カワサキ空冷「R」三兄弟,すなわちZ1000R1,R2,そしてこのZ1100Rはいずれも素晴らしいが,筆者にとっては今のところ,最終完成版のZ1100Rがベストである。Z系に比べると車体が大柄なので,長距離も楽だ。そして,エンジンは空冷最強のGPZ1100Fのエンジン。これは異次元の空冷カワサキである。
Z1000Rの3兄弟は,ノーマルのままで十分現在の道路事情に適応する。ノーマルでカーカーマフラーの咆哮を聴くだけでも至上のバイクである。カスタムするとしても,せいぜいキャリパーとショック,キャブを交換するだけか,ホイールをすこし幅広にする程度で十分である。写真のような状態にまで仕上げるとなると,費用もかかるから,カスタムするならば慎重に進めたい。
カスタムバイクというものは,車体が止まっているその姿勢だけで,どの程度に仕上げられているかがある程度は解る。近寄って見ると,さらに技術レベルが見えてくるものだ。
Z1000R1をはじめとする「R」のカスタムバイクは,残念ながらあまり良いとは言えない改造が多い。Z系や他のJ系に比べると,そもそも生産台数が少ないから,ノウハウが確立されていないということなのだろうか。
Z1Z2がまだまだ改良の余地を残した初期バージョンであり,いわばマージンが多いのに対して,Z1000R,さらにはZ1100Rは,パイプフレーム,二本サス,空冷インラインフォアのいわば最終発展形であるから,ノーマルの状態で高次元でバランスしていると言える。
それをある意味崩すのがカスタムであるから,その高次元のバランスをさらに高める領域に達するのは至難の業なのであろう。
写真のBitoカスタムも,ほぼ極限までチューンされたエンジンとキャブや,前後のショックのバランスなどで,実に微妙に変化するので,Z2に比べるとセッティングには結構苦労した。
Rに限らず,J系全般に言えるのだが,エンジンがラバーマウントされているので,ドライブスプロケットの上部のエンジンマウントラバーがすぐに劣化することが弱点である。定期的にエンジンマウントラバーを交換することがJ系フレーム全般の要である。
ゴム・ラバーは紫外線で劣化するのである。J系の場合,エンジンマウントラバーがヘタったまま続けて乗っていると,強大なパワーでフレームが歪んでくることもある。対策は,①定期的にラバーを交換するか,②フレームに補強を施す,のいずれかである。
(どこかで経年劣化の少ないポリウレタンのマウントを生産してくれないかと思っている。イギリスのポリブッシュに何方か依頼して頂けないだろうか。)