Z学 2011年

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カワサキZ2
カワサキZ2A
カワサキZ2B

カワサキZ考古学;概論(空冷カワサキの各車種を紹介しています。)

車台番号とエンジン番号・カワサキ1Z1,Z2,Z1000R
レストア・カワサキZ1,Z2,Z1000R
空冷Z関連の技術に関するtips・カワサキ空冷Z
カワサキ空冷Z系,J系

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Z学 2011年

ご報告が遅れたが,今年度も自動車制御実習特論,通称「Z学」を開講している。

Z2

まずは教室でPPTを用いて概要説明。

Z2

カワサキZ2,Z1000R,そしてGPZ900Rを題材に,各部の説明をして,メンテナンスの基本からレクチャーする。

Z2

受講生は,専門課程と大学院と,双方からバイク好きがやってきた。

Z2

空冷Zのエンジンの組み立ても実行中。

z2

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さて,2009年度の開始

カワサキ Z1

さて,新年度が始まる。

今年の空冷カワサキの授業は,どーしたもんか?
読者の皆様も,ご意見くださいね。ヨロシクお願いいたします。

世の中不景気ですが,我らが日本の誇りである名車の,研究を続けたいので,有用なテーマを考えております。追って新学期開始の後,学生さんたちとも相談するのですが・・。

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カワサキ空冷Zの研究と,コンピュータ?

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

Z1000R1 ローソンレプリカ

北米向けローソンレプリカ カワサキZ1000R1である。ほぼオリジナル。

しかし,暑い。昨日の京都の最高気温は37.5度だったらしい。子供のころには,30度になるのは珍しかった。1時頃の直射日光の下に温度計を置き,30度になったと騒いでいたのを覚えている。

地球温暖化とこのようなバイク趣味と,そしてIT・コンピュータの関係・・・。
今後,内燃機関は水素エンジンなど別のものに変わっていくだろう。ヨーロッパでは,危険な二輪は減少する方向であると考えられているらしい。
しかし,二輪にしても四輪にしても,ある特定の車種には,熱烈なファンやマニアが発生する。それは,単なる移動の道具を超えたなにかがあるからだ。

いずれ交通機関が何か違うものに変わっていっても,そういった移動する道具以上の価値というものは,継承されていってしかるべきだろう。そこに,カワサキ空冷Zを研究する意味を見出している。

そして,ソーラーカーやエコ自動車の研究は,他に任せて,自分が乗って楽しいこと,を第一義的に考えたい。

いまや世界のゲームメーカーとなった任天堂は,古くは花札やトランプの印刷会社であった。70年代に京都コンピュータ学院の卒業生を大量に採用して,コンピュータゲーム部門を立ち上げた。

初期の任天堂のゲーム部門は,全員が京都コンピュータ学院卒業生で,かのマリオブラザーズなども,卒業生の作品である。

コンピュータゲームのように,人間の娯楽のために使う技術というもので,世界経済をリードするために,自動車やバイクにおける,IT/コンピュータ部門についても,本学は前向きに捉えたい,というわけである。

しかし,暑い,今日も。

京都コンピュータ学院自動車制御学科


京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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工具箱の上の丼飯 突然宴会

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

丼

工具箱の上に,近所のこのみ食堂の極盛りカツ丼。
作業が終わって,いきなり宴会。
(成人は発泡酒,未成年はソフトドリンク。)

丼

豊かな笑い,話が弾む。腹いっぱい。

丼

案の定と言うべきか,予定より遅れているので,夏休みは補習必至。でもまあ,陽気に行こう。カワサキ乗りとカワサキ乗りの卵は明るいのさ。

京都コンピュータ学院自動車制御学科 クルマ・バイクが好きで,将来高収入と安定した生活を望む人の進学先,日本最初のCarITの学科です。全員が自動車関係の会社にIT技術者として就職しています。「高校までの勉強が嫌いで,バイクや車が好きな人」にとっては,かつては自動車整備士の養成学校が進学先でしたが,これからはCarITです。生涯賃金が違います。

