今回は「図形と座標」について取り上げます。
第5章 解析幾何とベクトル 第1節 図形と座標
内分・外分,ベクトルの内積,ベクトルの線形結合を扱っています。高等学校ではばらばらのものを効率よく扱っています。
1 てこの原理から内分・外分
座標内の内分・外分はてこの原理をつかえばかなり楽に理解できます。しかし,てこの原理は小学校の理科では昔ほどはやりません。中学入試をうけるような特殊な方だけで持ち合わせている知識なんです。
問題はてこの原理を知らないことです。本書執筆の更に5年前の2000年頃に私は小学生に中学入試の理科を教えました。てこの原理を教えた日のことが忘れられません。「みんな,シーソーに乗ったことあるよね?」というと,「先生,僕の家の近くの公園にシーソーありません」,「先生も僕も」,「シーソーはあったのは見たことがあるんですが,いつの間にかブランコと一緒になくなっていました」という具合に,クラスは騒然。これじゃ授業にならない! まったくかわいそうですね。こんな状況では勉強ができるようになりませんよね。
でも,てこの原理というのはモデル化の一つです。なんとか,体感してもらいたいものです。ちなみに,執筆当時,てこの原理のアナロジーで内分・外分を紹介することは共著者からも反対があったんですが代替案がなかったんですね。
2 三平方の定理→余弦定理→内積
この章では,解析幾何での便法として,幾何ベクトルを定義しています。そして,高等学校では,
- 三平方の定理(中3)
- 余弦定理(数学I,高1)
- 内積(数学B,高2)
という具合にばらばらに学習するので,連携がありません。リメディアル本なので,これを一つの流れにしました。結構,わかりやすいのではないかと思います。
3 線形結合へ
本節の最後には線形結合まで導いています。ベクトルを図形としての定義をはじめにして,多次元量としての定義を後回しにしています。このあたり,どう導入するかはいつも悩む問題です。ちなみに,「サク単 線形代数」では図形としての定義を優先しました。