議での再投票を求めるのは難しいとの考えを示した。

 大西洋産クロマグロは従来、漁業関係国でつくる大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)が資源保護を行ってきたが、ICCATの漁獲枠を無視した乱獲などのため、2000年代に入り資源量が急減していた。このため、環境保護団体などから、野生生物として取引制限するワシントン条約での保護を求める声が強まっていた。

 しかし、18日の委員会では、大西洋クロマグロの最大消費国として禁輸反対を求めてきた日本に、マグロの輸出国や途上国などの同調が相次ぐ形となった。

 クロマグロは「本マグロ」とも呼ばれる。08年の大西洋クロマグロの日本への供給量は約2万トンで、日本で出回るクロマグロの約半分を占める。

 赤松農相は18日夜、記者団に対し「資源管理については日本の積極的な姿勢を各国に訴えてきた。我々が想像した以上の良い結果が出た」と述べ、禁輸案が否決されたことを評価した。今後については「太平洋、インド洋などでも資源管理、調査を行い、日本がリーダーシップを取っていくことが大事だ」と述べた。

(2010年3月18日22時54分 読売新聞)

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大西洋クロマグロ禁輸、EUが支持決定

大西洋クロマグロ禁輸、EUが支持決定

マグロを乱獲し,シーチキンみたいな臭みの充満する缶詰で大量消費してきて,マグロを美味く食べることの知恵も絞らず,絶滅に追い込んだのは,言うまでも無く,江戸時代の日本人ではないし,食道楽の大家でもグルメでもグルマンでもない。

原因は,「マグロは高級食材だ」,「美味いものだ」,と信じ込み,冷凍や冷蔵で屍になったまるで「藁と肉汁の不調和」を,喜んで「ご馳走だ」と思い込んだような「言説に侵された高度経済成長期の貧困な日本人」と,その尻馬に乗った世界他国の人々ではないのか?あるいは,「加工しやすい」というだけで,その味覚の本質を問うことなく,缶詰の大量生産と大量流通で儲けてきた御人たちではないのか?
・・・ということを声を大にして,言っておきたい。

鮪は江戸時代に下魚だった。鯛や平目が高級魚だった。江戸っ子が,その鮪をどうにかこうにか美味く食べようと考えた。赤身の醤油漬けの「ズケ」は,その日本的知恵の結果である。
そのような人々と,馬鹿馬鹿しい乱獲を続けてきた人々とは,明白に異なる一線がある。

マグロの大量捕獲や環境破壊,公害や健康被害の原因の,ほぼ大半を有するのは誰なのか?その分析が見受けられ無い。

[環境と食文化]参照

「言説に侵された人々」と,そうでない「クリエィティブな人々」の違いということだ。
マグロ禁輸を可決するのは良いが,その前に,そうしてしまった愚かさを反省すべきだと思うのだが?

その味覚の真意を検証せず,唯に手軽であるからという程度の理由で乱獲を続けるなり助長するなりして,技術を単なる海洋資源の浪費消費にのみ使って,利益を追求しながら,言説を流布した人々。

鯨と同様である。鯨をタダの油脂取りとして,大量に消費していたのも,海外諸国だ。

おかげで筆者は,ますます鮪が食えなくなるではないか!と,嘆くばかりである(泣

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大西洋クロマグロ禁輸、EUが支持決定
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100311-OYT1T00036.htm?from=top

 【ブリュッセル=尾関航也】欧州連合(EU)は10日、ブリュッセルで加盟国間の大使級協議を開き、大西洋クロマグロの国際取引禁止への支持を全会一致で決めた。

 これにより13日にカタールで開幕するワシントン条約の締約国会議で、大西洋クロマグロを「絶滅の恐れがある野生生物」に指定するべきだとするモナコ提案について、EU27か国がそろって賛同に回ることが確定した。

 外交筋によると、この日の協議では取引禁止に難色を示していた地中海の漁業国キプロスとマルタが反対を断念し、EU共通の立場が固まった。

 EUの執行機関・欧州委員会は、地中海産を含む大西洋クロマグロが、乱獲によって絶滅の危機に瀕しているとして、2011年春からの国際取引禁止を加盟国に提案していた。

 ワシントン条約の締約国は175か国で、3分の2が賛成すれば取引禁止案が採択される。米国も今月3日、禁止案支持を発表した。否決を目指す日本は、アジアや中南米、アフリカ諸国などに働きかけて巻き返しを図るが、きわめて厳しい状況に追い込まれた。

(2010年3月11日00時44分 読売新聞)

