今回は「統計とコンピュータ」について取り上げます。
第3章 統計とコンピュータ 第1節 資料の整理 第2節 資料の分析 付録2 「表計算ソフト」を使いこなそう
1 表計算ソフトを用いた記述統計 2003年度改訂実施の学習指導要領は「ゆとり」がひどいと批判にさらされていた。それは小学校や中学校の算数・数学と理科の話で,高等学校の数学のカリキュラムとしては円熟していたようにも見えました。特に,コンピュータとの関連です。 当時の数学Bを整理すると以下のようになります。
- 数列
- ベクトル
- 統計とコンピュータ…表計算ソフトを用いた統計処理
- 数値計算とコンピュータ…BASICでニュートン法などを扱う
以上をみればわかるように,プログラミング言語と表計算ソフトの使い方がほどよくなっているのです。教科書の巻末には表計算ソフトの簡単なマニュアルまで付いていました。そこで我々もこの流れにしたがって,推定・検定以外の記述統計を中心に扱いました。
2 統計から確率,確率から統計
1982年度学習指導要領の「確率・統計」と振り返ると,当時の文部省は以下のような構成を想定していました。
記述統計(資料の整理)→場合の数→確率→確率変数→推定統計(統計的推測)
このうち,統計的推測は東京大学で出題しないと明言していたので,多くの高等学校では学習しなかったのではないかと思います。さて,例の三省堂の教科書を見ると,市販されているのは初版(1982年)です。ここではこの流れです。しかし私が持っている新版(1988年)では
確率→場合の数→確率変数→記述統計(資料の整理)→推定統計(統計的推測)
となっています。多くの教科書ではこの流れだったようですね。歴史的経緯で行くと,記述統計が先に出てきます。まったく別の文脈で場合の数がでてきて,確率へつながり,記述統計での概念と一致してくるのです。なお,場合の数は英語ではcounting methodと言われるので,ここでは「個数の処理」という名称をつかっています。
第3節 数学,1982年度学習指導要領…確率・統計
第4節 数学,1994年度学習指導要領…数学I,数学B