苻堅と王猛

ども,電子書籍のメリットを他にも見つけたサスペンダーです。

面白い本をいろいろ探していると,今は売っていない本に出会うことがあります。
これは,ショックです。
手に入らないと思えば,より欲しくなります。

しかし,電子書籍になっていれば,それはほぼないでしょう。
だって,データを置いておくだけでいいのですから。
いつかは読みたいけど,今はまだっていうときに,安心して後回しにできます。

今は手に入らない本も,電子書籍になって復活しないかな~。
ここまで,電子書籍のコンテンツが充実したら,絶対買いだな。

さて,リアル本の方です。
今は,出会ったら,とりあえず買っておこうと思います。
そして,10冊溜まってしまったというわけです。

今回ご紹介する本は,小前亮著 「苻堅と王猛: 不世出の名君と臥竜の軍師 」です。

苻堅と王猛

時代は,諸民族が覇を競う五胡十六国時代の中国です。
全民族が平等に暮らせる統一国家建設を志した,てい族の秦の苻堅と彼を補佐した漢族の王猛の物語です。

小前さん(著者)の作品はいくつか読んでいますが,どれもテンポがよく読みやすく,まるで映画やドラマを見ているみたいです。

この,苻堅と王猛も読みやすいです。ただ,テンポが良すぎてちょっと物足りない感じがします。王猛については言えば,もっと彼の考え方や戦略などについてページを割いてもいいのではないかと思います。(1冊にまとめようとしたのかな?)それと,個性的な登場人物も数多く登場しますが,どれも中途半端な感じがします。(やっぱり1冊にまとめようとしたのかな?)

もともとの題名は「王の道」だったそうで,僕としてはそっちの方がいいように思います。なんで,「王の道」かは,読んでみればわかります。(ここでいうと,ネタばれしてしまいますから,言いません)

おススメは,★★
あとがきには,かなりいいこと書いてあったので期待して読んだ分,点数が低くなってしまいました。(先にあとがきをチラ読みするのはやめましょう。)

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俠骨記

ども,やっぱり電子書籍が気になるサスペンダーです。

電子書籍の良さは,なんといっても本の置き場所に困らないところだと思います。
kobo touchのコンテンツを調べると,「グインサーガ」のコーナーがあります。
グインサーガといえば,130巻もある大作。しかも,未完。(著者の栗本薫さんがすでに亡くなってしまったので,その後は別の方が引き継がれています。)外伝を含めばもっと多くなります。これを今から買えば,やっぱり置く場所の確保が必要になります。
でも,やっぱり読みたい作品です。
そこで,電子書籍です。これなら困らない。
やっぱり,買かな~。
しかし,リアル本が・・・2冊追加してしまい未読本10冊になってしまいました。
これを処理できたころには,kobo touchだけではなく,Kindleも発売されているかな。

さて,リアル本の方は,子産の他にも読んだ本をご紹介します。
宮城谷昌光著 「侠骨記」です。

侠骨記

この本は,長編ではなく,短編4作をまとめたものです。

そもそも,この侠骨とは,「他人の救済と自己の理想の貫徹のための犠牲の精神」(解説より)なんだそうです。
4作は,
第一話 侠骨記
  魯の曹沫
第二話 布衣の人
  帝舜
第三話 甘棠の人
  召公奭
第四話 買われた宰相
  秦の百里奚

第一話は,本のタイトルにもなっている「侠骨記」で,魯の曹沫の活躍についてです。
曹沫は,当時全盛の斉の桓公に短刀を突き付けて,これまで奪った魯の領地の返還を承諾させた人物です。一つ間違えば,殺されるのにすごいですね。まさに侠骨の人です。でも,これを承諾した桓公というより,承諾させた管仲もすごいと僕は思います。さすがは管仲です。

おススメはと言われると,★★★です。
短編なのでちょっと物足りない感じがします。
やっぱり長編の方がすきですね。

それでは。

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子産

ども,電子書籍リーダーに興味のあるサスペンダーです。

以前,sonyのreader購入について書いたことがありましたが,今は楽天のkobo touchに興味があります。

7,980円ですが,ポイント還元を考えると,4,980円で買えるのです。
これは,買かな~と思うのです。
しかし,問題はコンテンツです。
現在コンテンツはドンドン増えているのですが,読みたい本(ジャンル)がなかなかないのが現状です。
もちろん,中国古代史小説ジャンルです。

