拙稿が掲載されました

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カワサキZ2
カワサキZ2A
カワサキZ2B

カワサキZ考古学;概論(空冷カワサキの各車種を紹介しています。)

車台番号とエンジン番号・カワサキ1Z1,Z2,Z1000R
レストア・カワサキZ1,Z2,Z1000R
空冷Z関連の技術に関するtips・カワサキ空冷Z
カワサキ空冷Z系,J系

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拙稿が掲載されました

名誉なことに,先ごろ出版された「KAWASAKI Z1 カワサキZの源流と軌跡(三樹書房)」に,拙稿を掲載していただきました。これまで学会誌やあちこちの論文誌に拙稿が掲載されたことがありましたが,今回のが,我が人生で最も誇りに想い,嬉しく思いました。大槻幸雄先生,ありがとうございました。

KAWASAKI Z1 カワサキZの源流と軌跡

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京都コンピュータ学院自動車制御学科 
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世界標準となった日本の工業製品に学ぶ・・・川崎重工のZ1

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カワサキZ2
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カワサキZ考古学;概論(空冷カワサキの各車種を紹介しています。)

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世界標準となった日本の工業製品に学ぶ
――川崎重工のZ1 ――

KAWASAKI Z1

日本の企業が発案し、世界でスタンダードとなった技術はことのほか多い。西洋の発明でありながら、日本が世界をリードし、今なおスタンダードを造り続けている分野のひとつにオートバイがある。
川崎重工業株式会社は1972年にZ1(900スーパー4)という大型オートバイの販売を開始した。それは瞬く間に全世界を席巻し、多くのレースでも勝ち続けた。以来、マイナーチェンジやモデルチェンジを経て、約13年間にわたって、エンジンの基本設計にはさほどの変更もなく、そのオートバイは生産が継続された。そして今なお、世界中でZ1を旗手とする派生機種各車は愛用され続けており、オートバイのスタンダードとして、多くのメーカーのオートバイの模範ともなっている。通称「Z(ゼット)」と称される一連の製品はオートバイ趣味の王道として、世界で多くの趣味人に愛され続けている。

KAWASAKI Z1

 川崎重工業株式会社は1872年に創業され、日本の近代化と工業化、高度経済成長とともに歩んできた老舗企業である。明治時代には、日本最初の蒸気機関車(180型)の国内生産に成功し、その後、鉄道、船舶、航空や宇宙開発の分野で数多くの成果を残してきた。太平洋戦争時に飛燕、屠龍、などの戦闘機なども生産していた同社の航空機部門は、戦後、民需産業への転換を余儀なくされ、小型オートバイのエンジンの生産を始め二輪部門となった。現在、オートバイを中心とする同部門(モーターサイクル&エンジンカンパニー)は川崎重工全体の約3割の売上高を占めており、同社トップクラスの収益源となっている。
 
 Z1は、それまで生産車両に使用されてきたA、B、K、などのアルファベットが使用されてきた中で、最終の最高という意味を込めてZとしたという。発売から40年近くが経過しても、オートバイ趣味の一分野の最高峰として君臨し続けているという歴史の経過をみると、当初のネーミングはまさに正鵠を得ていたと言えるのかもしれない。

KAWASAKI Z1

 当時北米のカワサキ販売のエグゼクティブとして、前半はアメリカで、後半は日本にいて、Z1の開発から販売までを担った種子島経氏は、「開発開始から販売に至るまで、開発陣と販売陣とが“良い車を作る”という共通の目的のために協力し合い、そして成功した」と述べている。また、Z1開発当時、同社の単車事業部設計課長であった大槻幸雄氏は、「(自社で)持っている技術とか、人間の数とは関係なしに世界一の目標を掲げる。そして自らも率先してやる」ということが、「長」として重要な事であると言う。「世界一のものを作ったら、必ず勝つ、そのかわり必死になって頑張る」「昼夜兼業、土日返上でしょうね。それくらいやらないとできない」。 世界一を目指して、技術陣と経営・営業陣が力を合わせて、働いたのであった。

工業製品は往々にして、開発側の技術的側面や販売側のマーケティングのどちらかに重心が傾き、結果としてさほどの成功に至らないことが多い。販売台数が多くても、技術的には失敗作であるようなものもある。逆に、技術的には賞賛されても、販売で失敗しマーケットに受け入れられなかった製品もある。その点で、カワサキZ1は、技術的にも極めて優れた製品であり、マーケットにも広く受け入れられて、さらには、極めて長期間に渡って世界中で愛されている、世界のスタンダードのオートバイである。それを創ったのは、ほかならぬ日本である。
 
