Z1000R ローソンレプリカのカスタム

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カワサキZ考古学;概論(空冷カワサキの各車種を紹介しています。)

車台番号とエンジン番号・カワサキ1Z1,Z2,Z1000R
レストア・カワサキZ1,Z2,Z1000R
空冷Z関連の技術に関するtips・カワサキ空冷Z
カワサキ空冷Z系,J系

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Z1000R ローソンレプリカのカスタム

Z1000R

このZ1000Rのエンジンは,Bito R&Dの美藤さん監修によるものだが,日本には他に一流の腕前と呼ばれるカスタムショップがいくつかある。その中で,昨今気になっているのが,J&Jである。

兵庫県は淡路島の洲本の南に,J&JというZ専門のカスタムショップがある。片田舎の農村の中にある,民間自動車修理工場なのだが,ここのオヤジさんの腕には定評がある。いわゆるもの造り日本を体現しておられる職人肌のオヤジさんだ。

若い頃から,親方に付いて,エンジン加工の基本から学び,四輪ではかの有名な日産L型エンジンのチューンも極めながら,数々のレースでの実戦を積み重ねて,今は息子さんとともに本当の趣味人の相手をしておられる。事業を拡大することよりも,良いものを造るという職人の気概を全うしてきたような,そんな人生がにじみ出てくるような「語り」をされる。

そのJ&Jのオヤジさんから教えてもらったことを,思いつくまま列挙しておく。

チューンするベースになるエンジンは,メーカーで組み立てたもので,一度も分解していないものの方が良い。素人が一度でも分解組み立てすると,どこかに不具合が生じることがある。大抵の場合は修理できるが,それでも,修理する必要性のないものである確率が高い方が良い。

Z1の軽量クランクと,Z1000の重量級クランクとでは,それぞれまったく特性の異なるエンジンになる。四輪で空冷ポルシェのようなエンジンのように,吹けあがりと回転落ちの速いエンジンを造るには,もちろん,Z1のクランクが良い。

ヘッドのポート研磨は,必要以上にしてはいけない。インシュレーターやエキパイの中心に揃えて,同心円の円弧を描くような削り方をするのが基本。

長く走って「当たり」の出ているエンジンは,クランクケース,クランク,ミッションにそれぞれの当たりが出ているから,他のものと混ぜない方が良い。静かなエンジンを造るためには,それら三点を混ぜずに,最初からそのままである組み合わせを使う方が良い。

ヘッドのバルブシートは,メーカーの工作を切り割って見れば解るのだが,とても頑丈な造りになっている。バルブシートは,打ちかえるよりは,最初から付いているのを研磨して使う方が良い。打ちかえると,サーキットでレースの最中に外れたりする例をいくつか見たことがある。

Mk.IIのスプロケットシャフトは,従来のZよりも少し長い。従い,外側にオフセットするなら,少しでも長い方,即ち,Mk.IIのものを選んだらよい。

あらゆるリプロパーツが出ているが,メーカー純正に勝るものは極めて少ない。ここ数年で,アメリカから入ってくるエンジンも良いものが少なくなった。良いものだといえるのは,10に1くらいだ。修理するのは可能だが,それなりに費用がかさむから,良いエンジンをベースにチューンしたい。

クランクのOHも,クラッチ部分のリビルトも,他所が決してしていないところまで,できるノウハウが蓄積された。多くのカスタムショップのエンジンが持ち込まれてくるが,まだその領域の工作を見たことはない。

ショップを見学させてもらって,クランクのリビルドの冶具や,その加工の説明を聞き,あるいはヘッドのポート研磨のノウハウを教えてもらい,そして,感嘆して,一度オヤジさんにエンジンを組んでもらいたいと考えている。世界戦を戦うレースの世界から培われたノウハウも重要だし,その結果が趣味人に応用されたときの楽しさは,多少は知っているつもりだが,同時にまた,国内草レースと国内の公道で培われたノウハウもある。またさらに,世代によって異なる味付けの違いもある。

エンジン物は,面白い。

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