過年度は,初めての試みなので,本当に,試行錯誤の一年であった。フルレストアからカスタムまで,さらにSRのカスタムといういわばオマケまで入れてしまって,車両数が増えた一方で,途中でスタッフが減ったり,新しく導入したブラストマシンがうまく稼動しなかったり,塗装の設備を整えるのに手間取ったりで,結局,なにがなんだかわからにうちに進んでいったとの感が強い。
まったく何も知らない学生さんたちに,一から技術を教えるというのは結構大変なことである。工具の使い方,ヤスリのかけかた,金ノコの使い方など,初歩的な作業の指導をしなくてはならない。
Z2レーサーの製作やZ1Rのカスタムと言っても,最初から計画した完成形を目指すような予算もないから,寄せ集めの中古パーツを磨き上げて,使えるものを使うという程度のであるから,あちこちツジツマ合わせにも難渋した。しかし,おかげで,合わせなくてはならないポイントはよくわかったように思う。まだ走行しての調整までは至っていない。Z2レーサーとZ1Rについては,今年一杯かけて,シェイクダウンしていこうと思っている。
さて,今後の目標。
Z2の完全なレストアを行う。フルレストアの費用や段取りがある程度理解できてきたので,本番Z2を取り上げたい。しかしこれは初心者には触らせたくないので,授業の傍らで,じっくりと進める予定。一台はノーマルで,もう一台は,,,これこそ,最新技術でレトロな新しいカスタムを目指したい。インジェクションで,触媒付きという,環境に配慮するZ2かな。排気量を考えると,Z1のほうが良いかな。
Z1000Rのレストアとカスタムについては,素材がまだもうすこしあるので,これも継続する。黒塗り系Jエンジンの要点と,電気式メーターが多少は分かってきたので,次回はもうすこし上手く仕上げようと考えている。Z1000RとKERKERマフラーの組み合わせは最高である。実はヨシムラピストンを確保してある。
Z1000LTDのカスタム。補強の入ったZ1000LTDのフレームとボロエンジンがあるので,これもZ1Rと同じく,カスタムに仕上げたい。これはすでに某先生がスポンサーとなって乗ることが決まっているので,性能重視。
KZ1000かGPZ1100Fをベースにチョッパー?ハーレーは,ありこちぶった切って多種多様なセンスで纏め上げている自由なカスタムが多いが,Z系はオーソドックスな定番がほとんどである。操縦性までを無視するようなのは論外だが,そこそこ走れるような程度で,自由な発想で仕上げてみたいと思っている。街中で下駄にするようなのと,ショーに出すようなのと。
ポリスをベースにツアラー。ポリスのフレームは補強が入っているので,よくカスタムベースに使われるが,スポーツ志向がほとんどである。両サイドとリアに大きなボックスを背負って,カウルもつけた長距離ツアラーを,ポリスベースで仕上げたい。J系ポリスは長く生産されていたこともあって数も多く,わが国にも大量に入ってきているが,大柄すぎるきらいがある。二人乗りにはある程度の車格があったほうがよいが,Z系のコンパクトさも魅力である。J系,Z系,それぞれのポリスをベースに,ツアラーを製作して,いつか,日本一周に出かけようと思っている。シルクロードを走ってイスタンブールを目指すというのもいいなあ。
そして,KCG伝統の洛北校が,それらの電気・電子制御関係を担当する。点火システムやインジェクションシステムも,独自のものを開発していきたい。資料は収集しているので,学生さんたちと遊びながら,面白いものを造りたいと思う。
そして,他には,水冷系として,姉御カワサキメリーさんのエリミネーターと,あとはニンジャも取り上げたいと考えている。水冷ではZ1300というのも射程距離内に入っている。これはホンダCBX1000を比較対象に研究したい。量産6気筒としては,べネリ・セイも忘れてはならないのだが,いかんせん,お目にかかったことがない。