洛北校の近くに電話ボックスがあります。
携帯電話が普及した昨今では,多くの電話ボックスが撤去されたと聞いたことがあります。
自分が携帯電話を持つようになってからは「日本中の電話ボックスが撤去された」と思い込むぐらい,意識を向けなくなりました。
あるとき,事務室におばあさんが来られて,私にこう尋ねてきました。
「この辺りに電話ボックスありませんか?」
昔は確かにこの辺りにあって,私もよく利用していたのですが,
携帯電話を使い始めてから,一度たりとも気にすることはありませんでした。
「あの電話ボックスは今もあるのだろうか?」
そんな疑問がわいてきて,おばあさんの問いに答えられません。
そんな自分を歯がゆく思い,おばあさんと一緒に外に出てみるました。
すると,そこには昔と変わらず電話ボックスがあるではないですか。
携帯電話が普及したといっても,すべての人,すべての瞬間に持っているわけではありません。
緊急の連絡や,110や119のために,昔と変わらずずっと立っててくれているのです。
毎日見ているはずなのになぜ覚えていなかったのか。
「関係がないものは見えない」という性を思い知らされた気がしました。