1980年代に入ると,コンピュータ教育をどうするかが議論になりました。当時のパソコン業界はNECのPC88やPC98,シャープのMZやX68000,富士通のFM TOWNSなどのPC,東芝のIBM互換機(ダイナブックを含む),アップル社のマッキントッシュなど機種依存性の問題があり,学校教育で扱えそうになかったのです。そこで,高校では数学の中でBASICを選択単元で扱うことになりました。中学校でも技術科の選択単元でコンピュータを扱うというのはこのときに議論されたのです。
2つめには,学校教員の週休2日制の導入です。1980年代といえば,日本経済は世界一位を謳歌したころで,諸外国からは「働きすぎ」批判を受けたため,まずは公務員から土曜日を休みするように検討されたのです。国立大学などは1990年度から週休二日制になったんですが,小中高はそんな簡単には土曜日を休みにできません。そこで,隔週の土曜日(第2と第4)を休みにすることになったんです。
3つめには,小学校の低学年で生活科を設定し,中学校では男女問わず技術・家庭科を学び,高等学校でも家庭科を必修にしました。また,高等学校ではそれまでの社会科は地歴科(日本史・世界史・地理)と公民科(政治・経済,倫理,現代社会)に分かれて,世界史の必修化が行われました。
このような観点からまたもや理数の時間は必然的に減るしかなかったんです。英語(外国語)は1981年以来,時間数は減っていたので,これ以上減ることはなかったようです。
そこで1992年(平成4)に小学校で,1993年(平成5)に中学校で,1994年(平成6)に高等学校で更なるゆとり教育が実施されました。これを「第2次ゆとり教育」と呼びましょう。
1978年(昭和53)年度生まれの方が第2次ゆとり教育の始まりであり,高等学校を卒業するのが1997年なんです。このころから,大学生の学力低下問題が議論され始めました。その2年後の1999年には1980年(昭和55)度うまれが大学へ入学するのですが,いよいよ,「学力低下問題」が深刻になるのです。
ここでもう一度考えましょう。
1978年(昭和53)年度生まれの方は高等学校を卒業するまでに中3から4年間が第2次ゆとり教育なんです。そして1979年度生まれは中2から5年間ですが,1980年度生まれの方は小6から7年間も第2次ゆとり教育を受けているのです。ですから,学習指導要領が変化した直後の世代よりも,その2年後の世代の方が学力の落ち込みは大きいのです。
【過去の学習指導要領】
第二次ゆとり教育(2014年12月22日に閲覧してリンクを修正)
・小学校学習指導要領(平成4年4月施行)
https://www.nier.go.jp/guideline/h01e/index.htm
・中学校学習指導要領(平成5年4月施行)
https://www.nier.go.jp/guideline/h01j/index.htm
・高等学校学習指導要領(平成6年4月施行)
https://www.nier.go.jp/guideline/h01h/index.htm
【ブログ内参考】
ゆとり教育の歴史 その1
【参考】
学習指導要領と生まれた年度の対応