嵐の相葉雅紀くんがナレーションをしているNHKのドキュメンタリー番組『21人の輪~震災のなかの6年生と先生の日々~』を見たことがありますか?
福島県相馬市立磯部小学校の6年生を震災から卒業までの1年間を記録したドキュメンタリー番組です。
今日,4月8日(日)午後4時30分~4時59分に最終回が放送されます。
実は先月,3月25日,震災から1年がたった,その福島県相馬市に行ってきました。
前日に二本松青年海外協力隊訓練所でJICAボランティア同窓会というイベントがあり,その一環として相馬市の被災地視察があったのです。
このJICAボランティア同窓会というイベントは,日頃お世話になっている風評被害に苦しむ二本松の岳温泉に泊まって飲み食いしましょうという趣旨と,被災した福島の青年海外協力隊OB・OGからの報告を聞いたり,被災地を視察することで,震災の理解を深め,今後の支援につなげていきましょういう趣旨のものでした。
二本松青年海外協力隊訓練所は福島第一原子力発電所周辺の住民を中心に,施設の一部を避難所として提供し,避難者は最大453人にもなったそうです。
既に避難所としての役割は終え,JICAボランティアの訓練が再開していますが,訓練所の前には避難者が記念に植樹した桜と「感謝,旅立ち」と書かれたプレートがありました。
さて,相馬市の話です。
相馬市では,相馬市長から震災時の対応の話をお聞きし,その後,被害の大きかった原釜地区と磯部地区を視察しました。
原釜地区(住宅地だった場所)
原釜海水浴場
震災後,1年が経過していることもあり,瓦礫の撤去は進み,元住宅地だったところも多くは基礎部分を残すのみとなって,本当にそこに住宅地があったのかと想像できないぐらいのガランとした状態になっています。
特に磯部地区は,海岸から続く平地の部分は,住宅の基礎もほとんど残っていないような状態になっていました。
磯部地区(以前は遠く海辺まで住宅があった)
多分,その風景を見ただけであれば,被災地以外の場所から来た人間には,悲惨な被災地の一風景としてしか(それでもすごい光景なのだが)写らないのでしょうが,相馬在住の協力隊OBから「あれがNHKでやっている『21人の輪』の磯部小学校ですよ」と説明されて,その番組の内容と目の前の光景がつながって,あたかも自分と関係のある土地のように思えてきました。
その磯部小学校の子供たちもたくさん住んでいただろう住宅地が跡形もなくなっている。そして,21人(震災当時5年生の数)の内,まみちゃんという女の子がその磯部地区で命を落としている。その光景を前に合掌すると,まみちゃんの顔が頭に浮かんできました。
時間がたつにつれ,被災地のニュースも少なくなっていきます。
また地理的に被災地から遠い京都のようなところに住んでいると,震災も過去のものになってしまいがちです。
震災後の被災地では,震災後の戦いは現在も続いています。
自分とは関係のない出来事として済まさないように,自分自身,常に意識していかなければいけないし,それを周りの人たちに伝える努力も必要だと改めて思いました。
そのためには,被災地の人々の顔が見える『21人の輪』のような番組は大切だなと思います。
テレビなどのメディアで見聞きすることでも,被災地以外の人と被災地をつなぐきっかけになります。
そこから,また新たな支援が始まったり,つながりが始まっていくのです。
今日の最終回,きっと私は磯部小の子供たちの親戚のおじさんになったような気分で見ることでしょう。
原釜地区を目の前にする海岸には天皇・皇后両陛下をはじめ,ブータン国王夫妻も訪れたそうです。