 我が国特有の機械工学と職人気質が生んだ過去の工業製品の成功事例を観察すると、今後の日本の方向性を考える一助となるかもしれない。戦後の昭和の時代に世界標準を創り上げた数多の日本メーカーと工業製品の中から、秀逸な一例である川崎重工の工業製品を取り上げ、日本の高度な技術力の未来を考えることも重要な作業であろう。

KAWASAKI Z1

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Kawasaki 900 Super 4 (Z1) カワサキZ1

Z1 Kawasaki



Kawasaki 900 Super 4(Z1)
カワサキ Z1
 発売年 1972年~73年
・試作車 Z1F-90001~900**(数十台がプロトタイプとして試作され,各国のプレスやディーラーに試乗されたという。5桁表示で9万番台はプロトタイプであり,市販車の9万番台は6桁表示となる。)
・市販車 Z1F-000001~
エンジン番号 Z1E000001~(「Z1E」とその後の連番の間には-ハイフンは付かない)
総生産台数は約19000台と言われているが,正確には不明。確認した最終番号はZ1F-019000番台である。およそ2万台程度が生産された。

メーカー量産の空冷インラインフォア,ツインカムエンジンとして世界初のモデルである。空冷インラインフォアはMVなどがレーサーとして生産していたが,量産車でのそれは前代未聞であった。
66mmスクエアの四気筒903ccエンジンから,82ps/8,500rpmを絞りだした。優秀なハンドリングと流麗なスタイル,そして何よりもその動力性能で,瞬く間に世界を席巻したのである。

現代,ネイキッドなどという概念が創出されたが,当時としては,オートバイはカウルなしが当たり前であって,わざわざネイキッドとか,空冷とか言わなかった。そして,それまでにないような流れるラインで構成されたZ1は,何よりも美しく,なによりも高性能だったのである。オートバイの概念を変え,オートバイの概念を創出した,世界に誇る日本の技術の結晶である。

さて,火の玉カラー(ファイアボール)と呼ばれるブラウンにオレンジ色の意匠のZ1は,細かく分類すると数種類に分かれる。

①プロトタイプ
Z1を発売するにあたり,カワサキは先行試作車を創って世界中のプレスやディーラーに配布した。それがプロトタイプと言われる数十台である。

②72年型あるいは最初期型
プロトタイプで寄せられた意見を基にさらに細部が煮詰められ,最初に市販されたのが最初期型である。カマボコ型フロントフォーク,一枚ガスケットなど,各パーツに特徴がみられる。

③73年型あるいは後期型
72年型で問題となった部分が次々と改良されていった。そして73年7月にはほぼ完成形となった。

北米向けにはオレンジ色と茶色の火の玉カラーが主であったが,ヨーロッパ向けには,通称イエローボールと呼ばれる,黄色と緑の配色もあった。
すべてエンジンは黒塗りであり,Z1とは黒塗りエンジンの車両を指す,という極論もある。続くZ1A,Z1BはあくまでもA,Bであって,純然たるZ1ではないという議論である。また,そのZ1の国内版こそがZ2であるから,Z2とは,Z1を生産されていたころのモデルだけを言う,などとの意見もある。

なにはともあれ,世界を席巻したZ1,火の玉カラーのそれは,今なお世界に冠たる日本のオートバイである。これを生み出した当時の技術者たちには,心から称賛と敬意を表したい。

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カワサキZ2
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Kawasaki 900 Super 4 (Z1A) カワサキZ1

Z1A Kawasaki

 Kawasaki 900 Super 4 (Z1A)
カワサキ Z1A
 発売年 1974年
 車台番号 Z1F-020001~
 エンジン番号 Z1E20001~

続くZ1Bが,Z1F-047500~となっているので,2万7500台程度が生産されたと推定できる。Z1では黒に塗られていたエンジンが,アルミ地肌となった。Z1の生産は73年7月あたりが最後で,8月になるとZ1Aになる。タンクのエンブレムがロングピッチになったこと以外はあまり変化はない。すなわち,73年7月生産のZ1火の玉と,8月生産のZ1Aとは,タンクのエンブレムがロングピッチになったことくらいで,大きな改良はないのである。

