Kawasaki  Z1000H

Z1000H Kawasaki

カワサキ Z1000H
kawasaki Z1000H
 発売年 1980年

マークIIのインジェクション仕様である。北米向けにはZ1クラッシックが開発されたが,ヨーロッパ向けには,マークIIのインジェクション仕様としてこれが発売された。インジェクションは,四輪用のボッシュLジェトロニックをベースにし96ps/8,000rpm, 9.1kg/7,000rpmと発表された。
このブラック&ゴールドの配色は,「Hカラー」とも呼ばれ,マークII系のオーナーたちが塗装している。黒に金色のホイールとラインが美しい。

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Kawasaki Z1000ST

Z1000ST Kawasaki

 カワサキ Z1000ST
 Kawasaki KZ1000ST (E1)
 発売年 1979年
 

カワサキのミッションギアの設計・生産能力は高く,播州歯車のブランドで自動車メーカーなどにもギヤを納入していた。
そのギヤ設計能力を駆使して,かのカワサキ大型6気筒,Z1300とほぼ同時期に開発された,後輪シャフト駆動の名作である。リアホイールは17インチである。
今となっては,ホイールの交換が難しいことから,シャフト駆動はあまり好かれないが,ノーマルのままで長く乗ろうとするならば,実はシャフト駆動の方が便利ではある。
Z1000Mk.II やZ750FXと似ているが,フレーム形状もZ系とは異なっており,酷似しているかに見えるタンクも互換性が無い。空冷Zの中では異端中の異端である。

空冷カワサキは大きく分けてZ1の系譜であるZ系と,大きくリニューアルされたJ系があるが,このZ1000STは,そのどちらに分類するかと言われると,エンジンの基本構造はZ系であるが,フレームが異なることから,どちらにも属しないと考えた方が良いかもしれない。
下のZ1000Mk.IIと比べると,タンクの形状や傾きが異なることがわかる。

Z1000 Mk.II Kawasaki



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カワサキZ2 70年代当時のまま

70年代 Z2 カワサキ

高校時代,早朝まで起きていたとき,家族が寝ている家からバイクをそぉ~っと押して出して,黎明の空の下,家や学校から脱出した。

家から50m程離れて,エンジンに火を入れる。エギゾーストノートが町内に響くと,飛び乗ってアクセルを開けた。

帰宅するのは昼過ぎで,当然,その日は学校を休んだ。

KCGに進学したとき,学校の面白さが始めてわかった。そこは逃れる場所ではなくて,好きにする場所だった。しかし,働き出して,長じて今になって,やっぱり,その瞬間の喜びが忘れられずに,時たま同じように日常から脱出する。そんなことをするのは,一年に一度あるかないかなのだが,日常から逃れることこそが,自身の日常であるのではないかという疑念が,今も,残るからだ。

70年代当時のまま,心が,そこにあるような気がする時がある。

カワサキ Z750RS(Z2) 

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Z1からZ1Aへ

カワサキ Z1

カワサキZ1の生産台数関連情報。

初期型火の玉,ショートピッチタンクは,1973年7月までは生産されていた。
車台番号18800番台のZ1と,車台番号21100番台のZ1Aを確認した。前者が,1973年7月の生産であり,後者は同年8月の生産であることを,それぞれのステム部分のステッカーが生産年月を示している。

もちろん,前者はZ1であり,カラーリングは火の玉オレンジ,後者はZ1A,いわゆるタイガーの赤である。つまり,1973年7月から8月の間に,Z1は,Z1Aへと進化したのであった。生産台数は,1万8千番台から2万1千番台へと推移している。

当然,国内向けのZ2は,このあたりを境に,ショートピッチタンクからロングピッチへと変化する。輸出モデルがZ1Aへと進化しても,国内向けZ2は,従来のZ1イメージを踏襲して,火の玉オレンジに塗装され,国内で販売され続けたのである。
そのZ2は,同73年,昭和48年の夏以降は,Z1Aのフレームやタンク,即ち,タンク下の台形部分の長穴がないZ1とそれがあるZ1Aのフレームが混在している。3100番台の長穴ありフレームと,3200番台の長穴無しのフレームを確認している。つまり,一般に言われる「Z2初期型」とは,Z1とZ1Aの日本版が混在している。73年,昭和48年の7月~8月が,Z2初期型の過渡期であったのだ。