京都コンピュータ学院 日本最初のコンピュータ教育機関,求人倍率は例年軽く70倍(単純計算すると,一人に70社から求人が来るということです)。伝統と実績のKCG。4年課程を卒業すると,一般の大卒と同等の学歴になります。大卒との生涯賃金の差異も無くなります。「とりあえず大学へ」という理由は一切無くなりました。

京都情報大学院大学 日本最初のIT専門職大学院。企業でCIOを目指すなら,凡百の大学・大学院よりも,KCGI,IT部門の最高学位。文系大学出身者のキャリアチェンジの場でもあります。

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カワサキ空冷Zのカスタム日記 Z1R,Z2,Z1000R

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

Z1000R 配線

Z1000Rの配線をチェックしている学生さん。ハーネスは北米仕様なのだがヘッドライトスイッチをつけたので,少々改造しないといけない。

エリミネーター カワサキ

塗装のプロと化しつつあるM君。どんどん上手になっていく。本日の対象はエリミネーターのフレーム。火気厳禁です。

エリミネーター カワサキ

エリミネーターその②を分解しはじめている人たち。

皆で分担して,それぞれに実習している。

京都コンピュータ学院自動車制御学科 クルマ・バイクが好きで,将来高収入と安定した生活を望む人の進学先,日本最初のCarITの学科です。全員が自動車関係の会社にIT技術者として就職しています。「高校までの勉強が嫌いで,バイクや車が好きな人」にとっては,かつては自動車整備士の養成学校が進学先でしたが,これからはCarITです。生涯賃金が違います。

京都コンピュータ学院 日本最初のコンピュータ教育機関,求人倍率は例年軽く70倍(単純計算すると,一人に70社から求人が来るということです)。伝統と実績のKCG。4年課程を卒業すると,一般の大卒と同等の学歴になります。大卒との生涯賃金の差異も無くなります。「とりあえず大学へ」という理由は一切無くなりました。

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カワサキ 空冷Z,GPZ900Rニンジャ,エリミネーターのレストア&カスタム

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

カワサキ Z

少年Aと少年Bは,サーフェーサーを吹き付けている。ホイールはZ1・Z2用のカンパニョロである。

Z2 エンジン組立て

少年CはZ2のクランクケースを組み立てている。液体ガスケットは,日産のベンガラ色のものがベストである。

GPZ900R Ninja

分解したGPZ900R A1のクランクケースにブラストをあてるために,下地のマスキングを行っている。

ヤマハ FZR

某先生からご寄贈いただいたヤマハをレストアしはじめている人々。

エリミネーター カワサキ

エリミネーターのフレームのサーフェーサーの塗り残した部分を,再度吹いている。

いずれも,それぞれ勝手なことをしているように見えるが,こういった授業方法をコンストラクティビストデザインという。日本語では構成主義と訳されて,近年知られつつあるが,実際に実践されている例は少ない。
学生たちが,自分の好きなことを好きな方法で学んでいき,教員はあくまでもそれをサポートするに過ぎないという授業形態である。しかし,ただ単に学生の自由に任せればよいというのではなく,教員による適切な助言が必要である。

ものづくりのセンスというものは,一朝一夕に培われるものではない。様々な経験の積み重ねと,そしてなによりも,それを楽しむという姿勢が大切だ。プログラミングもシステム設計も,ものづくりであり,創造である。塗装することも,エンジンを組み立てることも,クリエイティブな営為である。そして,より良いものを作ろうというプライドを伴った精神力は,日本的職人気質の根幹であり,他の追随を許さない日本文化の誇りである。彼ら学生さんたちの姿を見ていると,日本もまだまだ捨てたものではないと想う。

京都コンピュータ学院自動車制御学科


京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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カワサキ空冷Zのカスタム日記 Z1R,Z2,Z1000R

