「基礎数学の123」著者語る4 2次関数と平行移動,2次方程式と因数分解

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 今回も著書を横断的に,2次関数と平行移動,2次方程式と因数分解というテーマで扱ってみたいと思います。

第1章 1次関数,2次関数 第2節 2次の変化と方程式 
第2章 数と式 第2節 多項式
第6章 座標幾何 第1節 直交座標

1 数学トラウマは高等学校でどう作られるか?
 共著者の先生が女子大で数学をおしえておられたのです。執筆当時にその先生にご意見を伺うと,「学生たちは因数分解がわからないのに,大学で数学を学ぶことはできるのですか?」という質問をし続けるそうです。高等学校の数学の最初で学習する「数と式」で難しい因数分解を体験して,その後の数学のつまづきを解消できず,トラウマだけがのこったのでしょう。そしてその先生が「この本では因数分解を知らなくても2次関数や2次方程式がわかるように構成したい」という強い願いから,本書では第1章では2次関数や2次方程式を解説して,あとから因数分解を解説するという手法をとりました。
 まず高等学校の混乱ぶりを分析しました。とどのつまりは以下の通りです。
y=f(x)…関数
f(x)=0になるxの値を求める←→x軸との交わりを求める…方程式を解く

 ここがはっきりと語られないので,学生たちの混乱が走るのですね。そして,方程式を解くときに,コンピューターで解くときは,xを数値的に変化させて0になるまで代入しまくって解を見つけるのですね。コンピューターは因数分解なんかしません。だから,この展開はむしろ実用的であると考えました。

2 放物線と2次関数
 できるだけ,微分・積分につながるように,放物線を扱うようにしました。ここで注意するべきは放物線には厳密には2種類あるということです。

  • 横軸が時間tで縦軸が距離y
  • 横軸が時間xで縦軸が距離y

 後者の方は厳密に言うと媒介変数の時間tが介在してxとyが2次関数になりますので,第1章で扱うべきではないと考えました。では,どうするのか?
 三省堂の「数学I」の教科書では,「図形の方程式」の単元を座標幾何として扱っていたのです。これが大いに参考になりました。ちなみに,座標幾何とは解析幾何の別名です。

3 座標幾何
 高等学校の数学には伝統的に初学者にはわかりにくい単元があります。

  • 関数あるいは2次関数
  • 図形と方程式

これを少し模式的に整理しましょう。

  • 関数あるいは2次関数…xが入力でyが出力になる関数。
  • 図形と方程式…xとyは対等で方程式で結ばれる

 という違いがあります。これですっきりとしました。この概念に至るまでに何人ものと方と議論しました。高校数学が理解不能になる理由の一つでもあります。この根源は中学校にあります。中2で履修する一次関数において「関数と方程式」とあるんです。連立方程式を一次関数を同一視する考え方を植え付けいています。これは,立場がちがう見方をしているものなので,同一視するのは高等学校での学習には弊害になっているようにも思います。
 座標幾何に話をもどしましょう。当時,「基礎数学の123」と「基礎数学のABC」は同時進行で製作していました。「基礎数学のABC」の方には初等幾何を掲載することになっていましたので,その続きで解析幾何をベクトルとの関連で扱うことにしました。そこで,解析幾何のうち,座標変換の部分だけを扱うので,「座標幾何」と名称で本書では扱うことにしました。そうすると,直交座標と極座標(複素数平面)という形で整理できることがわかったんですね。

4 2次関数の頂点を見つけて平行移動?
 高等学校の数学の2次関数の指導といえば,ひたすら,頂点をみつけるために平方完成して平行移動ばかり。あの平行移動の説明がわかりにくいんですよね。でも,物理学の立場でいえば,単なる座標変換に過ぎないのです。そこで,第1章では平行移動は扱わず,第6章で扱ったんです。
 それが,p251の「オートバイのダイビング」です。これって,映画「マトリックス リローデッド」の冒頭シーンですよ。トリニティがバイクで突っ込んでいくあれをイメージしてつくった例題です。p256以後の「座標と運動」で媒介変数の扱いを自然に導入していきます,

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フランス語の名詞の変化をまとめました。

フランス語名詞の変化図 クリックするとはっきり見えます。

 

 

 フランス語を勉強していることをこのブログでは書いていませんでしたが,少しずつ分かってきたので,書いていきたいと思います。  フランス語を勉強していて,名詞に関して以下のことがわかりました。