Z1 生産台数
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Z1000R,ノーマルとカスタムと

Kawasaki Z1000R1

kawasaki Z1000R1のノーマル写真。

下は,カスタムの一例である。
横から見るとわかるように,下のカスタムは,フロントが立ち過ぎている。
90年代のカスタムは,かようにフロントの立った状態にするのが流行した。
しかし,実際のところ,法定速度内で,それなりに楽しく走るには,フロントはあまり立てる必要はない。
下記の写真のところまでカスタムする必要があるのかどうか,色々と乗り比べてみると,解ってくると思う。自分の走り方をよく分析せずして,正しいカスタムなどあり得ない。
まずはノーマルで走ってみて,少しずつ変更や改良を加え,自分のバイクを創っていくことが,カスタムなのである。

Kawasaki Z1000R1

Z1000Rのカスタム
ホイール;モーリス前後18インチ
Fフォーク;カヤバ38パイZ用(やや短い)
ステム;PMC S1タイプ
キャブ;FCR39パイ
リアショック:オーリンズ
スイングアーム;PMC
ブレーキ:PMC S1タイプ&ロッキード2Pod

フロントホイールを19インチから18インチに変更し,さらにフォークを短くしているので前下がりになっている。尻上がりの近年のバイクのイメージが強いと,前下がりにして尻を上げたくなる心理が働くが,80年代初頭の設計のバイクを,いわゆるケツ上げにするのは見た目重視以外の何物でもない。このシルエットが,J系に多い誤った車体姿勢の作り方であると思う。

尻上がり,ケツ上げ,前下がりは,一見,ハンドリングが現代的になったような印象を受けるが,実は,疲れるだけの面白みのないハンドリングになってしまう。J系で前輪を18インチ化するならば,フォークはノーマルと同程度に長い方が,疲れない。

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Kawasaki Z1 Classic

Z1 classic

カワサキ Z1 クラッシック
型式名;G1
90hp/8000rpm
8.6kg-m/6500rpm

ヨーロッパ向けにはZ1000Mk.IIのインジェクションモデルであるZ1000Hがあったが,北米マーケットに対しては,かの名車Z1の名を冠して,アメリカンタイプが発売された。Z系末期のモデルである。

タンクの横にはクロームのプレートが張り付けてあり(タンク自体はメッキではない),前後に長く幅広いシートの他はZ系LTDとさほど変わりはないが,インジェクションとMk.IIエンジンの組み合わせは,Z系エンジンはキャブにこだわる必要は無いということを教えてくれる。すなわち,インジェクション仕様であっても空冷Zは空冷Zであって,かなり面白い。

80年代半ばからアメリカンはVツインであるという風潮がまん延し,インラインフォアのアメリカンはエリミネーターの後継車ZL1000を最後に姿を消したが,インラインフォアでも,このモデルのようにマフラーをあしらうと,エグゾーストノートはそれなりにリズム感のあるものになる。

マフラーはジャーディン二本出しがメーカー標準である。これはマフラーだけでも流通していたので,Z系をお持ちで安楽志向の方は装着してみると良い。マフラーで大きく味わいが変わることがわかるだろう。四本マフラーや集合管のアナログな連続音とは異なり,バリバリバンバンと炸裂音が続く。ハーレーなんて,メじゃないのである。

空冷カワサキは,ロードスポーツの人気が高く,アメリカン系はハーレー式のVツインが主流になってしまい,あまり人気がないが,実は,日本の道路事情で乗るならば,アメリカンであっても,インラインフォアの方が面白い筈だ。空冷Zのカスタムはほとんどがロードスポーツの方向性を取るが,アメリカンなカスタムも良いと思う。

