Kawasaki Z1 Classic

Z1 classic

カワサキ Z1 クラッシック
型式名;G1
90hp/8000rpm
8.6kg-m/6500rpm

ヨーロッパ向けにはZ1000Mk.IIのインジェクションモデルであるZ1000Hがあったが,北米マーケットに対しては,かの名車Z1の名を冠して,アメリカンタイプが発売された。Z系末期のモデルである。

タンクの横にはクロームのプレートが張り付けてあり(タンク自体はメッキではない),前後に長く幅広いシートの他はZ系LTDとさほど変わりはないが,インジェクションとMk.IIエンジンの組み合わせは,Z系エンジンはキャブにこだわる必要は無いということを教えてくれる。すなわち,インジェクション仕様であっても空冷Zは空冷Zであって,かなり面白い。

80年代半ばからアメリカンはVツインであるという風潮がまん延し,インラインフォアのアメリカンはエリミネーターの後継車ZL1000を最後に姿を消したが,インラインフォアでも,このモデルのようにマフラーをあしらうと,エグゾーストノートはそれなりにリズム感のあるものになる。

マフラーはジャーディン二本出しがメーカー標準である。これはマフラーだけでも流通していたので,Z系をお持ちで安楽志向の方は装着してみると良い。マフラーで大きく味わいが変わることがわかるだろう。四本マフラーや集合管のアナログな連続音とは異なり,バリバリバンバンと炸裂音が続く。ハーレーなんて,メじゃないのである。

空冷カワサキは,ロードスポーツの人気が高く,アメリカン系はハーレー式のVツインが主流になってしまい,あまり人気がないが,実は,日本の道路事情で乗るならば,アメリカンであっても,インラインフォアの方が面白い筈だ。空冷Zのカスタムはほとんどがロードスポーツの方向性を取るが,アメリカンなカスタムも良いと思う。

Z1クラッシック=インジェクションの空冷Z

Z1クラッシック=インジェクションの空冷Z②

参考;Z1・Z2の神話–誕生の真実 全記録–
2006年 スタジオタッククリエイティブ

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コンピュータの学校とそうでない学校

80年代の中頃,コンピュータがかつての大型機から小型化して(ダウンサイジングと言う),パーソナル化し,パソコンと呼ばれるようになった。
それまでの大型コンピュータはメーカーからリースするにしても,おいそれとできるような費用ではなかったので,限られた教育機関にしか設置されなかった。しかし,パソコンの時代になり,「教室にパソコンを並べたら,コンピュータの学校に見える」ようになった。それで,全国に多くのコンピュータの学校ができた。

80年代中ごろにできたコンピュータの学校は,コンピュータ業界とあまり関係のない人たちが設立したものが大半である。そして,それらの学校の多くでは,ハードウェアとしてのパソコンは並んでいるが,インストールされているソフトウェアは非常に少ない,というのが通例であった。せいぜいワープロソフトと表計算ソフトくらいしかインストールされていなかったのである。

つまり,それらは「コンピュータの学校」と言うよりは,「アプリケーションの使い方の学校」だったのだ。21世紀になり,少子化が始まって,専門学校,そして短期大学,今は四年制大学と順番に淘汰が進んできた。それらの80年代にできた多くのコンピュータの学校も,今はほとんどない。特に,コンピュータの教育だけで学校を営んでいるところなど他に無いようだ。振り返ると,コンピュータの学校というのは,実は,我が国には,最初から今まで,実に少ないのだということがわかる。

KCGは創立46年目になった。そして,業界ではますますIT化が進んでいるのに,本当の意味でのコンピュータの学校が実に少ないようである。それには,いくつかの理由があると思う。

コンピュータは進化発展のスピードがあまりにも速いので,従来の大学や普通の学校のレベルでは,変化に追従できないのだ。そして,大学という形態は,一般に,教授がイニシアチブを取るのだが,教授になるのは40歳以上,50歳以上という大学が大半だ。即ち,すでに時代変化に追従できない年齢になっているということである。そして,コンピュータの技術にITというビジネス界での応用がここまで発展すると,象牙の塔に籠って研究しているようでは,まったくITによる世の中の変化に追従できないのは当然だろうということになる。