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マグロが危ない②

マスコミで大間のマグロを食すタレントの番組が放映される。
↓↓↓
たいして味もわからないような若いタレントが,それを美味い!と連呼する。
↓↓↓
それを見た視聴者が,マグロを食べたくなる。
あるいは,グルメ漫画を読んで,マグロを食べたくなる。
↓↓↓
そして,仕事帰りの飲み屋で注文したり,近所のスーパーで冷凍マグロを買って食べ,食欲を満たす。

このロジックにある徹底的な誤謬は,マグロという名称,あるいは,マグロを食すという行為のパラダイムに残る,マグロという概念のすり替わりである。それは本当に美味いマグロなのかどうかということである。
それは,放映されたり,漫画に描かれた「美味いマグロ」なのではなく,かつてマグロであった魚肉の冷凍あるいは冷蔵の流通品に過ぎず,そこには,その本来の味覚など無い。そこにあるのは,元,マグロであった,唯の屍であり,肉汁が抜けた藁である。冷凍戻しのトロが美味いと騒がれるが,冷凍戻しの脂質に舌が反応しているだけである。

食べ物は,冷凍したり古くなると味が変わる。本来はわざわざそのようなものを食べなくても,他にもっと美味いものがあるはずなのだが,人間は言説に左右されるので,「それが美味いマグロであると信じること」と,もうひとつ,「実際に今,空腹である」ことの二つのファクターにより,古くなった,あるいは味の変化したそれを食べて,実際に満足するのである。それは,大手流通会社や大量捕獲企業が跋扈するマーケットとなる。ミシェル・フーコーの言う「パワー(権力)」であり,「言説」である。
ここに,資源枯渇の一番の原因がある。

爆発的に増加する人口の食料確保の問題と,言説に振り回される哀れな消費者の問題とは,明確に分離して考察するべきだろう。海洋資源を大量消費しているのは,人口増加に苦しむ途上国ではなくて,大量消費の国々なのだ。

人類学でも明らかなように,人間は,味覚の学習の結果,どのような食べ物にも順応する。つまり,ある文化様式の中で,それが食べ物である限り,何らかの理由でそれが食べられるようになると,その人々はそれが美味いと言うのである。

例えば,日本人の好きな梅干や納豆は,それを知らない,慣れていない外国人にとっては,信じ難い食べ物である。フランスのウォッシュチーズも,昔の日本人ならば多くは「ゲーッ?!」と言っていたのだが,今は学習した日本人が多いので,それが「美味い」ということになっている。何の栄養にもならないコンニャクなども,その証左のひとつであろう。いずれも,その文化においては,それなりに美味いものとして認知されている。

江戸時代に,それまではむしろ軽視されていたマグロを,美味く食べる方法が発明された。最初は廉く美味いものだった訳だ。
それがやがて多くの日本人にとって「ご馳走だ」ということになり,冷凍技術の進化に伴って,昭和の時代の後半には,日本国内で大量に流通するようになった。それが海外に伝播し,「マグロを食すという行為」が流行していったという,たったそれだけのことである。そこに本質的な意味でのマグロの味覚に対する認識など無い。流行したのは,「言説」だけである。

海洋資源を枯渇させているのは,美食でも味覚でも無く,ましてや人口増加のための対策事業でもない。あるのは,「言説」に過ぎず,それに乗じた営利事業だけである。元々は美味いものを冷凍したり冷蔵したり加工して不味いものに変換し,言説と学習によってそれを大量消費しているのは,実に「もったいない」と思う。

数年に一度でよいから,和歌山の勝浦や,伊豆に旅行して,新鮮なマグロを食べることができたら,それで幸せになれるのだから,仕事帰りの飲み屋や近所のスーパーの冷凍マグロなどに騙されないようにしたい。

美味いものを食べたい,美味いものを食べる,という行為と,言説に騙されてとりあえず今の空腹を満たして満足した気になるという行為の間には,徹底的な差異がある。食欲を満たす行為に観念の所産が加わり,まるでそれがグルメであり,美食であると誤解されているが,そのような消費者が増加する一方で,味覚の本質が雲散霧消していくのは,愚かな話だ。

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マグロが危ない

モナコがマグロ漁を全面禁止にすべきだと主張している。

世界一のマグロ消費国,日本にとって,迷惑千万という他ない。

日本以外の多くの国は,マグロを,その味を理解もせず大量消費をしている。国内ではシーチキンとして有名になったマグロの水煮の缶詰は,欧米の発明である。あんなものを食べるくらいなら,鯉や鱒を養殖して,同じ缶詰を作ればよい。さほど味は変わらないだろう。