Z1クラッシック=インジェクションの空冷Z

Z1クラッシック=インジェクションの空冷Z②

参考;Z1・Z2の神話–誕生の真実 全記録–
2006年 スタジオタッククリエイティブ

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コンピュータの学校とそうでない学校

80年代の中頃,コンピュータがかつての大型機から小型化して(ダウンサイジングと言う),パーソナル化し,パソコンと呼ばれるようになった。
それまでの大型コンピュータはメーカーからリースするにしても,おいそれとできるような費用ではなかったので,限られた教育機関にしか設置されなかった。しかし,パソコンの時代になり,「教室にパソコンを並べたら,コンピュータの学校に見える」ようになった。それで,全国に多くのコンピュータの学校ができた。

80年代中ごろにできたコンピュータの学校は,コンピュータ業界とあまり関係のない人たちが設立したものが大半である。そして,それらの学校の多くでは,ハードウェアとしてのパソコンは並んでいるが,インストールされているソフトウェアは非常に少ない,というのが通例であった。せいぜいワープロソフトと表計算ソフトくらいしかインストールされていなかったのである。

つまり,それらは「コンピュータの学校」と言うよりは,「アプリケーションの使い方の学校」だったのだ。21世紀になり,少子化が始まって,専門学校,そして短期大学,今は四年制大学と順番に淘汰が進んできた。それらの80年代にできた多くのコンピュータの学校も,今はほとんどない。特に,コンピュータの教育だけで学校を営んでいるところなど他に無いようだ。振り返ると,コンピュータの学校というのは,実は,我が国には,最初から今まで,実に少ないのだということがわかる。

KCGは創立46年目になった。そして,業界ではますますIT化が進んでいるのに,本当の意味でのコンピュータの学校が実に少ないようである。それには,いくつかの理由があると思う。

コンピュータは進化発展のスピードがあまりにも速いので,従来の大学や普通の学校のレベルでは,変化に追従できないのだ。そして,大学という形態は,一般に,教授がイニシアチブを取るのだが,教授になるのは40歳以上,50歳以上という大学が大半だ。即ち,すでに時代変化に追従できない年齢になっているということである。そして,コンピュータの技術にITというビジネス界での応用がここまで発展すると,象牙の塔に籠って研究しているようでは,まったくITによる世の中の変化に追従できないのは当然だろうということになる。

もうひとつ,コンピュータ・ITの教育には費用がかかる。私立学校がそれをやりたくないのは当然だろう。私立大学に文科系が多いのは,費用のかかる工学部・医学部はミニマムにして,文系学部で稼いでいるという訳だ。

KCGは私立学校でありながら,何故,コンピュータ・ITの教育を実現しているのかというと,古くからこの業界で教育をしているおかげで,世界中の多くのメーカーや研究者の間に様々なネットワークがあるからである。日本のコンピュータ・IT教育の老舗との評価を頂いているが,老舗であるからこそできることがあるわけだ。

「最先端の教育は最古参学校でこそ完遂する」,という,IT関連教育の逆説は面白いと思う。

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Kawasaki Z1000J (J1)

Kawasaki Z1000J A1

カワサキ Z1000J
発売年;1981年

カワサキZ1が発表されたのは1972年のことである。マイナーチェンジを重ねて1979年のZ1000Mk.II まで,その系譜は続いた。
そして,それまでの空冷Zをリニューアルし,エンジンとシャーシに大幅な改良が施されたのが,Z1000Jである。エンジンはZ1よりも7kg以上軽量化され,車体全体で15kgほど軽くなったと発表された。
排気量は当時のAMAスーパーバイクレースのレギュレーションに合わせて995ccとなった。

カワサキZ1,Z2から始まり,Z900,Z1000,Z750F,Z750D-1,Z750FX,Z1R,Z1RII,Z1000Mk.II,など,エンジンの基本設計がZ1からのモデルを,通称「Z系」という。
それに対して,Z1000J以降の軽量化され高性能になったカワサキフラッグシップのエンジン,またはそれを搭載したモデルを「J系」という。Z1があまりにもよく売れたため,比するとJ系の総数は少ない。一説には「一桁少ない」のだそうだ。