もうひとつ,コンピュータ・ITの教育には費用がかかる。私立学校がそれをやりたくないのは当然だろう。私立大学に文科系が多いのは,費用のかかる工学部・医学部はミニマムにして,文系学部で稼いでいるという訳だ。

KCGは私立学校でありながら,何故,コンピュータ・ITの教育を実現しているのかというと,古くからこの業界で教育をしているおかげで,世界中の多くのメーカーや研究者の間に様々なネットワークがあるからである。日本のコンピュータ・IT教育の老舗との評価を頂いているが,老舗であるからこそできることがあるわけだ。

「最先端の教育は最古参学校でこそ完遂する」,という,IT関連教育の逆説は面白いと思う。

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Kawasaki Z1000J (J1)

Kawasaki Z1000J A1

カワサキ Z1000J
発売年;1981年

カワサキZ1が発表されたのは1972年のことである。マイナーチェンジを重ねて1979年のZ1000Mk.II まで,その系譜は続いた。
そして,それまでの空冷Zをリニューアルし,エンジンとシャーシに大幅な改良が施されたのが,Z1000Jである。エンジンはZ1よりも7kg以上軽量化され,車体全体で15kgほど軽くなったと発表された。
排気量は当時のAMAスーパーバイクレースのレギュレーションに合わせて995ccとなった。

カワサキZ1,Z2から始まり,Z900,Z1000,Z750F,Z750D-1,Z750FX,Z1R,Z1RII,Z1000Mk.II,など,エンジンの基本設計がZ1からのモデルを,通称「Z系」という。
それに対して,Z1000J以降の軽量化され高性能になったカワサキフラッグシップのエンジン,またはそれを搭載したモデルを「J系」という。Z1があまりにもよく売れたため,比するとJ系の総数は少ない。一説には「一桁少ない」のだそうだ。

新型エンジンであるJ系は,それまでのZ系に比べると,回転上昇スピードも速く,パワフルである。クランクもレーサーのように軽量化されている。ミッションのギヤ比が若干クロスになっており,日本のワインディングでも走りやすい。新型ブレーキキャリパーは,それまでのZ系に比べると,かなり良くなっている。

Z系は,国内発売モデルがボア&ストロークダウンだけだったのに対して,J系の時代になると,国内発売の大型モデルが,輸出向けのフラッグシップの外装を模したワンサイズ小型の750ccとなった。それもあって,J系は国内では少なく,人々が実際にカワサキフラッグシップの車体を見ることも少なかったのである。
そして,エディ・ローソンの活躍とその記念モデルであるZ1000R1だけは,後年,有名になったのだが,他は,J系の伝説は少ない。それゆえ,あまり評価されていないような印象を持たれるようである。

しかし,空冷カワサキのフラッグシップは確実に進化発展している。Z系よりは,よりレーシーになっており,あらゆる点で勝っている。ノーマルで乗るならもちろんのこと,とことんカスタムしフルチューンするとしても,J系の方が勝る。空冷大型エンジンの良さを全て保持しながら,さらに性能が上がっているのは事実である。

Z1000Jとその兄弟たちに乗ると,バイクでスポーツすることのなんたるかを知ることができるだろう。

写真;カワサキ

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空冷カワサキフラッグシップ

kawasaki Z1000R FCR

マーケットでの言説に乗せられてJ系よりもZ系を選び,あまり改良も加えずに乗り,「なんだこんなもんか」,などと思われた向きには,ぜひJ系のノーマルを体験してもらいたい。ノーマルのままで,確実に,心を打つだろう。

