新しい常用漢字に異議があるんですが…

日本語の常用漢字案がようやくまとまったようですね。
【参照】
常用漢字表196字追加、見直し案を大筋了承 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
新漢字「変換文化」意識…読めればOK、難字も : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 ところが削除される5文字が上記の記事内に書かれていないので、探してみました。漢字検定のサイトにありました。
【出典】
新常用漢字(常用漢字に追加される196字)の読み方などの一覧:漢字辞典ネット

 このページによると、以下の5文字。

勺 シャク
匁 もんめ
脹 チョウ
銑 セン
錘 スイ・つむ

 このうち、「勺」と「匁」はメートル法の普及で使用することがなくなったので削除するのは問題がありませんね。
 「脹」は「膨脹」ぐらいしかつかうところがなく、「膨張」に置き換えるのでしょうね。
 「銑鉄」の「銑」も製鉄業がそれほど盛んでなくなったので、必要性が薄れたきたのでしょう。
 問題は「錐」である。なぜ、この文字を削除するのでしょうか? 大いに異議ありですね。理系でなくても「円錐」や「三角錐」は図形の基本形です。この文字を削除するあたり、技術立国日本といいながら、文系主体の文化審議会国語分科会漢字小委員会の態度が見える。
 なお、196字も追加されるというのに、「函館」の「函」がないのです。この文字は、数学やコンピュータで使うfunctionの訳語「函数」に使う文字なんです。常用漢字(昔は当用漢字)に「函」がないので、やむなく、「関数」と置き換えています。でも本家の中国ではfunctionは「函数 hán shù」であって、关数guān shùではありません。もっとも「関」は中国では「せき」つまりshutの意味で使用されるので、コンピュータ専攻の中国人の日本留学生には「関数」は奇妙な言葉にうつります。
 ついでに「冪乗」の「冪(べき)」も追加してほしいですね。指数計算で「累乗」という言葉を高等学校では使わせますが、高等学校を卒業すれば、「冪乗」しか使いませんよ。なお、「冪乗」を「累乗」に置き換える言葉狩りを行っても、実は「降冪(こうべき)の順」という言葉は教科書に残っていたりするんですよね。

 文化審議会国語分科会漢字小委員会の態度に科学や技術に詳しい方も追加してほしいですね。

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