初代学院長の思い出を読んで

 本日は,初代学院長 長谷川繁雄先生がお亡くなりなられた日です。毎年,この日の前後に閑堂忌という行事を行っております。私は,初代学院長にお会いしたことはありませんが,アキュームに掲載されている初代学院長の伝説にも驚かされるばかりです。インフルエンザが校舎を閉鎖しても,Eラーニングで授業ができるようになった現在,すばらしい設備に甘んじて単なる授業配信機関になるのではなく,更なる発展を遂げることを考える必要があります.。そこで,本ブログ読者の皆さんとともに,初代学院長のめざした教育機関とは何かを考えたいと思います。
 
【出典】
初代学院長の思い出 | 連載記事 | アキューム

 まずは私がはじめて初代学院長の存在を意識したのは,アキュームVol9でした。当時,非常勤講師として本学に勤務しておりました。

【出典】
初代学院長の思い出 | Vol.9 | バックナンバー | アキューム

 この記事からいくつかピックアップしましょう。

「共通一次試験は教育の国家統制で学校のランキングを公にするものだ。」
…これはマークシート式試験を批判しているのではないかと思われます。京大入試のような論述式,記述式の試験でないと学力試験にならないという主張だと私は解釈しています。事実,初代学院長のころのKCGの奨学生試験はすさまじい量の論述試験だったと伝えられています。

「高校までの成績で入学を差別するシステムにはくみしない。」
…ひとつには,コンピュータは高校までの勉強ができるかどうかとあまり関係がないことを表しています。もう一つは,コンピュータを学ぶに当たって高校までの知識を必要とする場合でも,KCGの教員がサポートしたことも示しています。今日でいうリメディアルはKCGは創立以来当たり前だったんですね。

「京都コンピュータ学院はいわゆる「専修学校」ではない。京都コンピュータ学院は京都コンピュータ学院であり,たまたま現在の学校教育法の制度では専修学校という範囲に組み入れられているだけのことだ。」
…これを英語に直すと
KCG is not a so-called "vocational school". KCG is the only one, and it happens to be a "vocational school" in the present law.
 となるでしょう。the only oneを示唆する表現がここにあるんです。この精神は日本最初のIT専門職大学院である京都情報大学院大学のキャッチフレーズへつながるんですね。

「コンピュータの技術を教えるだけの学校ならいくらでもあるし,何も僕がやる事もない。」
…この言葉の意味は重すぎますね。みなさん,考えましょう。

「われわれは今までどこにもない全く新しい学校,思想・宗教など一切の差別のないユートピアを作ろう。」
…アジアナンバーワンをめざす本学大学院の精神に通じる物がありますね。

「こういうことは官ではなく民の力でやるべきことだ。」
…民間の力だけではどうしても限界があるんですね。ここをどう考えるのかが重要です。

「大学で研究の経験のある人,他の学校で教育の経験のある人,会社で企業実務の経験のある人,それぞれができる範囲の事で学校作りに協力して欲しいんだ。」
…ここは,現在のKCGではいまひとつ力量を発揮し切れていないように思います。

「作花さんや牧野さんは今僕が言った事を学生に教えてやってくれ。」
…これは大変な言葉のようですね。なぜなら,そのあとに,「私はこれらの話を聞いて半ば共感しながら半ば反発した。理想は高邁だがそれを実現する青写真はない,全く新しい学校とは具体的にどんなものかわからない,それは自分で考えろと言うのか,こんな茫漠たる事をどうやって学生に伝えられるものか!と。」という記述があるんです。偉大なカリスマというものは大きな方向性だけを示すものだと思いました。

 さて,別の方の記事も読みましょう。

【出典】
初代学院長の思い出 | Vol.16 | バックナンバー | アキューム

 「当時,幾つかの大学でもコンピュータの講座が開かれていましたが,学院に入学してから,大学でコンピュータを学んでいる高校時代の同級生に会って話をきくと,学院のほうが大学よりも進んだ教育を行っていることがわかりました。」という記述があります。ちなみに,1970年です。
 「『パーソナルコンピュータをどう思うか』と尋ねられました。」とあります。そして驚くべきは「暫くして,パソコンを3000台購入して学生に一人一台貸すという決定が出されました。1983年のことです。」とあるんです。これが伝説の「学生に一人一台PCを貸す」という話なんですね。恐れ入りますね。
 「当時,月に一回,全教職員が集まる会議が開催されていましたが,そうした会議の席で若手の教職員が意見を述べる場合でも,先生は,何も言わず頷きながら耳を傾けておられました。本当に人を差別することなく,接することのできる方でした。」とあるんですね。本当に信念をもっている教育者の姿ですね。
よく聞く「あいつは人の話を聞かない」という表現ですが,これには2種類あるんです。一つは無能であるので,他人の話を理解する力量がない場合,もう一つはすべて考慮した上で人の話を無視する場合です。初代学院長のようなスーパーマンは後者になる可能性があります。しかし,初代学院長はスーパーマンを超えた存在のようですね。「若手教職員の言うことはすべてわかりきったことかもしれないが,人を育てる過程として話を聞こう」という態度だったことが伺えます。

 最後には,2007年度と2008年度に本学大学院に在籍されていた方の記事です。

【出典】 
初代学院長の思い出 | 最新号・Vol.17 | アキューム

 ここには,当時の奨学生試験のことが書かれています。初代学院長が入学説明会(現在のオープンキャンパス)で,ただの高2生にお声をかけたことは,読者のみなさん,覚えておいてください。私もこの話をご本人から聞きましたので,初代学院長のこの精神でオープンキャンパスにくる高校生と接しています。

 では,みなさん,初代学院長の伝説を永遠に実践していきましょう。kcg.eduは永遠に続くはずです。

【ブログ内参考】
ハレー彗星の去った年 | 空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,のカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

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