Kawasaki 900 Super 4(Z1)
カワサキ Z1
発売年 1972年~73年
・試作車 Z1F-90001~900**(数十台がプロトタイプとして試作され,各国のプレスやディーラーに試乗されたという。5桁表示で9万番台はプロトタイプであり,市販車の9万番台は6桁表示となる。)
・市販車 Z1F-000001~
エンジン番号 Z1E000001~(「Z1E」とその後の連番の間には-ハイフンは付かない)
総生産台数は約19000台と言われているが,正確には不明。確認した最終番号はZ1F-019000番台である。およそ2万台程度が生産された。
メーカー量産の空冷インラインフォア,ツインカムエンジンとして世界初のモデルである。空冷インラインフォアはMVなどがレーサーとして生産していたが,量産車でのそれは前代未聞であった。
66mmスクエアの四気筒903ccエンジンから,82ps/8,500rpmを絞りだした。優秀なハンドリングと流麗なスタイル,そして何よりもその動力性能で,瞬く間に世界を席巻したのである。
現代,ネイキッドなどという概念が創出されたが,当時としては,オートバイはカウルなしが当たり前であって,わざわざネイキッドとか,空冷とか言わなかった。そして,それまでにないような流れるラインで構成されたZ1は,何よりも美しく,なによりも高性能だったのである。オートバイの概念を変え,オートバイの概念を創出した,世界に誇る日本の技術の結晶である。
さて,火の玉カラー(ファイアボール)と呼ばれるブラウンにオレンジ色の意匠のZ1は,細かく分類すると数種類に分かれる。
①プロトタイプ
Z1を発売するにあたり,カワサキは先行試作車を創って世界中のプレスやディーラーに配布した。それがプロトタイプと言われる数十台である。
②72年型あるいは最初期型
プロトタイプで寄せられた意見を基にさらに細部が煮詰められ,最初に市販されたのが最初期型である。カマボコ型フロントフォーク,一枚ガスケットなど,各パーツに特徴がみられる。
③73年型あるいは後期型
72年型で問題となった部分が次々と改良されていった。そして73年7月にはほぼ完成形となった。
北米向けにはオレンジ色と茶色の火の玉カラーが主であったが,ヨーロッパ向けには,通称イエローボールと呼ばれる,黄色と緑の配色もあった。
すべてエンジンは黒塗りであり,Z1とは黒塗りエンジンの車両を指す,という極論もある。続くZ1A,Z1BはあくまでもA,Bであって,純然たるZ1ではないという議論である。また,そのZ1の国内版こそがZ2であるから,Z2とは,Z1を生産されていたころのモデルだけを言う,などとの意見もある。
なにはともあれ,世界を席巻したZ1,火の玉カラーのそれは,今なお世界に冠たる日本のオートバイである。これを生み出した当時の技術者たちには,心から称賛と敬意を表したい。
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カワサキZ考古学;概論
車台番号とエンジン番号・カワサキ1Z1,Z2,Z1000R
レストア・カワサキZ1,Z2,Z1000R
空冷Z関連の技術に関するtips・カワサキ空冷Z
カワサキ空冷Z系,J系
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空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,のカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科
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