合成粉ワサビを,マズイ醤油に溶いて,黒緑の液体に,冷凍マグロを戻した刺身を浸して,それを美味いだの,健康の良いだの言いながら食している海外の人々も,そんなものなど食べなくても,養殖の鯉や鱒を同様にして食する方が美味いことを学んでもらいたい。

それで,マグロの減少に歯止めがかかるどころか,増えること必定である。

「日本人がマグロを美味いと言うから」,という言説を鵜呑みにして信じ,日本人の長寿を羨みながら,マグロの本質の何たるかを知らずして大量消費しているのは,諸外国では無いのか?
「違う」,「消費する権利がある」などと言うならば,大間の黒マグロと噴火湾の黒マグロの違いや,ボストン沖の黒マグロやキハダやメバチのそれぞれ特性を指摘して説明できるなら,許してやろう。赤い身の魚だという程度の認識ならば,食べない方が良い。マグロは食物連鎖の最終に位置するので,ダイオキシンも多い。その意味では,味をわからないなら食べない方が懸命だし,味を知る者も迷惑を被らずに済むことだろう。

マグロであろうとなかろうと,「それは美味いものである」との言説を鵜呑みにして,それを食べて,それが美味いと信じながら,それぞれの違いを認識しない「幸せさ」,と,それが美味いとの言説の確かさを,文献で調べつくして,さらに様々に食べ比べながら,舌に残る記憶の再現を追い求める「愚かさ」と,どちらか資源保護のためになるか。



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刺身の形骸=美味い・ご馳走だという観念

鮨,寿司,うまいすし,ラーメン,うどん,そば,美味いもの,グルメ@京都情報大学院大学

カレー・カレーライス特集
パエリア パエジャ のレシピ

刺身の形骸=美味い・ご馳走だという観念

刺身の記述に続けて,蛇足であるが,「筆が止まらない」ので,掲載しておく。

いつ死んだのかわからないような魚を冷凍して,細胞壁が壊れた後に室温に戻された「(元)生魚」に,合成わさびと合成醤油をからめて,それが「刺身だ」などと思い込み,大枚を払う・・・。
そのような料理の「観念性」には異議を唱えたい。

冷凍魚を大量に流通に乗せて,さらに戻して刺身だなどと言い張る,現代日本人が発明した悪習慣はいいかげんにやめるべきだ。

「刺身である,ご馳走である」という「観念的満足」のために,海産資源を浪費しているだけである。舌に残る記憶と観念の合作としての飲食の満足は,決して美食ではない。

その観念のために,世界中で大量に,魚が乱獲され,冷凍されて,あちこちに化石燃料を浪費して運ばれているのは,今日となっては単なる罪と言う他ない。

やたら鼻にツーンと来るだけの緑色の着色料の塊のような合成わさびを,化学合成醤油にドロドロに溶いて,刺身まがいの辛味を楽しむ儀式が世界中で流行している。
おそらく中国人が広めた流行だと思われるが,言語道断の極みである。

「刺身は健康に良い」などと信じられているが,刺激の強い合成わさびはどうなんだろう。遺伝子組み換えの大豆で作った醤油も恐い。
豚脂や牛脂に比べると,DHAを多量に含む魚は健康に良いだろうが,健康を求めるなら,ブロイラーのささみ等,他にも天然資源を浪費しない,たんぱく質の食材はいくらでもある。健康食信仰で,味覚の本質も理解せずに,貴重な海産資源を浪費するなと言いたい。

いまや貴重な海産資源保護のために,そのような儀式性や観念性で天然資源を消費するのは止めて,ナチュラルな味覚に目覚めるべきである。

美味い魚を食べたいなら,都会や山中あちこちにあるプールを,シーズン以外は養殖池にして活用し,伝染病や寄生虫の無い鱒や鯉を養殖したらよい。

鱒や鯉は,上手に育成したものは,かなり美味い。
少なくとも,地中海の冷凍黒マグロを戻したものよりは美味いだろう。
多くの日本人は,近所の汚染された川や,下手な養殖の鯉や鱒を食べて,「淡水魚は臭う」などと言っているのだ。肉に残る匂いは,かつての国産牛肉や豚肉と同じで,養殖・育成の環境や飼育の餌の結果なのである。

いずれにしても,魚は新鮮であることが第一である。
魚は,冷凍も冷蔵も,味が落ちる。最近流行の氷感技術にしても,電気漬けの素材に,本当の美味さが残るとは思えない。
莫大な輸送コストのかかった冷凍・冷蔵ものよりも,近場で普通に入手できる新鮮な魚のほうがずっと美味い筈だ。近所のプールで自然の餌で,鯉や鱒を養殖してくれたら,毎日買いに行って,刺身にしたいと思う。鯉は洗いにしてもいい。綺麗な地下水で育成したら,どちらも美味いに違いない。