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

GPZ900R Ninja

少年Aと少女Bと少女Cは,カワサキGPZ900R A1のエンジンを分解しようとしている。

ニンジャのエンジン

少年Aと少女Bは,自ら分解したカワサキGPZ900Rニンジャのクランクケースを観察し,参考文献と見比べている。実物を手にとって初めてわかることも多い。

エリミネーター 

少年Bと少年Cはカワサキエリミネーターのフレームを剥離し,錆を落とすために磨いている。楽しそうに笑いながら。

Z2

少年Dは,カワサキGPZ900Rニンジャ用のツキギの初期型ステッププレートを,カワサキZ2に合わせようとしている?ん?

Z2 ミッション

少年Eたちは,カワサキZ2のミッションを観察し,その機構を分析している。この日は,二人でずっとギヤをいじって,ひたすらその知恵に感心・感嘆していた。

いずれも,実習授業の風景である。
楽しいけれど,授業であり,勉強である。
そして学生達は,コンピュータ・IT技術者の卵である。
来年卒業する学生たちは皆,IT系・CarIT系の企業に就職が決まっている。

ITの業界で,これらの名車の息吹を,次世代に伝えてもらいたい。

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カワサキ空冷Zのカスタム日記 Z1R,Z2,Z1000R

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

タイヤ交換 Z

カワサキZ2のタイヤとベアリングを交換した。

Z タイヤ交換

家には大昔から使っているトラッドなタイヤレバーしかないので,恥ずかしながらイマドキのタイヤレバーを使ったことがなかった。鋳物ではないプレスのそれは,チューブレスタイヤのことしか考えてないものであった。それをチューブタイヤに使ってはいけないのであった。伝統的なタイヤレバーの感覚で同じように使っても,チューブを噛み千切るのである。なんとまあ・・。新品チューブがパッチ付き。
タイヤレバーは廉い工具で,一度買うと,まず壊れることもないのだが,しっかりとした良いものを入手したい。特に,チューブタイヤには,伝統的な鋳物のものが良い。グリップにビニールやゴムを巻いてあるようなプレス製のものはチューブレス専用にすべきである。

カワサキ エリミネーターのフレームを剥離しながら盛り上がっている3人。剥離剤は強アルカリ性なので,皮膚に着くと火傷する。ゴム手袋をして完全防備で挑むのだが,旧い塗装がペラペラ剥がれてきて鉄の地肌が見えてくると楽しいものだ。

剥離

京都コンピュータ学院自動車制御学科


京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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カワサキZの講義,始りました。

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

KAWASAKI Z2

写真は,今年度の教材とするニンジャGPZ900Rとエリミネーター,etc.
GPZ900Rの前のオーナーは,KCGの卒業生。先輩,ご提供ありがとうございます。

初回の講義は概要説明と多少の準備で無事終了。今年中に大型を取得するという女子学生が参加してくれた。嬉しいね。

まずは夏までにエリミネーターとニンジャで基本的なところを勉強して,それから他に展開していこうということになったが,実はニンジャ系エンジンもかなり奥が深いことは皆さんご存知の通り。あまり深く突っ込まずに,ライトカスタムか軽くレストア程度に留めておく予定。

その一方で,大学院生2名も参加しているので,彼らが中心になって空冷Zを手がけていく。こちらは,主に土曜日に行う。土曜日は実は別の四輪のプロジェクト(昔のポルシェでカフェレーサーを製作し,草レースに出ようという計画)も発足するので,土曜日のキャンパスは,車・バイク好きのサロンみたいにしたいと思っている。
学外の社会人の皆さんも,よろしかったらご参加いただきたいところである。空冷Zとポルシェの旧いので草レース。(ご興味があれば「通報する」でご連絡先明記の上,お問い合わせください。)

