Kawasaki 750RS (Z2)
カワサキZ2(750-RS) 1973年1月より生産
車台番号
・試作車 Z2F 00001~00025?(プロトタイプとして,20台程度が試作されたという。筆者の知人が16番~19番などを確認している。また,2番のフレームを確認したという話もある。)
・市販車 Z2F 00026~(カワサキの発表による。運輸省認可型式はZ2)
エンジン番号 Z2E 00001~
総生産台数 3662台(カワサキの発表による最終番号は3699),定かではない。
Z2,ゼッツーである。Z1で世界を一世風靡したカワサキは,国内自主規制による750ccを最大排気量とする,というレギュレーションのために,ボアとストロークをダウンした専用設計のエンジンを搭載して,Z750RS(ロードスター)として発売した。輸出モデルのZ1に対して,こちらはZ2と呼ばれた。
当時のオートバイ免許保持者にとって,Z2は最高最上の一台であった。サイドカバーの750の数字が誇らしげに輝き,四本マフラーのメッキが光っていた。
昭和48年(1973年)1月,国外向けZ1のボアダウン,ショートストロークのエンジンで,750ccのZ2の先行試作車(プロトタイプ)が20台ほど生産され,テストライダーや雑誌社に配られた。フレーム番号17番は「モーターサイクリスト」編集部,18番は「オートバイ」編集部が購入したという。これらは,同時期の1972年型~1973年型のZ1がベースであるから,国内向けプロトタイプの部品構成も,その時期のZ2に準じている。
昭和48年(1973年)1月とは,Z1では4000番台から6000番台あたりを生産していた頃であるから,各部品は,その頃のものが使用されている。現存するZ2の10番台は,いわゆる初期型フロントフォーク(カマボコフォーク)が装着されている。
Z2のフレーム番号は,昭和48年(1973年)2月には200番台,3月には500番台に達したが,それらには,カマボコフォークは装着されていない。
つまり,1972年型のZ1が,1973年型に移行してフロントフォークが二次型になったのと並行して,Z2も同じ部品に移行していったわけである。
Z1は73年7月に19000番台に達し,8月からはZ1Aとなり,タンクがロングピッチになった。それと前後して,Z2のタンクもロングピッチになったが,カラーリングは依然として火の玉が塗られたのである。従い,昭和48年(1973年)11月,12月頃は,実際のパーツ構成はZ1Aでありながら火の玉カラーのZ2が販売されていたようである。
カワサキの発表では,フレーム番号26番からが市販されたということになっているが,それより若い番号が数台確認されている。一説には,1番から20番までは試作車プロトタイプで,21番からが一般の市販ではないかとのことである。
また,10番台のうち数台は,全国の有力カワサキディーラーに配られ,展示された。そして,4月を過ぎてから登録され,一般に販売されたものもあった。したがって,フレーム番号10番台で4月登録の車体がいくつか残っているのだそうだ。
Z2の最初期 一枚ガスケットのモデルは,オイル漏れが多く発生し,国内の販売店に相当数のクレームが来ていたという。そして,今で言うメーカーリコールのような告知があったらしい。
メーカーはオイル漏れの原因を把握をする以前は,全てエンジン本体を販売店に送り返させて,販売店で,別のエンジンに乗せ替えていたのだそうだ。一枚ガスケット車は,初期に販売店でエンジンを乗せ換えたものが多い。
従って,フレーム番号よりエンジン番号が若いものも,逆も,かなりの数が混在する。その後,メーカーは対策を施し,ガスケットは2枚になった。
エンジンのシリンダーヘッドのガスケットが一枚のものは,Z2F-1086までと言われているが,乗せ換えられているものも多いし,後から欠番となっていたフレーム番号を使用して,後期型のパーツで組み立てられた車もあるようなので,「ある車台番号のパーツ構成はこうである」といった,はっきりしたことはわからない。
メーカー発表による「Z2の最終番号は3699」との説は,ただ単に,火の玉カラーが選べた750,というだけではないかと思われる。つまり,48年の1月から生産された先行試作車とそのあと数か月は,Z1の1972年型のパーツを使用しており,それ以降7月までの生産はZ1の1973年型とほぼ同じ部品構成で,8月以降はZ1Aの火の玉カラーリングの750が国内で販売されていた,ということのようである。
整理すると,「1972年式Z1」のパーツを使用している火の玉の最初期型Z2と,「1973年式Z1」のパーツを使用している火の玉の中期型Z2と,そして,Z1Aのパーツを使用している火の玉後期型Z2,以上の,少なくとも三種類がある,ということか。同じ火の玉カラーでも,最初期型と中期型はショートピッチの内プレスであり,後期型は,ロングピッチの内プレスタンクである。
最初に一世風靡した火の玉カラーのZ1のイメージで,国内販売は続けられたということは,それだけ,情報の少ない時代であったとも言えるし,また,それほど火の玉カラーのZ1が,世界で絶賛された証左でもあると言えよう。
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