ハミルトンと四元数
複素数はご存じだと思います。2次方程式を解いたときにルートの部分が負になるとでてくる数ですね。
Z=a+bi
四元数(しげんすう)はクォータニオンとも呼ばれており,4つの成分からなるんです。
Q=a+bi+cj+dk
四元数はCGに応用される数であることを私は1999年にKCGで情報科学科のCGゼミを担当したときに初めて知りました。もちろん,学生たちにはそんなことは教えませんでした。それよりも,日本の大学の数学教育では四元数を扱うことはありませんでしたし,四元数に関する本もありませんでした。
2004年になってようやく,クォータニオンの本がコンピュータの本として出てきました。コンピューター全盛の今日,ベクトル解析などの計算も,四元数に直して計算するほうが簡単・便利となってきたのです。
Amazon.co.jp: 3D‐CGプログラマーのための実践クォータニオン―「スケーリング」「平行移動」「回転」…のプログラミングが分かる! (I・O BOOKS): 本: 金谷 一朗
Amazon.co.jp: 3D‐CGプログラマーのためのクォータニオン入門―「ベクトル」「行列」「テンソル」「スピノール」との関係が分かる! (I・O BOOKS): 本: 金谷 一朗
さて,つい最近,この本が出たことをうれしく思います。でも著者がどのような方が気になったのです。著者の堀源一郎という方は天体力学の専門家です。しかも,77歳でこの本を書いておられます。幾何学や三体問題,剛体の力学,幾何光学,ローレンツ変換,球面三角法などに四元数を適用・展開すればどうなるかを具体的に例示しています。
●目次●…amazonに掲載されいませんのでここに記します。
(第I部)ハミルトン
第1章・ハミルトンと四元数
第2章・四元数の発見
第3章・ハミルトンと現代物理学
(第II部)四元数とその性質
第4章・ベクトル
第5章・四元数の導入
第6章・四元数の記法
第7章・四元数のいろいろな性質
第8章・四元数のベクトル代数への応用
第9章・四元数のベクトル解析への応用
第10章・ナブラ
第11章・ベクトルのベキとeのベクトルベキ
第12章・四元数の行列表現
(第III部)四元数の応用
第13章・平面幾何学
第14章・正多面体
第15章・平面三角法と球面三角法
第16章・質点系の力学
第17章・剛体の力学
第18章・幾何光学
第19章・ローレンツ変換
【参考】
海鳴社
ベクトル・行列がビジュアルにわかる線形代数と幾何…このなかでも四元数を簡単に扱っています。