リアル本の方はまだまだ読みたい本があるので,見つけたりしたら購入してしまいます。現在,読んでいない本が8冊くらい残っています。
先ずは,これらを片付けないと,と思っているのですが,またまた買い足しそうな勢いです。

さて,読みたい本はたくさんありますが,ブログを休んでいる間に読んだ本も何冊かあります。今回は宮城谷昌光著「子産」をご紹介します。
子産は,第35回(2001年) 吉川英治文学賞受賞作品です。

子産上
子産下

さて,中国古代史小説と言えば,宮城谷昌光ですが,何冊か読むとパターンがあるのがわかります。
一つは,主人公を小さいころ,若いころからえがき続けるもの。
一つは,主人公の父親からえがくもの。
前者は,太公望や管仲,後者は晏子や子産です。
僕的には,後者の父親からえがいたものの方が面白いように思います。
子産は後者ですから,僕好みなわけです。

子産は,春秋時代で,鄭の国の人です。

鄭は中華の中心に位置し,最初は非常に栄えた国でしたが,子産のころには,北の大国「晋」,南の大国「楚」に圧迫され非常に苦しい立場に立たされていました。
晋についたり,楚についたりと,信用されない国といった感じです。
その中にあって,子産は名宰相として知勇にすぐれた活躍をします。
そして,中国で初めて成文法を定めました。

上下巻の2冊ですが,内容が濃くお得感があります。
これはおススメです。
★★★★★

それでは。

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呉越舷舷

ども、最近京都ー彦根間が短くなったのではないかと思うサスペンダーです。

そんなハズはないですが、京都発で気がつけば能登川と、彦根発で気がつけば山科だったりします。
「どうせ、寝て起きたらだろう」と思っている人もいるでしょう。
いえいえ、寝ていません。本を読んでいます。

ということで、今回ご紹介する本は、
塚本青史著 「呉越舷舷」です。

呉越舷舷

呉越といえば、「呉越同舟」が有名ですね。
その呉越です。
呉の闔閭から越の勾践までの呉越戦記です。
登場人物は、孫武、伍子胥、范蠡、西施などなど、おなじみの人物です。
でも、普通とはちょっと違います。
例えば、孫武はすぐに范蠡と西施に殺されてしまいます。
ね、違うでしょ。

この物語のテーマは復讐です。
まず、復讐といえば、伍子胥ですね。
伍子胥の楚の平王に対する復讐は誰もが知っています。
あの、「屍(しかばね)にむち打つ」の語源になった話です。
そして、西施の孫武にたいする復讐。
これは、孫武の有名な話で、女子を訓練せよという、王(闔閭)の無理難題に対して孫武が行った訓練。
王の寵姫を隊長に任命して、将軍(孫武)の命令に従わないのは隊長の責任であるといって、その寵姫を斬首したエピソード。
その寵姫が范蠡の送り込んだ越の間者(スパイ)で、それが西施の母親だったことから、西施に復讐されるというお話。
そして、闔閭が勾践に破れて死んだ事への、夫差(闔閭の子)の復讐。
夫差にたいする勾践の復讐と続きます。このあたりが、「臥薪嘗胆」の語源です。

この本、実に面白いです。
著者の創作と史実とが上手く混ざり合って、いかにもすべてが史実のように思えます。
史実を知らなくても面白いと思います。
ただ、予備知識として史実を知っておくと、もっと面白いでしょう。

おすすめは
★★★★
ドラマ、「孫子兵法」観てからならかなりおもしろいです。

それでは。

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沙中の回廊

ども,年末に三重の実家に帰っていたサスペンダーです。

いつもは,本など持って行かないのですが,今回は持っていきました。
というのも,年内にどうしても読み切ってしまいたかったからです。

宮城谷昌光著 
「沙中の回廊」上下巻

沙中の回廊下
沙中の回廊上

主人公は,晋の名宰相「士会」です。
他の作品にも度々登場します。
当時の晋は文公(重耳)からの覇もなく,楚には「三年鳴かず飛ばず」の荘王が一時代を築いている時期です。
士会は名宰相ですが,宰相になるまでかなり時間がかかります。
軍事の天才でも,一軍を率いるまでにもかなり時間がかかります。
一時,秦に仕えていた時期もあり,かなり回り道をした人物です。

晋の軍制は中上下の三軍があり,それぞれの軍の将軍・副将には卿(大臣)が就任しており,この6人の大臣を六卿と呼びます。
中軍の将(第一位),中軍の佐(第二位)
上軍の将(第三位),上軍の佐(第四位)
下軍の将(第五位),下軍の佐(第六位)
この軍での順位が,そのまま政界での順位になります。
つまり,中軍の将が,正卿で宰相となります。
いきなり正卿になることはないので,この六卿の中で席順をあげていく必要があります。
これが,なかなか時間がかかるんです。
本当に士会は時間がかかりました。

