カワサキGPz1100(A1,A2,A3)
発売年;1983年
型式名;ZX1100A
120ps/8750rpm
10.2kg-m/8000rpm
カワサキZ1の末裔,空冷フラッグシップ最後の製品である,GPz1100。空冷カワサキ最強のエンジンと言われる。
Z1に派生する空冷エンジンを大幅に改良したJ系エンジンの最後のバージョンである。インジェクションモデルである。
最強のカワサキ空冷エンジンと呼ばれる所以は,排気量が1100ccとなり,シリンダーヘッドの燃焼室形状は半球型となった。このエンジンはきちんとチューンすると,ワンランク上の空冷カワサキが出来上がる。それまでのZ1やZ1000,Z1000J,R,などのチューンドエンジンとは異なる次元になる。
空冷の時代の終焉において,カワサキが方向性を模索していた時期であるとも言われる。また,車体が日本人には大きすぎるようで,「大きくて重い」と酷評されたりする。
身長が175程度以上あれば,忍者GPZ900Rとさほど変わらないような印象を持つとは思われるが,いかんせん,シャーシの設計にはまだまだ時間が必要だったのだろう。この直後には水冷の名車,ニンジャGPZ900Rが発売されたが,ニンジャが前輪16インチ,後輪18インチになったのに対して,GPz1100は,前輪18インチ,後輪17インチである。そのように,ホイールのサイズやシャーシにおいても,暗中模索の時代の中にあったと思われる。
いくつかの理由で車体にはあまり人気がなく,最強のカワサキ空冷エンジンを従来のZ系やJ系に転用するために,エンジンだけが抜き取られることが多かった。車体全体では残存率は少ないと思われる。
パワフルなエンジンであるだけに,経年劣化している個体が多いのは否めない。また,クランクの位相がずれてしまっているものも多い。クランクの位相調整まで含めて,きちんとオーバーホールすると,たいしたエンジンであることがわかるだろう。
昔のインジェクションであるから,レストアして乗るにはキャブに変更することが多い。最近はバイク用のインジェクションシステムも多種出ているから,最新のものに換装すると良いかもしれない。空冷カワサキ最強のエンジンと呼ばれるように,至上最高のエンジンである。
ローソンレプリカの末裔,Z1100Rも同じエンジンを搭載しており,こちらはキャブ仕様である。
上の写真はシリーズの最初のグループであるA1。以降,A2(下の写真),A3と続く。A3は特に生産台数が少ない。
カワサキGPz1100(A2)
写真提供;カワサキ
参考;Z1・Z2の神話–誕生の真実 全記録–
2006年 スタジオタッククリエイティブ
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