パイオニア精神,阪神電車 2–鉄道

 開業以来,順風満帆の阪神電車でした。当時の路面電車は馬が車両を引っ張ることを前提にしていたので,時速20キロぐらいまでしか速度を出してはいけないという法律があったそうです。阪神電車は60キロ,70キロを当たり前に出していました。速度計のついていない当時の電車では速度がわかりません。
 しかし官僚たちが運転士の時刻表をみれば,速度はバレバレです。そこで,阪神電車の経営者たちは運転士の時刻表を暗号に変えて,官僚たちに読めないようにしたんです(駅の時刻表は,「始発と終発とその間は12分毎」と書いてあったようです)。
 それでも官僚たちはやってきました。レールの継ぎ目が25メートルであることを利用して,単位時間あたりの継ぎ目を通過する回数を数えると速度はわかります。運転士たちは「お客の要望で速く走った」と開き直っていました。
 これがパイオニア精神なんです。アキュームでも読んでみてください。阪神電車のようなパイオニア精神がわかるはずです。

アキューム

【出典】
川島 令三「全国鉄道事情大研究〈神戸篇〉 」(1992年,草思社)

【鉄道シリーズ】
パイオニア精神,阪神電車–鉄道

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