漢字の読み方–日中韓の比較を解説します。基本的に韓国語は昔の日本語での漢字の読み方を推定することが可能だから解説します。これがわからないと,地名シリーズも面白くないんです。
日本語の漢字の音読みは少しおかしいんです。漢字1文字は韓国語でも本場の中国語でも一音節なんですが,日本語の漢字には二音節のものがたくさんあります。二音節漢字の読み方は子音+母音に子音字がついていたのです。それを大ざっぱにまとめると以下のようになります。
-m 三 sam -p 十 sip
-n 万 man -t 七 sit
-ng 京 kyong -k 六 rok
漢字は本来,こんな読み方をするんですよ。日本語ではすっかり音がなまっているからなんです。 順番に見ていきましょう。
(1)語尾が-m
日本語にも名残がありますよ。「三位一体」を「サンミイッタイ」と発音したり,「陰陽師」を「オンミョウジ」と発音
するところに残っているのです。
(2)語尾が-n
現代日本語でも現代北京語でも韓国語でも変化はありません。
(3)語尾が-ng
「京」の場合,キョウやケイと発音します。これは二回に分けて読み方が入ってきたためで,kyongとkeongが入ってきました。それがngをウやイと発音するようになったんです。でも昔は努力して読もうとしてようです。性という字はsyongとseongと二通りあったんですが,現在ではショウとセイになります。ところでこの文字は古典では「サガ」とよみますが,
syong→sang→サンガ→サガとなったいう説もあります。
(4)語尾が-p
語尾が-pで終わるものは,旧仮名遣いではしっかりと残っていたようです。「十」も旧仮名遣いでは「シフ」または「ジフ」です。これをどう読んだのかは諸説乱立してはっきりしません。奈良時代ぐらいにはsipと読んだと思います。この類の読み方は有名なものでは蝶々を「テフテフ」と書いたようですが,昔はteptepと発音したと思います。
(5)語尾が-t
現代日本語で「ツ」や「チ」と読まれますが,韓国語では少し変形して-lの形になります。1988年のソウルオリンピックを「パルパルオリンピック」と言ったそうですが,8はpalと言います。現代北京語では語尾の-tは発音されません。
(6)語尾が-k
現代日本語でも韓国語でも-kの読み方になっています。 現代北京語では語尾の-kは発音されません。
つづきます。乞うご期待!