Z系は,特に国内向け750モデルでは,エンジンが重ったるく回るので,あまり驚きもないかもしれない。空冷カワサキは,少なくとも1000cc,できれば1100ccくらいの排気量で,軽くチューンすると異次元の鳴動を発する。
従い,ノーマルで最低1000ccであるJ系は,そのままで,その領域に達しているといえる。Z系エンジンのファクトリーチューンだと思ったら理解しやすいかもしれない。

J系のノーマルに乗って何も感じなかったら,カーカーでもいいし,リプロダクションでもいいから,何か集合管に変更してみる。そして,それでもさほどの感動が無かったら,空冷カワサキの世界とは縁が無い感性であるということだ。

オートバイにおいて大事なことは,まずはエンジンとの相性である。エンジンの鳴動を聴いて感じて,それに惚れることができるかどうか。そして次にシャーシ,車体である。車体を見て,触って,跨って,それに惚れることができるかどうか。
エンジンの鳴動に共感が無ければ,それは唯の高速トランスポーターに過ぎない。車体と肌が合わなければ,乗り続けることもできないだろう。

「オートバイ」,「バイク」という単一概念で括ることができないほど,二輪はメーカーや車種によって様々に個性があり,ライダーの個性との相性は多種多様である。自分にとっての最高の一台は,自分だけの一台であるから,良き伴侶を探してもらいたい。空冷カワサキは,どの一台を取っても,それなりの魅力があるので,数台体験してみると自分の個性にミートする一台に出会えると思う。

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Kawasaki  Z1000(J2)

Kawasaki Z1000J A2

 カワサキ Z1000J(J2)

Z1000R1のベース車にもなった,Z1000Jの第二世代バージョンである。北米向けと欧州向けではタンクなどの外装デザインが異なる。北米向けはティアドロップ型のタンクで,欧州向けは写真の角タンクである。欧州向けは,リアフェンダーが長い。

このエンジンはZ1000Pというカリフォルニア州警察に公式採用されたポリスバイクと同じエンジンである。ポリスはその後,21世紀までカワサキリンカーン工場で生産が続けられたので,アメリカには補修部品が多く残っている。

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Kawasaki  Z1000J(J3)

Kawasaki Z1000J 3

 カワサキ Z1000J(J3)

Z1000のマイナーチェンジ第三世代モデル。最終のZ1000Jである。インジェクションモデルも同時発売されたという。メーターが機械式になっている。
以後,カワサキのフラッグシップは,排気量は1100ccへと,そして過給はインジェクションへと変化していく。1983年から空前のバイクブームへと至る80年代中頃は,オートバイが空冷から水冷へと進化していった過渡期であった。

写真;カワサキ

参考;Z1・Z2の神話–誕生の真実 全記録–
2006年 スタジオタッククリエイティブ

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Kawasaki Z1100GP (B1)

Kawasaki Z1100GP

カワサキ Z1100GP(A1)

発売したとたん,世界中のマスコミから絶賛されたというカワサキフラッグシップ。インジェクションモデルである。
ヘッドライトの上の大きなメーターケースは,カウリングを兼ねていて,高速域でライダーを風圧から守る。

Z1000Jから始まった第二世代のカワサキ空冷フラッグシップは,この一台でまずは完成したといえる。当時二輪では珍しかったインジェクションを搭載した,使い勝手の良い大型バイクである。中古車市場ではあまり見かけないが,名車のひとつである。

こういうのを一台,大切に乗り続けるのも渋い選択だと思う。巷ではZ1やZ2,Z1000Rばかりが評価されるので,その他のマイナーなモデルは価値がないと信じられているような気配もあるが,その一台であろうと,現代の味気ないバイクには無い魅力が満載されている。それがカワサキ空冷であるというだけで,あらゆる現代のバイクを超える味わいがあるのだ。

写真提供;カワサキ

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Kawasaki Z1100GP(B2)