新型エンジンであるJ系は,それまでのZ系に比べると,回転上昇スピードも速く,パワフルである。クランクもレーサーのように軽量化されている。ミッションのギヤ比が若干クロスになっており,日本のワインディングでも走りやすい。新型ブレーキキャリパーは,それまでのZ系に比べると,かなり良くなっている。

Z系は,国内発売モデルがボア&ストロークダウンだけだったのに対して,J系の時代になると,国内発売の大型モデルが,輸出向けのフラッグシップの外装を模したワンサイズ小型の750ccとなった。それもあって,J系は国内では少なく,人々が実際にカワサキフラッグシップの車体を見ることも少なかったのである。
そして,エディ・ローソンの活躍とその記念モデルであるZ1000R1だけは,後年,有名になったのだが,他は,J系の伝説は少ない。それゆえ,あまり評価されていないような印象を持たれるようである。

しかし,空冷カワサキのフラッグシップは確実に進化発展している。Z系よりは,よりレーシーになっており,あらゆる点で勝っている。ノーマルで乗るならもちろんのこと,とことんカスタムしフルチューンするとしても,J系の方が勝る。空冷大型エンジンの良さを全て保持しながら,さらに性能が上がっているのは事実である。

Z1000Jとその兄弟たちに乗ると,バイクでスポーツすることのなんたるかを知ることができるだろう。

写真;カワサキ

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空冷カワサキフラッグシップ

kawasaki Z1000R FCR

マーケットでの言説に乗せられてJ系よりもZ系を選び,あまり改良も加えずに乗り,「なんだこんなもんか」,などと思われた向きには,ぜひJ系のノーマルを体験してもらいたい。ノーマルのままで,確実に,心を打つだろう。

Z系は,特に国内向け750モデルでは,エンジンが重ったるく回るので,あまり驚きもないかもしれない。空冷カワサキは,少なくとも1000cc,できれば1100ccくらいの排気量で,軽くチューンすると異次元の鳴動を発する。
従い,ノーマルで最低1000ccであるJ系は,そのままで,その領域に達しているといえる。Z系エンジンのファクトリーチューンだと思ったら理解しやすいかもしれない。

J系のノーマルに乗って何も感じなかったら,カーカーでもいいし,リプロダクションでもいいから,何か集合管に変更してみる。そして,それでもさほどの感動が無かったら,空冷カワサキの世界とは縁が無い感性であるということだ。

オートバイにおいて大事なことは,まずはエンジンとの相性である。エンジンの鳴動を聴いて感じて,それに惚れることができるかどうか。そして次にシャーシ,車体である。車体を見て,触って,跨って,それに惚れることができるかどうか。
エンジンの鳴動に共感が無ければ,それは唯の高速トランスポーターに過ぎない。車体と肌が合わなければ,乗り続けることもできないだろう。

「オートバイ」,「バイク」という単一概念で括ることができないほど,二輪はメーカーや車種によって様々に個性があり,ライダーの個性との相性は多種多様である。自分にとっての最高の一台は,自分だけの一台であるから,良き伴侶を探してもらいたい。空冷カワサキは,どの一台を取っても,それなりの魅力があるので,数台体験してみると自分の個性にミートする一台に出会えると思う。

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Kawasaki  Z1000(J2)

Kawasaki Z1000J A2

 カワサキ Z1000J(J2)

Z1000R1のベース車にもなった,Z1000Jの第二世代バージョンである。北米向けと欧州向けではタンクなどの外装デザインが異なる。北米向けはティアドロップ型のタンクで,欧州向けは写真の角タンクである。欧州向けは,リアフェンダーが長い。

このエンジンはZ1000Pというカリフォルニア州警察に公式採用されたポリスバイクと同じエンジンである。ポリスはその後,21世紀までカワサキリンカーン工場で生産が続けられたので,アメリカには補修部品が多く残っている。

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