写真の赤系のカラーリングを火の玉カラーと並べてみると,色調に一貫性が感じられることがわかる。茶色のベースもオレンジ色のラインも,火の玉カラーに良く似ているのである。同73年12月あたりの生産からは,キャブがドレンビスタイプとなる。

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カワサキZ2
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Kawasaki 900 Super 4 (Z1B) カワサキZ1

Z1B Kawasaki

Kawasaki 900 Super 4 (Z1B)
カワサキ Z1B
 発売年 1975年
 車台番号 Z1F-047500~
 エンジン番号 Z1E047500~

 (続くZ900Aの車台番号が,Z1F-085701~となっているので,Z1Bは3万8千代程度が生産されたと思われる。Z1, Z1A, Z1Bで,総数約8万台程度と言われる。Z1Z2の神話には,昭和47年5月~50年12月まで,総数80,789台が生産されたと記載されている。

Z1から標準装備されていたチェーンの自動給油装置が廃止され,Oリングでグリスを封入したチェーンが採用された。サイドカバーのエンブレムの意匠も変更された。Z1の三兄弟のうち,最後のZ1である。
玉虫カラーとかウリ坊カラーと呼ばれる。

写真提供;カワサキ

参考;Z1・Z2の神話–誕生の真実 全記録–
2006年 スタジオタッククリエイティブ

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カワサキZ2
カワサキZ2A
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Kawasaki  Z750RS(Z2) カワサキZ2

Z2 kawasaki

Kawasaki 750RS (Z2)
カワサキZ2(750-RS) 1973年1月より生産

 車台番号 
 ・試作車 Z2F 00001~00025?(プロトタイプとして,20台程度が試作されたという。筆者の知人が16番~19番などを確認している。また,2番のフレームを確認したという話もある。)
 ・市販車 Z2F 00026~(カワサキの発表による。運輸省認可型式はZ2)
エンジン番号 Z2E 00001~
総生産台数 3662台(カワサキの発表による最終番号は3699),定かではない。

Z2,ゼッツーである。Z1で世界を一世風靡したカワサキは,国内自主規制による750ccを最大排気量とする,というレギュレーションのために,ボアとストロークをダウンした専用設計のエンジンを搭載して,Z750RS(ロードスター)として発売した。輸出モデルのZ1に対して,こちらはZ2と呼ばれた。

当時のオートバイ免許保持者にとって,Z2は最高最上の一台であった。サイドカバーの750の数字が誇らしげに輝き,四本マフラーのメッキが光っていた。

昭和48年(1973年)1月,国外向けZ1のボアダウン,ショートストロークのエンジンで,750ccのZ2の先行試作車(プロトタイプ)が20台ほど生産され,テストライダーや雑誌社に配られた。フレーム番号17番は「モーターサイクリスト」編集部,18番は「オートバイ」編集部が購入したという。これらは,同時期の1972年型~1973年型のZ1がベースであるから,国内向けプロトタイプの部品構成も,その時期のZ2に準じている。

昭和48年(1973年)1月とは,Z1では4000番台から6000番台あたりを生産していた頃であるから,各部品は,その頃のものが使用されている。現存するZ2の10番台は,いわゆる初期型フロントフォーク(カマボコフォーク)が装着されている。
Z2のフレーム番号は,昭和48年(1973年)2月には200番台,3月には500番台に達したが,それらには,カマボコフォークは装着されていない。
つまり,1972年型のZ1が,1973年型に移行してフロントフォークが二次型になったのと並行して,Z2も同じ部品に移行していったわけである。
Z1は73年7月に19000番台に達し,8月からはZ1Aとなり,タンクがロングピッチになった。それと前後して,Z2のタンクもロングピッチになったが,カラーリングは依然として火の玉が塗られたのである。従い,昭和48年(1973年)11月,12月頃は,実際のパーツ構成はZ1Aでありながら火の玉カラーのZ2が販売されていたようである。

カワサキの発表では,フレーム番号26番からが市販されたということになっているが,それより若い番号が数台確認されている。一説には,1番から20番までは試作車プロトタイプで,21番からが一般の市販ではないかとのことである。
また,10番台のうち数台は,全国の有力カワサキディーラーに配られ,展示された。そして,4月を過ぎてから登録され,一般に販売されたものもあった。したがって,フレーム番号10番台で4月登録の車体がいくつか残っているのだそうだ。

