カワサキ Z1000J
発売年;1981年
カワサキZ1が発表されたのは1972年のことである。マイナーチェンジを重ねて1979年のZ1000Mk.II まで,その系譜は続いた。
そして,それまでの空冷Zをリニューアルし,エンジンとシャーシに大幅な改良が施されたのが,Z1000Jである。エンジンはZ1よりも7kg以上軽量化され,車体全体で15kgほど軽くなったと発表された。
排気量は当時のAMAスーパーバイクレースのレギュレーションに合わせて995ccとなった。
カワサキZ1,Z2から始まり,Z900,Z1000,Z750F,Z750D-1,Z750FX,Z1R,Z1RII,Z1000Mk.II,など,エンジンの基本設計がZ1からのモデルを,通称「Z系」という。
それに対して,Z1000J以降の軽量化され高性能になったカワサキフラッグシップのエンジン,またはそれを搭載したモデルを「J系」という。Z1があまりにもよく売れたため,比するとJ系の総数は少ない。一説には「一桁少ない」のだそうだ。
新型エンジンであるJ系は,それまでのZ系に比べると,回転上昇スピードも速く,パワフルである。クランクもレーサーのように軽量化されている。ミッションのギヤ比が若干クロスになっており,日本のワインディングでも走りやすい。新型ブレーキキャリパーは,それまでのZ系に比べると,かなり良くなっている。
Z系は,国内発売モデルがボア&ストロークダウンだけだったのに対して,J系の時代になると,国内発売の大型モデルが,輸出向けのフラッグシップの外装を模したワンサイズ小型の750ccとなった。それもあって,J系は国内では少なく,人々が実際にカワサキフラッグシップの車体を見ることも少なかったのである。
そして,エディ・ローソンの活躍とその記念モデルであるZ1000R1だけは,後年,有名になったのだが,他は,J系の伝説は少ない。それゆえ,あまり評価されていないような印象を持たれるようである。
しかし,空冷カワサキのフラッグシップは確実に進化発展している。Z系よりは,よりレーシーになっており,あらゆる点で勝っている。ノーマルで乗るならもちろんのこと,とことんカスタムしフルチューンするとしても,J系の方が勝る。空冷大型エンジンの良さを全て保持しながら,さらに性能が上がっているのは事実である。
Z1000Jとその兄弟たちに乗ると,バイクでスポーツすることのなんたるかを知ることができるだろう。
写真;カワサキ
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