ボルトをどんどんほどいていったらよいだけなのだが,一番の注意点が,エンジンを下ろすところだろうか。カワサキZのエンジンは70キロほどあって重たいので,必ず二人か三人がかりで行う。
一人だと,床に古布団を敷いて,横に寝かせて外すという方法もあるけれど,やめておいたほうが良い。フレームから外しても,床にはクッションをたっぷり厚く敷いて,フィンを割らないように細心の注意を払うべきである。そぉ~っと。金属だから固いだろうなんで思わないこと。アルミの鋳物はとても弱い。
エンジンを下ろすときは,前のマウントボルトから外していく。後ろ下のボルトが最後。後ろ一本のマウントボルトになる前に,フレームに,古タイヤチューブなど,厚手のクッションを巻いておくこと。決して直接フレームに接触させないこと。
近年,レストアベースのカワサキZも価格が高騰してきた。しかし,「値段が高いから」ではなく,「今後減少する一方の貴重な文化遺産を取り扱うのだ」という意識を持つべきだと思う。値段の高低よりも,この世に残存する数のことを考えて,二度と生産されることのないこの名機を,ひとつでも多く後世に残すべきだと思うんだ。
分解したパーツをデスクの上に並べて整理する。ピストンには番号を振っておく。1番シリンダーに入っていたピストンは,1番シリンダーに戻す。