Z2の最初期 一枚ガスケットのモデルは,オイル漏れが多く発生し,国内の販売店に相当数のクレームが来ていたという。そして,今で言うメーカーリコールのような告知があったらしい。
メーカーはオイル漏れの原因を把握をする以前は,全てエンジン本体を販売店に送り返させて,販売店で,別のエンジンに乗せ替えていたのだそうだ。一枚ガスケット車は,初期に販売店でエンジンを乗せ換えたものが多い。
従って,フレーム番号よりエンジン番号が若いものも,逆も,かなりの数が混在する。その後,メーカーは対策を施し,ガスケットは2枚になった。

エンジンのシリンダーヘッドのガスケットが一枚のものは,Z2F-1086までと言われているが,乗せ換えられているものも多いし,後から欠番となっていたフレーム番号を使用して,後期型のパーツで組み立てられた車もあるようなので,「ある車台番号のパーツ構成はこうである」といった,はっきりしたことはわからない。

メーカー発表による「Z2の最終番号は3699」との説は,ただ単に,火の玉カラーが選べた750,というだけではないかと思われる。つまり,48年の1月から生産された先行試作車とそのあと数か月は,Z1の1972年型のパーツを使用しており,それ以降7月までの生産はZ1の1973年型とほぼ同じ部品構成で,8月以降はZ1Aの火の玉カラーリングの750が国内で販売されていた,ということのようである。

整理すると,「1972年式Z1」のパーツを使用している火の玉の最初期型Z2と,「1973年式Z1」のパーツを使用している火の玉の中期型Z2と,そして,Z1Aのパーツを使用している火の玉後期型Z2,以上の,少なくとも三種類がある,ということか。同じ火の玉カラーでも,最初期型と中期型はショートピッチの内プレスであり,後期型は,ロングピッチの内プレスタンクである。

最初に一世風靡した火の玉カラーのZ1のイメージで,国内販売は続けられたということは,それだけ,情報の少ない時代であったとも言えるし,また,それほど火の玉カラーのZ1が,世界で絶賛された証左でもあると言えよう。

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Kawasaki  Z750RS(Z2A) カワサキZ2

Z2A kawasaki

Kawasaki Z750RS(Z2A)
Z2A(750RS) 1974年-1975年
車台番号 Z2から連番(運輸省認可型式はZ2)
エンジン番号 Z2から連番

輸出フラッグシップのZ1がZ1Aへとモデルチェンジされたことに数か月遅れて,国内向けモデルは,「Z2A」となった。ところが,輸出モデルがアルミ地肌のエンジンとなり,車台番号がZ1F-20001からとなったのに対して,国内向けモデルは,車台番号はそのまま連番で打刻された。エンジンは初期モデルと同様に黒塗りのままであった。

ハンドル幅が,Z1の北米向けが800mm幅,ヨーロッパ向けが820mmであったのに対して,国内Z2の標準ハンドルは862mmであった。

Z2とZ2Aの違いは,塗装が火の玉かタイガーカラーかという違いとキャブがドレンタイプになったという程度であり,実際のところ明白な区分は難しい。

Z2とZ2Aのタンクはいずれも内プレスであるが,ごく初期のZ2を除いて,ロングピッチが大半である。Z1のショートピッチタンクが装着されていたのはごく初期のことである。また,Z2Bとも称される後半のモデルには,同じカラーリングで外プレスのタンクが装着されて販売された。

筆者は,フレーム番号が3100番台のタイガーカラーで,後期型Z1と同じフレーム(タンク後端の下部分のプレートに長円が空いている)のZ2を確認している。また,それより後の番号である3200番台で火の玉カラー,前期型フレーム(長穴が開いていない)のZ2を確認している。つまり,国内向けモデルの750は,輸出モデルZ1とZ1Aの部品が混在して使用されているようである。

カワサキの発表による,Z2の最終番号は3699であり,それ以降はZ2Aであるとのことであるが,3700番を境に大きな変化があったわけでもないようである。

車台番号とエンジン番号の管理においては,メーカーによって手法が異なるのだそうだ。ヤマハは,組上がったエンジンを車台に載せて,走行テストをしてから,エンジン番号とフレーム番号を打刻するらしい。対するカワサキは,エンジンが出来上がったらエンジン番号,フレームが出来上がったらフレーム番号,とそれぞれ別に打刻する。そして,完成車体の最終検査で,なにか不具合が見つかると,それは市販ルートに乗らず,欠番となる。あとになって,欠番となったエンジンやフレーム番号を再度打刻したこともあるようで,車台番号と各パーツの生産時期が前後することがあるという。
つまり,Z2とZ2A(あるいはBも含めて)との明確な違いは,メーカーによる車台番号の区切りがあるだけで,実際のパーツ構成はかなりバラバラで時代的にも前後している可能性が高いようである。