そんな,士会の活躍を描いた作品です。
おススメは,★★★といったところです。

それでは。

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黥布

ども,食欲の秋とはよく言ったものです,サスペンダーです。

最近どうも食べ過ぎのような気がします。

さて,食欲の秋もいいですが,読書の秋とも言いますね。
なんとか,11月祭まえに加野 厚志著 「黥布」を読み終えることができました。

黥布

黥布は,もともと英布という名ですが,顔に黥(イレズミ)をされたことから,黥布と名乗りました。
顔に黥をするのは,犯罪者に対して行われた刑罰です。
だいたいどの本を読んでも,黥布は剛力のように扱われています。
しかし,この本はの黥布はちょっと違います。
元々,争いが嫌いで男前の英布は儒教崩れの流浪人の燕空なる人物に騙されて重罪人にされ,黥布と名乗りました。
そして,始皇帝陵である驪山を脱獄し,征秦を掲げて挙兵し楚軍団の先鋒大将として,大活躍するわけです。
そして,項羽によって九江王として,また劉邦には淮南王として任ぜられました。
しかし,皇帝になった劉邦は猜疑心の塊となり,次々に功績のあった各国の王たちを粛清していくのです。
淮南王 黥布は,韓信のようにされるがまま死するよりも,一か八か勝負で謀反を起こします。
しかし,結局黥布は敗れ,敗走先の長沙王・呉芮(ごぜい)の子 呉臣(ごしん)に隠れ家にて闇討ちされ死んでしまいます。

重罪人から,王となった黥布の波乱万丈の人生を上手く描いています。
ただ,あくまで小説なので,鵜呑みにできないところが多々あります。
楚漢戦争を知ってから読む方がいいですね。

おススメは★★★

それでは。

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孟夏の太陽

ども,比叡山ハイキングで体中が痛いサスペンダーです。

今年は調子がよく,なんと4人もの先生を抜きました。
その代償でしょうか。

さて,11月4日,5日はKCG11月祭です。
毎年,「中国古代史座談会」を出展させていただいています。
(昨年は教室が空いてなくて,出せなかったけど)
今年も,出展します。ただし5日のみです。4日は仕事で外(彦根)に行ってるので出せないのです。残念。

卒業生のみなさん待ってま~す。(在校生の人も待ってま~す)

中国古代史座談会の展示物の一つに,古代中国を題材にした小説があります。
そして,また一冊コレクションに加わりました。

宮城谷昌光著 「孟夏の太陽」です。

孟夏の太陽

ちょっと前置きです。
戦国の七雄と言えば,斉,楚,秦,燕,韓,魏,趙ですが,
この中で,韓,魏,趙は,もともと春秋時代は晋という一つの国でした。
ということは,晋も楚と同様に超大国だったわけです。
その晋で一番有名な王と言えば,文公でしょう。
名前は重耳(ちょうじ)です。春秋五覇にも数えられます。
その重耳は,晋王になる前に様々な国を放浪します。
その放浪を優秀な家臣が助けて,最後には晋に戻って王になるわけです。
その優秀な家臣の中に,趙衰(ちょうし)がいます。
趙氏は晋の六卿の一氏です。
晋は王よりもこの六卿が力をもって政治をしていました。
他の卿は,韓,魏,知(智),中行,范(士)です。
この卿が淘汰され,最後にの残った韓,魏,趙が独立したわけです。
しかし,趙衰はまだまだ独立するかなり前の趙氏です。

いよいよ本題です。
この「孟夏の太陽」は,趙氏の歴史です。
趙衰の子,趙盾(ちょうとん)から話がはじまります。
趙盾は優秀な宰相でした。そして,趙盾の子趙朔(ちょうさく)も六卿の一人として政治に関わります。
しかし,趙朔の時代に一旦趙氏は滅びそうになります。
趙朔が死に,趙朔の子はすべて殺されるわけです。
しかし,まだ生まれていなかった末子の趙武は,趙朔の友に助けられ,趙氏を復興します。
その趙武の孫の趙鞅(ちょうおう)は,周の王朝で起きた内紛に巻き込まれます。しかし,趙鞅はその危機を優秀な家臣に支えられて乗り越えます。そしてその子趙無恤(ちょうぶじゅつ)の時代になり,代の国を手に入れ,知氏を滅ぼし,韓,魏とともに独立します。
この無恤が趙の初代王であり、趙襄子と言われます。