昨年度に完成した車両を持って,夏までにはサーキットに行こうと思っている。
さらに,昨年度の受講生が自分の空冷Z系を持ち込むという話も出ている。これはGPZ400の逆車である。ニンジャを買うと言っている学生もいる。街乗りにはセローの廉いのをゲットするのだとか。

Ninja Kawasaki Z2

うちの学生さんは,若いのにエンスーが多い。車やバイクが好きで,かつIT分野で生きていこうとする,極めて現実的であり,そして広い世界を知ろうとする人たちである。凡百の新車に惑わされること無く,歴史を超える名車,クラッシックに興味がある人が多いようだ。

ちなみに,英語のクラッシック(Classic)という言葉は,日本では誤解されている向きもあるが,単に「旧い」,「古い」という意味ではない。「旧くても歴史を超え,時を超える価値を持っているもの」という意味である。従って,今年発売されたものでも,それが歴史を超えて賞賛され続けるならば,今年の発売時からクラッシックというのである。「コカコーラクラッシック」という商品も,「古い味」というような意味ではなく,「歴史を超えるコカコーラ」,という意味である。

空冷ZもニンジャGPZ900Rも,世界に冠たるジャパンクラッシックなのだ。凡百の高性能な新車が集結し居並んでも,その地位に揺らぎはない。

クラッシックのわかる学生さんたち。もちろん,空冷Zやニンジャの価値も理解してくれている。
偉いね。

ちなみに,京都コンピュータ学院自動車制御学科,昨年度も就職は100%,全員が,自動車関係のIT企業。全国のバイク好き車好きのお父さん,お子様が同じようにバイク・車好きならば,ぜひこちらへ。自動車整備士関係の一般的な生涯賃金を遥か上回るのは無論,一般の工学系大学よりも採用条件の良い求人が殺到しています。
KCGの求人件数は,例年,学生数の70倍以上です。KCGの卒業生で,日本のCarITの分野が埋め尽くされていきます。世界最初のCarITの学科です。

ポールポジション,KCG!

京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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第二年度開講にあたって 自動二輪特論I(通称Z学)

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

本日から,今年度の自動二輪特論(通称Z学)が開講する。通年授業であるということもあって,諸般の事情から,連休明けから開講することにしている。二年目の開講にあたって,以下に一文を。

コンピュータの進化発展はあまりにも急速で,数年前には不可能だったことがすぐに可能になる。しかし,まだまだ不可能なことも多い。

人類学者のエドワード・T・ホールは,人類は,肉体あるいは肉体の機能の「延長物」を作り出すことにより進化してきたという。
皮膚の延長物としての,衣服や靴,手袋や帽子,手の延長物としての,刃物,金槌,移動のために足の延長物としての自転車,自動車,声の延長物としての電話,電信,眼の延長物としての眼鏡,望遠鏡,さらには延長物の延長物(他人が操作するから)として,飛行機,船,建築物,などが彼の言う人類の進化の結果である。それら延長物は,裸体の人間が持っている機能をはるかに超える性能を有している。

そして人類が最後に発明したのは,頭脳の延長物としてのコンピュータである。記憶容量や計算速度の機能は,頭脳の延長物としてのコンピュータが,人間の持つ機能をほぼ超えている。しかし,まだまだ人間の能力に至っていないところも多い。
通信関係はいわば神経の延長物であるのだが,情報を送るための速度や伝送容量は,頭脳の処理速度に比べて非常に遅く伝達できる情報量も少ない。さらには,判断力や反射的な行動力については,人間が持っている頭脳の機能に比べると,コンピュータはそのイメージに比しても,まだまだ遅れている。開発が急がれている分野である。

ホールの言う「延長物」とは,広義での「道具」のことである。人間が発明した道具(延長物)には,数々の名作がある。

細かい作業をしている人は,ピンセットの良し悪しをご存知だろう。ピンセットには,先まできちんと力が入るピンセットとそうでないものがある。当然良いものは高価だが,安物の数百倍は作業しやすい。良いものは,ピンセットの先まで自分の神経が届くものである。