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カワサキZ2
カワサキZ2A
カワサキZ2B

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Kawasaki  Z900(A4)

Z900 A4 Kawasaki

 Kawasaki  Z(KZ)900A4(Z900)
カワサキ Z900A4
 発売年 1976年
 車台番号 Z1F-085701~
 エンジン番号 Z1E086001~

Z1からマイナーチェンジをして,カワサキのフラッグシップはZ900A4となった。
Z900A4はZ1Bから車台番号が連番となる。同じ900ccであり,マイナーチェンジなので,フレーム番号はZ1F-であり,エンジンもZ1E-である。が,チェンジ内容が多く,Z1のグループとは細目が異なる。
エアクリーナーの容量が増え,公害対策が施されて,出力が1psダウン,トルクも02kg-mのダウンとなった。フラッシャーにはハザードが付き,ヒューズも3系統になる。外観では,ガソリンタンクの蓋には鍵がつき,サイドカバーの形状も異なる。シート開閉レバーも無くなっている。
基本的にはZ1エンジンなので,これをZ1のグループに入れて同一車種とカテゴライズする人もいるが,車体は続くZ1000Aのほうに酷似している。

下の図は有名な「Original Kawasaki: Z1, Z900 & Kz900」 という書籍からの引用である。Z1からZ900A4までを,900ccということで纏めている。Zのエンジンは,900ccと1000ccではクランクが大きく異なるので,そのグループ化もひとつの根拠として理解できる。
ところが,Z2の方は74年モデルまででそれ以降の記載がない。750ccは1975年以降も生産されたし,Z900Aの国内向けであるZ750A4もあるから,こちらはそのカウントの根拠がわからないのだが,おそらく資料を入手できなかったのだろう。

しかし,これに基づくと,フラッグシップとして最大排気量の900cc,すなわち初代Z1からZ900A4までの「軽量クランクの900cc」は,アメリカで生産されたものも含めて,合計121,111台のようである。地球上に何台が残存しているかは知るすべもないが,12万台というと結構な数で,1000ccモデルを含めるとさらに大きな数となるのだから,空冷Zというオートバイ趣味のカテゴリーは,今後も長く続くと思われる。

カワサキZ生産台数一覧

Original Kawasaki: Z1, Z900 & Kz900 (Bay View Books)
David Marsden (著), Mick Duckworth (編集), James Mann (写真)
出版社: Bay View Books Ltd (1999/12)

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Kawasaki  Z750T (KZ750B)

kawasaki Z750B
Z750 Euro

Kawasaki Z750T(KZ750B)
カワサキ Z750ツイン
 発売年 1976年

Z1の系譜からは少し外れるが,同じ空冷で当時の国内最大排気量モデルである。Z750Four(D1)と好対照をなす同一時期モデルである。ナナハンツインと呼ばれた。
78mmスクエアの二気筒,750ccで,55ps/3,000rpm,6kg-m/3,000rpmと,低回転・常用回転域で最大のパワーを出す。すなわち,ゼロ発進の加速がすさまじい。車体も軽く,非常に乗りやすい。
この前には有名なW1,W3がカワサキの大型ツインとして君臨したが,こちらは新設計の「ツインカムの」大型ツインである。

同じZ750ツインでも,年式と仕向け地の違いでジオメトリーが異なる。左は国内向けの初期の頃のZ750,右の写真は輸出モデルである。フロントフォークの長さが違う。
(左の国内向けモデルは,外装を塗り直してある。オリジナルのラインとは異なるものになっている。右の輸出モデルはマフラーが左だしの集合管に交換されているが,その他はオリジナルである。)

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,のカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科
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Kawasaki  Z750RS(Z2B) カワサキZ2

Z2A(B) Kawasaki

Z2A(750RS) 1974年-1975年
車台番号 Z2から連番(運輸省認可型式はZ2)
エンジン番号 Z2から連番

総生産台数 正確には不明。Z2F-15900番台が確認されているので,Z2AとBを合わせて12000~13000台程度とも推測できる。また一説には,1万6千100番台でエンジン番号が+34番というのがあるという。また,1万6千499番までがZ2フレームであるという説もある。「Z1Z2の神話」には,Z2は昭和48年1月から50年12月までの期間に,総数として16,270台生産との記述がある。