Kawasaki Z1100GP

カワサキZ1100GP

その次に出た一本サススイングアーム,空冷カワサキGPZ1100Fと紛らわしいのだが,似たような名前で登場したZ1100GP,そのマイナーチェンジ版である。最初期モデルの空力カウルが不評だったのか,スピードメーターを変更してZ1000Rと同じフロントカウルを装着している。
インジェクションモデルで,当時としては最新の技術を搭載した2本サス,J系エンジンの発展系にインジェクション,カワサキのフラッグシップであった。

中古車マーケットで人気がイマイチな理由はインジェクションであるということ以外には見当たらない。距離を走っている個体ならば,すでに劣化している古いコンピュータ制御のインジェクションシステムをキャブに換装するだけで,空冷カワサキの真骨頂を見せてくれるだろう。

サイドシルエットを見れば解るように,かのローソンレプリカのインジェクション仕様だと思っても良いだろう。こちらはエンジンが最初から1100ccなので,Z1000RのS1タイプのカスタムを造るベースにしても良いかもしれない。
もちろん,インジェクションをいじれる技術があれば,最新の軽自動車のシステムを搭載するなどすれば,使い勝手の良いバイクができあがる。
もちろんそのままでも,たった一台,生涯の伴侶として良い名車であることに疑いはない。

写真提供;カワサキ

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Kawasaki Z1000R/ KZ1000(R1)

Kawasaki Z1000R

カワサキZ1000R(R1)

1981年に登場した新時代のカワサキ空冷フラッグシップであるZ1000Jを基に製作されたレーサーを駆って,天才ライダー,エディ・ローソンがAMAでチャンピオンとなった。それを記念してZ1000J(J2)を基に製造されたZ1000R。
ワークスレーサーのレプリカで,通称,「ローソン・レプリカ」と呼ばれる。
同時期のカワサキのフラッグシップはインジェクション仕様のZ1100GPであった。それよりも高価な設定であったという。

また,純然たるサーキット用としては,Z1000S1があった。サーキット専用だということで,真のローソン・レプリカは,そのS1だという意見もあるが,公道用として市販されたZ1000Rもローソン・レプリカの名に恥じない名車中の名車である。

世界のオートバイの歴史の中で輝く名車の一台であろう。北米向けと南アフリカ向けを合わせて僅か1100台程度が生産されたに過ぎない。

カーカーのマフラーが神戸のカワサキ工場で取り付けられて出荷された。タンク上にはエディ・ローソンのサインの入ったステッカーが貼られている。「R」の3兄弟の中では,同じライムグリーンでも,青と白のラインの入り方が異なる。

写真提供;カワサキ

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Kawasaki Z1000R/ KZ1000(R2)

Kawasaki Z1000R 2

カワサキ Z1000R(R2)

1982年にエディ・ローソンのAMAでの連勝を記念して,ワークスレーサーのレプリカとして発売されたZ1000Rの後継機種,第二世代である。
1983年にはエディ・ローソンはカワサキからホンダへと移籍したので,エディ・ローソンの広告イメージが消され,Z1000Rは単にスーパーバイクレプリカと呼ばれた。
Z1000R1より多少ハイカム化されており,キャブも少し改良されたものが付いていた。マフラーは依然カーカーであるが,サイレンサーは少し小径で音が静かになっている。
欧州向けは2本出しのマフラーが装着される。また,欧州向けと北米向けではフレームディメンジョンのキャスター角が異なっている。カム,キャブなどでも,R1よりは多少改良が進んでいる。メーターはR1とは異なり,一体式のものとなって照明が少し地味になっている。

全部で9000台ほどが生産されたので,マーケットでの残存数も多い。空冷カワサキは初代の方がもてはやされ,マーケットプライスも高くなるのだが,よほどサーキットとエディ・ローソンに思い入れがある場合は除いて,空冷カワサキのレーサーレプリカと言うならば,R2がベストな選択だろう。基本はZ1000Jのエンジンなので,Z1100Rに比べると補修パーツも入手しやすく,メンテナンスも多少は楽である。
外装カラーは,北米向けはライムグリーンのみだが,欧州向けには赤白青のトリコロールがある。

写真提供;カワサキ

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