今回は対数について考えてみたいと思います。
第5章 指数・対数関数,三角関数 第1節 指数関数と対数関数
1 10の小数べき乗
そもそも10の0.3乗はおよそ2になるんですが,どうやって計算したのかという疑問はありました。現在のコンピュータではべき級数展開で計算するのですが,手計算で概数を求めることができないのかなと思っていました。それが三省堂の教科書「基礎解析」の指導書の部分にありました。森毅先生の記事で計算円盤尺というものです。これを例題化したのが,p198の問題です。
2^10 ≒ 10^3
∴ 2=2^1 ≒ 10^0.3
という展開です見事。また
5 = 10/2 = 10×2^(-1)=10^0.7
というぐらいに展開できます。
同様にすれば,4, 8は求まります。3^4 =81は80に近いことから3ももとまります。
7^2 =49は50に近いことから7も求まります。すごいですね。
こういう手計算をすれば,「10の小数べき乗」も架空のことではないことが実感できます。
2 対数って
上の議論を拡張すれば,どんな整数でも10のべき乗で表すことができます。
そうすれば,複雑な数どうしのかけ算を対数の足し算ですますことができます。実はこれが対数の醍醐味なんです。つまり,
真数のかけ算←→対数の足し算
これをジョン・ネピアという人が発見したんですね。高等学校で数学IIIのときに対数微分というのがありましたね。あれは,関数のかけ算を微分するのが難しいので関数の対数をとって足し算にしてしまうという技ですね。
3 対数の底(base)
いま,人間界では十進数が使われているので,10のべき乗を議論してきました。しかし,もっと便利な底がないのかと人々は探してきました。それが自然対数の底eなんですね。本書では高校の復習といいながら,eまで扱っています。eを導入するにはパスカルの三角形が必要なんですが,その話は後日にしましょう。
ちなみに,コンピュータの世界では底を2にしています。もちろん2進数ですからそうするのですが,かけ算が足し算で処理できるので,コンピュータはかなり楽をしているのは大昔の人間と同じです。
【参考】
「対数微分」は以下をご覧ください。