学生さんは皆,カワサキZのエンジンが貴重なものだということは理解してくれていて,壊すことなく,上手に分解していく。ゆっくりとじっくりと,皆で協力し合って分解しているのは見ていても気持ちがいい。作業のスピードは遅いけれど,それで良い。
みんな一様にバイクが好きで,バイク趣味の王道中の王道,Zをさわれるもんだから,嬉々としている。そりゃ,楽しいさ。Zやで,なんせ。普通,整備士学校でも,大学の自動車工学科でも,空冷Zをいきなり触れるところなんて,世界中,他にないぞ。
ゼッツーのエンジンは真っ先にバラバラになり,Z1000Rのエンジンがそれに続く。錆びて眠っていたZ750A4の車体は,多少手こずっている。Z1Rのエンジンは,ヨーロッパ帰りの元カフェレーサーカスタム。かなり杜撰に扱われていたようで,クランクケースの中から,アルミの雌ネジの破片がでてきた。Z1000R2のエンジンからも,アルミの欠片が出てくる。ところがどちらも,中をよくよく調べても,どこも欠けていない。おそらく,昔割れたパーツを交換して,欠片がどこかに引っかかったまま残ったのだろう。ミステリー。
分解したシリンダーやヘッドはマスキングしてガラズビーズのブラストをかけていく。
教員の分解実演に続いて,学生たちが自分のチームのエンジンを分解していく。慎重に,慎重に。結局,ボルトは一本も折れなかった。