いち,に,さん,し,ご,ろく,しち,はち,く,じゅう,ひゃく,せんというのは昔の中国語から輸入された言い方です。
一個,二個,三個…のかわかりに日本語には
ひとつ,ふたつ,みっつ…とおという言い方がありますね。さらに11になると,とおあまりひとつ,といったようです。
驚くべきは20個以上ですが,
20個=はたち
30個=みそぢ
40個=よそぢ
50個=いそぢ
60個=むそぢ
70個=ななそぢ
80個=やそぢ
90個=ここのそぢ
といったようです。さらに
100個=もも
200個=ふたほ
300個=みほ
…
800個=やほ
だから,「八百屋」は「やほや」でいいのですね。
そして
1000個=ち
2000個=ふたぢ
また
10000個=よろづ
…
80000個=やよろづ
という意味なんです。「やよろづの神」って「八万神」といういみなんですよ。
ひとり,ふたり,ですがなぜが,みたりとはいわわず,さんにん。これも実はみたり,よたり,いつたり…というようです。
ついたち,ふつか,みっか…ですが,これは
ひとひ,ふつか,みっか…というようです。
20日=はつか
30日=みそか
40日=よそか
50日=いそか
なお,月初めは「月が立つ」。
つきたち→ついたち
月末は月が隠れる(こもる)「つきこもり」
つきごもり→つくこもり→つごもり
さて,ほかの個や人や日以外の例を探しましょう。
和歌のことをみそひともじといいますが
31文字=みそもじあまりひともじ
が長いので「みそひともじ」というのではないでしょうか?
和歌山には「六十谷」とかいて「むそたに」ではなく「むそた」とよみます。
あと,
ひとつき,ふたつき…
がりますが,「年」は「とせ」といいます。
百年=ももとせ
千年=ちとせ
ですね。
「千里」は大阪では「せんり」ですが,伊勢には「ちさと」という地名があります。
最後によく似たものを挙げましょう。
・五十嵐 = 「五十日」は「いそか」ですが,「いか」とも読んだそうです。
いそかあらし→いかあらし→いがらし
・五百崎 = いほざき
いほざき→いおざき→うおざき(魚崎)
神戸市東灘区の地名ですね。
一説には神功皇后征韓の際、諸国に命じて船を作らせ、武庫の水門に500隻が集まったからだともいわれいます。なお,語頭の「い」が「う」と交代する現象では関西では多く,「動く」を「いごく」と発音したり,「うばらき(薔薇木)」を「いばらき(茨木)」と言ったりしますね。
・九十九
継ぐ百(もも),つまり百へつづくと意味です。
【参考】
古代日本語の数体系