こう見ると,長編のように思えるのですが,実は短編集です。
短編を個々に楽しむこともできるし,長編として楽しむこともできるちょっと変わった短編集です。

おススメは★★★★
ずーっと趙氏なので,ちょっとややこしいです。

それでは。

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沈黙の王

ども,一足先に授業が始まったサスペンダーです。

と言っても,彦根総合高校の授業です。
ということは,また読書三昧です。

9月になってから,まず1冊目です。
宮城谷昌光著
「沈黙の王」

沈黙の王

表題作のほかに,
「地中の火」
「妖異記」
「豊饒の門」
「鳳凰の冠」
の4作品も入っている短編集です。

最初の2話(沈黙の王,地中の火)は,夏王朝の初期で,言葉や文字について考えさせられます。
たとえば,「夷」という漢字。
日本では「えびす」と呼びますが,元々は異民族の総称です。
そこで,この夷という漢字を分解すると,大きな弓になります。
つまり,大きな弓をもった異民族になるわけです。
そのあたりは,弓を発明した羿を描いた「地中の火」に書いてあります。
次の,2話(妖異記,豊饒の門)は,周王朝から東周時代(春秋・戦国時代)になるときの話です。
最後の「鳳凰の冠」は,春秋初期の晋の名臣:叔向を描いています。
この叔向は晋ですが,同時代には,鄭には子産が,斉には晏嬰などがいます。まさに黄金時代ですね。

なんだか,お得な一冊です。
おススメは,★★★★

それでは。

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

ども,すっかりご無沙汰のサスペンダーです。

みなさん,夏休みはいかがお過ごしでしょうか?
学校の先生は,授業がないから休みまくりって思っていませんか?
これ,よく言われるんですが,そんなことないんですよ。

先生は授業がない時の方が忙しいくらいです。

さて,夏休みになる前の話ですが,話題の本を読みました。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

もしドラ

夏休みと言えば,高校野球ですね。
明日,いよいよ決勝戦です。

で,「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んで,ドラッカーの『マネジメント』に興味がわきました。
読んでみようかな~。とりあえず図書館だな。

この本の感想ですが,おしい!
この本は『マネジメント』の導入本としては,着眼点がいいです。
しかし,文章がマズイ。
小説だと思って読まずに,あくまでも『マネジメント』の導入本だと思った方がいいです。
そして,設定がマズイ。
無理に青春とか感動とか盛り込んでいる感じです。特に最後らへん。
しかも,これで高校野球が勝てたら,それは選手個人の実力がものすごいんでしょう。

一番この本でへ~って思ったのは,表紙って大事ってことですね。
そういえば,太宰治の人間失格が,表紙をデスノートの小畑健さんにしたらものすごく売れたのは,記憶に新しいですね。

この本よんで,「もしKCGの学生がドラッカーの『マネジメント』を読んだら」っていうサマーコースもよかったかな~なんて思いました。

おススメは

それでは。

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故事成句でたどる楽しい中国史

ども,台風で傘を1本ダメにしてしまった,サスペンダーです。

すごい,風でしたね。
飛ばされるかと思いました。
えっ,飛ばされないだろって。
いやいや,本当にすごい風でそう思ったんです。(ホント,ホント)

さて,今回紹介するのは,

「故事成句でたどる楽しい中国史」

故事成句でたどる楽しい中国史

です。

中国史がかなり好き,故事成句がかなり好きでないと,
なかなか「楽しい中国史」にはならない感じでした。

ただ,これは僕がこれまで小説を好んで読んでいたせいかもしれません。
こういった本は,歴史の事実または文献に残っている部分だけを伝えるので,人の動き,心の動きがわからないのです。その分,小説は作者がその部分を埋めるので面白い作品になります。だから,小説の方が面白いのです。
三国志も史実の三国志より,三国演義が面白いのはそのせいです。

この本は伝説の黄帝から清王朝滅亡(中華共和国成立)までをザット通しています。
その中で,現在使われている故事成句を紹介しているものです。
人の言動がほとんどですが,時代が現代に近づくにつれ,故事成句を生み出すより,
上手く使いこなすようになっていくのがわかります。
こんなとき,これ使ったらかっこいいな~とか思ったのですが,
もう,すっかり忘れてしまいました。(残念)

色々な小説を読んで,歴史の流れを整理するつもりで読めば楽しめます。
おススメ
★★★

それでは。

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