タイトルは便宜上「Z2B」としているが,輸出モデルのZ1は,Z1,Z1A,Z1Bと三種類に分類されるのに対して,国内向けZ2のメーカーによる分類は,Z2とZ2Aだけであった。
Z2Aはフレ-ムNoZ2F-10336までで,それ以降はZ2B(後期)となるという説もあるが,明確に一線を引ける分類上の根拠はない。具体的に言うと,塗装以外にZ2Aとの違いがほとんど無いのである。塗装がZ1Bと同じものがZ2Bと呼ばれることがある,という程度である。

Z2は,輸出モデルの部品を使用した国内向け750であり,輸出モデルがマイナーチェンジをした後でも,以前の部品を使用していたりする。Z1はZ1Bになってチェーンの自動給油装置が廃止されているので,それに伴って国内向けZ2も廃止されたと思われるが,たったひとつの装備が違う程度であるから,運輸省認可事項とはならなかったのだろう。

塗装は,輸出モデルのZ1Bのブルーよりも若干暗い色で,スーパーダークブルーと称された。また,エンジ色っぽいスーパーダークレッドも少数ながら国内で販売された。
いわゆる内プレスタンクは,このモデルの途中までで,後半から外プレスタンクが装着されている。

近年,カワサキ「Z2」の概念が曖昧になっており,一部では,Z2とは何を指すのかというような,変な議論になっているらしい。「Z2とは,Z2とZ2Aのみである」という主流の意見と,「Z750D1までのいわゆる丸Zまでを含んで,丸Zの総称をZ2とする」という意見に分かれているようである。

 運輸省認可型式の「カワサキ Z2」は,Z750A5までであり,車両の認可型式を基準に言うならば,Z2,Z2A,Z750A4,Z750A5の以上がZ2になる。認可型式を根拠に分類すると,その後のZ2とほぼ同型のKZ750D1は除外されることになる。

 エンジン型式を基に定義するならば,Z750FXのD3までが,「Z2E」から始まる番号の同一型式のエンジンを搭載していたので,そのZ2エンジンを搭載しているならばすべてZ2であると言うことになろう。そうすると,Z2の概念は,いわゆる角ZのZ750FXを含むことになる。

 タンクなどの外観の形状で分類するならば,いわゆる丸Zと角Zということになろうが,その外観を細かく分類すると,①初期型ショートピッチタンク,②一次型ロングピッチ内プレスタンク,③二次型ロングピッチ内プレスタンク,④外プレスタンク,そして⑤Z750FXの角タンク,以上の5種類になる。

 ここで,「タンク形状が丸くて4本マフラーである」か,「タンク形状が角ばっている」か,というだけをもって二つのグループに分類するのはともかくとして,「D1までのグループはすべてZ2であり,角ZはZ2ではない」と言い張るのは強引に過ぎる。

 運輸省の認可型式は法的に必要なものであるが,その命名はいわば便宜上のものなので,生産元のカワサキのコンセプトメイキングと事業戦略による概念構成と,当時Z1とZ2と称されたという事実から考えると,「本家Z1あってのZ2」という,原点での命名が基準であろう。そうすると,Z2とは,Z2とZ2Aのみであるということになる。

 つまり,カワサキZ2とは,「カワサキZ1のボアダウン&ショートストロークの国内限定特別仕様」のことであると定義するのが一番適切であろう。Z1,Z1A,Z1Bを「Z1」というのであるから,Z2はZ2,Z2A(Z2Bも含む)であると言えよう。

実際,筆者とその友人たちは,Z2A(B)までをZ2,ゼッツーと呼んでいたし,Z750A4以降のモデルは,ナナハンフォアと呼び,Z2とは別モデルであると認識していた。

写真提供;カワサキ

参考;Z1・Z2の神話–誕生の真実 全記録–
2006年 スタジオタッククリエイティブ

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カワサキZ2
カワサキZ2A
カワサキZ2B

カワサキZ考古学;概論
車台番号とエンジン番号・カワサキ1Z1,Z2,Z1000R
レストア・カワサキZ1,Z2,Z1000R
空冷Z関連の技術に関するtips・カワサキ空冷Z
カワサキ空冷Z系,J系

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空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,のカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

京都コンピュータ学院自動車制御学科

京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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