料理屋で頼む冷凍ものの刺身一皿の値段で,生わさびも本醸造醤油も買える。

家族の分のコストをかけるなら,圧倒的に家での刺身のほうが,素材もわさびも醤油も,遥か上等ということになる。

即ち,わさびと醤油に拘って,新鮮な魚がゲットできたら,刺身は家で造るのがベストである。

本当に美味い刺身は,決して高いものではない。

京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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海産資源の減少 その2

ニューヨーク,コロラド,さらにはパリや,ロンドン,そして北京でも,今や鮨や刺身は食事の選択肢の一つとなっている。古来湖川の淡水魚を珍重し海水魚を軽視してきた中国においても,北京のイトーヨーカドーの鮮魚の売上げ高の75%が海産ものによって占められているという[1]。 上海から車でまる一日かかる内陸のある地方都市でも,活きイセエビの刺身を供されて驚いたことがある。一方で,南米チリ沖の公海では,中国船によって乱獲され冷凍して中国に運ばれる鯵の急減が問題化している。また,遠海冷凍鮪の買い付けは,台湾が日本を凌駕し台頭している。

EU(欧州連合)は,欧州漁業構造計画として,1994年からの6年間で,約1320億円(日本円換算)を投じ,漁船の近代化を進めた。日本の漁船は大きくても160トンで14~15人が乗船するのに対し,IT化された欧州の新型は200トンの大型船をわずか4人で操業する。高度な魚群探知システムを備えたその漁船が一般化し,GPSなどの航海技術の高度化も相まって,生産効率が飛躍的に高まった。これにより,EUでは若手の漁業への新規参入者が増えたという[2]。 

一方で,養殖の技術も急速に高度化しているが,淡水魚とは異なり,海産魚の養殖は自然の海で行われ,それまでその海域になかったものが餌として使用される。南極海で大量に乱獲されたオキアミや,陸地の動植物を原料とした餌によって,海は破壊され続けている。

そうして公海で効率的に大量に乱獲され,環境を破壊し大量に養殖された魚介は,人件費の安い国で加工され,途中に冷凍という過程を経て,消費される対象国へと輸出されていくのである。かつての日本が辿ったような鯨の乱獲や遠海漁業船による大量捕獲・大量消費への道程が,世界中に伝播して規模も速度も増大しており,深刻な事態を招いている。

目を転じて,末端の消費の面を見てみよう。昭和33年に登場して以来,世界的に普及した回転寿司のシステムにおいては,科学的な分析が高度に進んでいる。多くの人は右利きなので,すし皿は右から左へと流れる。標準速度は毎分4.8m(毎秒8cm)で,目前を6~7秒かけて通るようにし,ビジネス街の店では速度を上げ,郊外では下げるという。人件費削減のために自動飯握り機械も普及している。どのように鮨種を並べるかということも含めて,すでに世界中の回転寿司店にノウハウが行き渡っている。客の心理を徹底して煽って,美味くもないものを大量に食わせるシステムである。その戦略戦術に応じて,世界の海から供給される各種魚介類は,末端の回転寿司店に並ぶまで,こと細かくサプライチェーンが構築されている。介在するマスコミの無責任な煽りも看過できない。

以上のように,産地から消費者まで,技術は高度に発展し量的拡大を続けているのだが,全く除外されているのは,味覚の文化的な意味での「品質」である。

世界中で鮪の消費量が爆発的に増加し,数百万トンという圧倒的大量の冷凍鮪が消費されているが,贋作の粉ワサビを溶いた化学合成醤油で食べる冷凍のそれは,日本の食文化である鮪の刺身からは程遠い。鮪に限らず,アフリカ沖の蛸や烏賊,チリ沖の鯵など,生と冷蔵と冷凍の違いは無視されて,産地の違いによる味覚の違いの検証もなく,ただ,それが「健康的」だから,「美味いから」,あるいは「鮪だから」,「鯵だから」,という,多くはマスコミに煽られた「言説」によって,ひたすら大量に消費されているのだ。

それぞれに知恵が絞られ,少しでもマシにしようとはされているだろうが,常に優先されているのは当然,味覚ではなくコストである。雑穀酢と化学調味料を合えたカリフォルニア米を機械が圧縮し,ホースラディッシュを原料とする化学薬品とでも言うべき粉ワサビを塗った上に,アワビと偽る南米の冷凍ロコ貝の切り身や冷凍遠海鮪の,肉汁が抜けてしなびた解凍品を乗せて,それを「鮨だ」というのは捏造された言説以外の何物でもない。