料理家は包丁を大切にするが,良い刃物は,自分がイメージしたとおりに対象を切ることができる。これもまるで切先にまで自分の神経が生えていくような気持ちになるのだろう。

ペンの良し悪しで仕事の効率も変わる。良いペンで書くと,書きやすいだけではなく,「気持ち良く」書けるものだから,気持ちよく書きながら考えることに集中できる。パソコンの時代になってからは,タッチの良いキーボードとマウスを使用すると,作業効率がかなり違う。キーボードやマウスの存在を忘れるような高品質のものだと,作業もはかどる。

音楽家は,自分が狙った音やメロディを奏でるために,意のままになる楽器を求める。ピアノは鍵盤を叩くのだが,弦を直接叩いているように感じられるようになるだろうし,バイオリンは弦が震え,その振動を意思でコントロールするときに木箱が共鳴して音色を出すところまで,自分の神経が行き届いていくのだろう。

ペンやキーボードやマウスに,自分の神経が生えていって,操作することを意識せずに使えるとき,つまり,道具が意識の対象ではなくて,その先にある目的が意識の対象となったとき,人は,延長物としての道具を使いこなし,人間肉体の機能を超えるのである。

その道で評価されるような良い道具は,操作している人間をさらなる高度な領域へと導く。例えば,楽器に関する様々な逸話に明らかなように,良い楽器には,その楽器が意思を持って動き始めたように,操作する人間が楽器に引っ張られて,操り手の人間が,その操作に夢中になってしまうこともある。

そして,移動のための道具であるが,自転車もオートバイも自動車も,道具としての良し悪しにかなりの差異がある。上述の様々な例えの中で,楽器が人間を操り始める例を挙げたが,乗り物には,そういった次元がある。つまり,それに乗って移動するだけではなく,それを操作しているうちに,自分自身が機械に引っ張られて,運転していること自体が目的化するのだ。

これには,音が大きく関与していると思われる。道具の発する音色によって人間感性が掻き立てられて,さらなる高度なところを希求せざるを得なくなる。本稿でエグゾーストノートについてカテゴリーを設けているのは,この根拠があるからだ。

そこで,空冷インラインフォアの集合管。あるいは,ポルシェサウンドやフェラーリミュージック。あるいはハーレー三拍子やドカティの太鼓のリズムと音色。これら名車と言われる車やバイクには,すべてに「音の評価」が付随している。筆者は,それら「音の評価」を得ている乗り物には,すべて乗ってみたが,一番面白いと思うのは,カワサキ空冷インラインフォアの集合管であると思う。

そして,コンピュータ,ITは,まだ,その感性の領域をマスターするに至っていない。80年代は,自動車に,90年代はオートバイに,コンピュータ制御が目覚しい発展を遂げたが,この感性の領域には至っておらず,いわば未熟な制御技術が旧来の職人技術で仕上げられてきた自動車やオートバイを凌駕していったために,感性面は無視されるか二の次にされた。環境問題による排ガス制御によるマフラーの音色の変化も,そのひとつである。21世紀になってやっと,ポルシェやフェラーリあたりからコンピュータ制御で人間の感性をコントロールしようとする試みが始められているようだが,まだまだ,結果としての製品が昔の職人の手作業を超えているとは,言いがたい。

バイオリンの名器ストラディバリウスやガルネリウスを超えるシンセサイザーが出ていないように,生のスタィンウェイのピアノが高価なCDプレーヤーに遥か勝るように,オートバイにおいても,カワサキ空冷インラインフォアの集合管の音色を超えるものは,生まれていない。

延長物の目的である機能を満たした上で,さらに人間の感性を引き出すような道具のことであるが,これらは,今後のコンピュータ・IT,自動制御の研究対象である。

ここに,本学がカワサキ空冷Zを研究する根拠のひとつがある,と強調しておこう。

京都コンピュータ学院自動車制御学科


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