「クルマ・バイク好き集まれ!」オープンキャンパス・ワークショップ
再塗装され,磨き上げられて出番を待つカワサキZ1000Rのパーツ。
こういったアルミ合金の鋳物は,ボルトで接合すると,ボルト穴の部分が盛り上がり,中間部分のガスケットの接合が甘くなる。そこをどのように処理するかが腕の見せどころ。
液体ガスケットは,日産のベンガラ色がベストである。見栄えを気にする向きもあるが,性能を重視したい。
「クルマ・バイク好き集まれ!」オープンキャンパス・ワークショップ
再塗装され,磨き上げられて出番を待つカワサキZ1000Rのパーツ。
こういったアルミ合金の鋳物は,ボルトで接合すると,ボルト穴の部分が盛り上がり,中間部分のガスケットの接合が甘くなる。そこをどのように処理するかが腕の見せどころ。
液体ガスケットは,日産のベンガラ色がベストである。見栄えを気にする向きもあるが,性能を重視したい。
使用している剥離剤は,三彩(さんさい)化工株式会社製。
強力タイプが ネオリバー SP-751
http://www.sansaikako.co.jp/pdf/neo1/100.pdf
一般のものが ネオリバー ♯100
http://www.sansaikako.co.jp/pdf/neo1/sp-751.pdf
一般の,ウレタン塗装では♯100で十分で,PS-751は自動車用塗膜をはく離することためにはほとんど使われていないらしい。
古いフレームの塗装と,とりわけキャストホイールの塗装を剥離するには,強力なタイプが効くのだが,匂いがキツイ。
クランクは,コンロッドとウェイトの間の隙間をゲージで計る。マニュアルの規定値ならOKとしたいところだけれど,コンマ1mm程度少ないのを限度と考えたほうが良い。
フレが出ていないかを見て,出ていれば銅ハンマーで叩いて治すのだが,これは素人には難しい。きちんとした治具(ジグ)が必要であるので,プロに修正してもらう。
何十本も何百本も,カワサキZのクランクを触っていると,使用限度がただちにわかるらしい。コンロッドを持って左右にゆすると,ある程度限度がわかるというが,百本触ってわかるというようなものだろうと思われる。
準備8割組立て2割が,こういった職人仕事の常であるが,組立てに至るのはまだまだ先のこと。今は下準備の日々。
旧車はボルトがさび付いたり,固着していたりする。旧車のエンジンを分解していくと,プロでもボルトを捩じ切ってしまうことがある。特にアルミエンジンに鉄やステンレスのボルトなど,異なる金属同士を締めてあるものは,電位差が原因で錆びて固着していることが多い。
ボルトの捩じ切りを防ぐためには,潤滑剤をたっぷりと吹きかけて,長時間放置することである。決してあせってはいけない。
捩じ切ってしまったボルトには,小さな穴を開けて,逆ネジのボルトを入れたり,エキストラクターという特殊工具を入れて回すのだが,これが結構難しい。ボルトを折らないに越したことは無い。
Zのエンジンは,そもそもとても丈夫な過剰品質と言われるものなのだが,人為的なミスによって破損していることが多い。扱い方を熟知しておかないと,貴重な文化遺産を破壊することになるので,自信の無い向きは,触らないほうが良い。原付のエンジンなどで練習して,何本もボルトを折ってから,Zエンジンにかかるようにしたいものだ。どうか,この名作エンジンを一機でも多く,後世に残してください。
小物パーツはジップロックに入れて整理していく。
ボルトをどんどんほどいていったらよいだけなのだが,一番の注意点が,エンジンを下ろすところだろうか。カワサキZのエンジンは70キロほどあって重たいので,必ず二人か三人がかりで行う。
一人だと,床に古布団を敷いて,横に寝かせて外すという方法もあるけれど,やめておいたほうが良い。フレームから外しても,床にはクッションをたっぷり厚く敷いて,フィンを割らないように細心の注意を払うべきである。そぉ~っと。金属だから固いだろうなんで思わないこと。アルミの鋳物はとても弱い。
エンジンを下ろすときは,前のマウントボルトから外していく。後ろ下のボルトが最後。後ろ一本のマウントボルトになる前に,フレームに,古タイヤチューブなど,厚手のクッションを巻いておくこと。決して直接フレームに接触させないこと。
近年,レストアベースのカワサキZも価格が高騰してきた。しかし,「値段が高いから」ではなく,「今後減少する一方の貴重な文化遺産を取り扱うのだ」という意識を持つべきだと思う。値段の高低よりも,この世に残存する数のことを考えて,二度と生産されることのないこの名機を,ひとつでも多く後世に残すべきだと思うんだ。
分解したパーツをデスクの上に並べて整理する。ピストンには番号を振っておく。1番シリンダーに入っていたピストンは,1番シリンダーに戻す。
Zのエンジンを分解するときの注意点を。
Zに限らないが,およそ自動車・バイクのエンジンを分解するときは,ボルトの固着がある。無理すると捩じ切ってしまうから,すこしでも固着していると思ったら,ラスペネやCRCなどの浸透性潤滑剤を吹きつけてしばらく放置すると良い。
基本的に,エンジンはボルトを解いていけば,分解できるので,たいした問題はないはずだが,Zのエンジンの場合,ヘッドを外した後,シリンダーとクランクケースを離すときが一番難しいかも。
エンジンはプラスティックハンマーでコツコツと叩く。ガツンとしないこと。あくまでも優しく,ドアをノックする調子で,コンコンと何度も叩くと,だんだん剥がれて来る。
Zの後期型のエンジンは,シリンダー横に,プライバー(Ply Bar=長いマイナスドライバーの曲がったみたいなの。テコの原理で力を入れるときに使う道具。)を差し込む隙間があるが,前期型にはない。
シリンダーフィンの上下に補強の入っている部分と,クランクケースはオイルプレッシャーのあたりのリブとの間に,プライバーを差し込む。
エンジンはアルミの鋳物なので,くれぐれも割らないように。床に落としたり,無理にこじると簡単に割れます。