Kawasaki  Z750 Four(D1)

Z750 Four D1

Kawasaki Z750 Four(D1)
カワサキ Z750 フォア
 販売年 1977~78年

 車台番号 KZ750D-000111~002300(運輸省認可型式はKZ750D)
 エンジン番号 Z2から連番
 総生産台数 2189台

国内向けのカワサキフラッグシップにおいて,Z2スタイルの最終版がこれである。一般に,D1(ディーワン)と呼ばれる。フレーム番号も,それまでのZ2F-****ではなくなり,KZ750D-****と書かれる。生産台数が極端に少ない。国内向けのモデルだが,少数が輸出された。

Z2時代に比べ,多くの改良がなされているZ1000A2の車体がベースである。キャスターが,Z1/Z2よりも立てられており,それにともなってトレールが3mm減少,そしてホイールベースが5mm短くなっている。ブレーキはトリプルディスク化され,フレームも強靭になっており,Z2に比べると,実に乗りやすい。金色のラインが流麗である。

生産台数も少なく,性能も良いのだが,Z2人気の下でZ2スタイルのベース車として扱われたことがあり,Z2の火の玉カラーに塗りかえられたり,果てはZ2スタイルのサイドカバーまで販売されるなど,変な現象が生じた。

エンジン型式はZ2のままなので,これをゼッツーと呼ぶ人がいるが,当時は,ゼッツーではなく,フォアと呼ばれていた。同時期に発売された二気筒のZ750Bが,サイドカバーにTWINと書かれたステッカーが貼られていたことに対して,こちらはFOURと書かれたステッカーが貼ってあった。カワサキのラインナップは,ナナハンツイン,ナナハンフォアのコンビネーションだったのである。

昭和62年に,カワサキが発行した「The KAWASAKI  Vol.1 カワサキイズムの研究」という冊子に,Z2Aまでを指して,「いわゆるゼッツーと呼ばれるのは本来この時期までである」という記述がある。そして,その後のモデル,すなわちZ750A4を,「Z750FOURとネーミングされ」たという記述がある。つまり,昭和62年,1987年にはすでに,カワサキ自身も,ゼッツーという呼称の指すところの車種分類が混乱していることを認めながら,Z2を定義しているのである。

また,同書には,「1977年,Z2スタイルの最終モデルZ750 FOURが発売される」と書かれている。言うまでもなく,Z750D1のことであるが,「Z2スタイル」と書かれていることが,さらにZ2とはZ2Aまでであること(D1はZ2ではないこと)を示唆している。

Z2信奉の強さから,D1をZ2に似せてカスタマイズする例が多かっただけではなく,これを無理やり「Z2」と呼ぶこともあるが,Z750フォア,ナナハンフォア,そして,D1,は,他の何物でもないそれぞれの機種である。そのなかでD1は,「丸Z」の完成形であり,さらに,同一型式名でのカテゴライズでは,もっとも生産台数が少ない超希少モデルである。その事実を大切にし,誇りをもって所有してもらいたい。

希少性という観点では,市販モデルの中では,Z1000R1の約800台,Z1100Rの約1000台,などに次いで,D1の2189台という生産台数は,かなり少ない方である。火の玉カラーのZ2が3600台くらいだとすると,その希少性がわかるだろう。

軒先の雨ざらしが普通であったように,保存環境の良くない日本国内モデルは残存率も低いだろう。もしかするとZ1000R1やZ1100Rよりも,地球上に残存している台数は少ないかもしれない。

Z2初期型に次いで,D1は貴重な希少モデルである。

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