先日,梅田阪急で山形の鮎川酒造の『南三陸庄内の風』という日本酒を買いました。
東日本大震災で壊滅的な津波被害を受けた南三陸町で作られた「亀の尾」というお米を90%,そして,山形庄内町産の「亀の尾」を10%使用したお酒とのこと。
このお酒1本の売上から200円が南三陸町への義援金になるそうです。
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720ml,1350円
精米歩合 60%
日本酒度 +6
酵母 山形酵母
酸度 1.7
アルコール度 15.3度
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お世辞抜きですっきりしていて,飲みやすく,美味い1本です。
ところで,この「亀の尾」という酒米,以前は幻の酒米だったんです。
漫画『夏子の酒』のモデルになった新潟県長岡市の久須美酒造が,この幻の酒米を復活させて作ったお酒が純米大吟醸『亀の扇(かめのお)』です。
「亀の尾」はコシヒカリやササニシキの祖先に当たり,食べてもおいし良いお米らしいのですが,栽培しにくく,戦後新しい品種にとって代わられてしまったのです。
久須美酒造が「亀の尾」の復活のために農業試験場から譲りうけた種もみはわずか1500粒。
「亀の尾」は背が高く,籾の数も多いので,実るとイネが倒れやすく,倒れれば米が痛むし,その上,病害虫に弱いのです。
久須美酒造では,倒伏を防ぐため田に杭を打ち,縄を張ってイネを支えて,防虫にも努めた甲斐があって,ようやく30キロの種籾を収穫できたのだそうです。
「亀の尾」には特徴的な白い実の外殻にある毛が生えるそうで,初め真っ白になった田んぼを見て,イネが病気になったと思ったとか。
なにしろ,苦労の末に復活した酒米「亀の尾」を使ってできたお酒が『南三陸庄内の風』なわけです。
そしてその90%はあの南三陸町産なのです。
ここまで読んでしまった人は,買わずには,飲まずにはいられませんね。