「鮪は美味い」,「鮨は美味い」という言説を妄信し,回転する皿に心理的に煽られて,まるで機械に給餌されるフォアグラの鴨のように,人々は回転寿司を食わせられている。ベルトコンベアに乗って回るそれらロコ貝も,南洋鮪も,それぞれ産地近くで生鮮を,それに応じた食べ方をすれば美味いに違いない。しかし,急速冷凍され数ヵ月後に解凍され,コンベアの上で回転しながら,さらに乾燥していくしなびたそれらは,現地の味からは程遠い,すでに枯れ果てた屍,いわばゴミの一種と言っても過言ではなかろう。

冷凍の鮪や鯵よりも,しかるべき措置を講じた環境汚染の少ない,内陸の管理プールで育った養殖淡水魚の方が,寄生虫の心配もなく新鮮で,どのような魚の冷凍解凍品よりもよほど美味い筈だ。

なぜ,鮪であり鯵でなくてはならないのか。なぜそういった解凍品,つまり明らかに真の味覚からは程遠いものを,健康食だと曲解し,美味いと妄信するのか。その背後には,近代資本主義によって生まれた,巨大なパワーがあり,一般市民はその言説によって突き動かされ,不要な消費を強要されているだけなのである。言うまでも無く,サプライチェーンは,需要があってこそ成立する供給のシステムであるが,このような需要は捏造された虚妄である。

人類は今,この近代化が生み出した言説によるパワーの愚かさを深刻に考慮し,対策を急ぐべき所に来ている。コスト競争はもはや環境破壊の言い訳にはならない。昨今,鮪の漁獲制限が議論されているが,量的制限を論じるよりも,質的な理解を広く徹底するべきである。

新鮮なものから冷凍やまがいものまで,品質の高低に関する諸問題に加え,バラエティの横への広がりの問題もある。先進国で一定の地位を占めるSushiは,各国でアレンジされた変り種が次々と発明されている。フランスの回転寿司には,スモークサーモンに乳脂肪の塊であるクリームチーズをたっぷりあしらった,見るからに不健康そうなニューヨークベーグルまがいの握りまで登場している。

農林水産省やジェトロが,海外であまりにも乱脈を極める鮨や日本料理の変種を危惧して,正統派の日本料理店に認定証を発行し始めた。日本文化を守るためだそうだが,何をもって正統派の日本食と位置づけるかは,かなり疑問が残る上に,次のさらなる誤解を起因する可能性がある。

冷凍であろうと鮪の切り身を酢飯に乗せていれば鮨である,などという基準では,自文化どころか何も守れず,マグロの乱獲ブームを助長するだけである。保守本流の正統派である日本の本物の鮨は,日本の特定のところでしか食べることはできない。材料にこだわらず,レシピをもって正統か否かを問うのであれば,アメリカで発明されたアボガドと蟹のカリフォルニアロールは,日本人の口に合うので,アメリカ料理に入れずに日本料理に入れるべきだなどと天邪鬼な愛国心も出てくる。話が少々逸れたが,食文化は,材料,レシピ等,何をもってそれと定義するのかを深刻に検証すべきであろう。筆者は無論,材料とレシピに加え,土地(場所)と空気と水とが揃わないと,それであるとは定義しない。

鮨は世界的な漁獲量の急上昇によって,あと50年程で材料が枯渇する絶滅危惧料理である。鮨の定義を検証し,わが国の経済発展と,日本文化の伝承の,あるべき姿を考えたい。人々を操る言説とパワーに反論し,せめて自分の生きている間だけでも,まともな鮨,美味い鮨を食べることができて,子供や孫の生涯を通じて,一年に一回だけでも良いから,美味い海産物を食べさせてやりたいと願う。

鮨は,手近にある材料を,新鮮なまま,あるいは保存のために手を加えて,最も美味く食べるための料理法であって,日本人が考え出した「技術文化」である。遠方の古い冷凍食材を解凍してわざわざ味を劣化させ,本来の味とは程遠い形骸のみをもって満足する象徴行為ではない。そのような模倣や贋作の蔓延を助長するのではなく,真の日本文化の伝播と輸出をもってわが国の経済力へと転換すべきである。

[1] 読売新聞「揺らぐ魚食大国」2006年11月17日~19日連載
[2] 読売新聞 同上

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下記は,京都コンピュータ学院京都情報大学院大学のイベント情報です。
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