・とにかく,定冠詞単数形がよく使用される。特に,英語でいう不可算名詞・抽象名詞の場合は英語で無冠詞なのにフランス語では定冠詞がつく。
・部分冠詞というのは英語でいう不可算名詞・物質名詞につく。
・可算と不可算の区別が英語とは異なる。
・前置詞 a と de が使用頻度が特別高くて,冠詞との縮約が起きる。エリジオンが起きている時は縮約しない。

  • a + le → au /o/
  • a + les → aux /o(z)/
  • de + le → du /dy/
  • de + les → des /de(z)/

 そこで,以下のような説明をかなり前に見つけました。

フランス語の限定詞 – Wikipedia

 それで,名詞を入力すると,冠詞と前置詞 a と de の縮約形まで自動的に表示するexcelシートをつくりました。

ここでいろいろと説明を読んでいると以下のことがわかりました。

  1. ・「定冠詞+名詞」にdeがついたものが部分冠詞の起源である(図では黄色)
  2. ・des は歴史的、形態的に部分冠詞の複数形である(図では水色)
  3. ・部分冠詞および不定冠詞複数形は歴史的、形態的に de を含んでいるため、de の後では消える(図では緑色) →(参考:北鎌フランス語講座)前置詞 de の後ろでは、不定冠詞の複数の des と部分冠詞は、必ず省略されます。 
    部分冠詞+de=de de la hauteur->de hauteur (部分冠詞de laが消える)
    不定冠詞複数形=de des hauteurs=de de les hauteurs->de hauteurs
  • un porc 「豚」と du porc 「豚肉」
  • du or「黄金」でun or「一塊の金」,l’orは「黄金という金属」
  • de la hauteur 「高さ」から une hauteur「小高い場所」
  • de l’amitie 「友情」から des amities 「友情を表わす言葉」

 ここにさらに追加するべきはことは2つ(図では緑色)

  1. 否定文の冠詞de
  2. 「複数の形容詞+複数の名詞」の前では、不定冠詞 des は de になる

    des hautes montagnes → de hautes montagnes (高い山々)

【参考】
東郷雄二 (2004), “フランス語の隠れたしくみ 7. 冠詞のふたつの機能”, ふらんす (白水社) 79 (10)
藤田健 (2003), “ロマンス諸語における冠詞のカテゴリー化に関する対照的考察”, 認知科学研究 (室蘭認知科学研究会) 2: 18-35

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「基礎数学の123」著者語る3 黄金比,フィボナッチ数列,正五角形の対角線

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 今回は著書を横断的に,黄金比,フィボナッチ数列,正五角形の対角線を扱います。キーになる方程式はx^2-x-1=0です。とりあげる場所は以下の部分です。

第1章 1次関数,2次関数 第2節 2次の変化と方程式 p15
第3章 数列 第1節 数列 p88, p120
第5章 指数・対数関数,三角関数 第2節 三角関数 p224

1 単純に正五角形の対角線の長さ
 三角比を拡張していくと,2倍角の公式や半角の公式をつかえばいろいろな角度の三角比を求めることができます。詳しくは本文を読んでほしいのですが,p224で36度のサインやコサインを正五角形の対角線の長さから導くことにしました。すると以下の方程式がでてきます。
 x^2-x-1=0
 この正の解の半分がコサイン36度なんです。ここからサインを求めると二重根号が出てきていい勉強になります。

2 黄金比
 そもそも,古代ギリシャ時代のパルテノン神殿の頃から黄金比は発見されています。ヨーロッパ文明で大昔から「わーきゃー」と騒がれてきたのに,日本では一部の数学マニアだけが知っている事柄です。早速Wikipediaの項目の参考文献を見てください。どれほど,このテーマの本が多いかがわかりますよね。

黄金比 – Wikipedia
 この黄金比を学生さんに教えることはきわめて重要なことだと思います。そもそも黄金比は正五角形と関連づけて語られることも多いわけです。

3 フィボナッチ数列
 お恥ずかしながら,私はフィボナッチ数列の存在を大学生になるまで知らなかったのです。その存在を知ったのは,家庭教師先で三省堂の教科書「高等学校の基礎解析」を初めて読んだときです。なにかショックみたいなものが走りました。
フィボナッチは次の問題を考えました。
1つがいの兎は、産まれて2か月後から毎月1つがいずつの兎を産む。
兎が死ぬことはない。
この条件のもとで、産まれたばかりの1つがいの兎は1年の間に何つがいの兎になるか?
 この数列をp120で解説しています。特性方程式は
x^2-x-1=0
となり,やはり,黄金分割と関係がでてきます。
 ちなみにWikipediaも読んでみましょう。
フィボナッチ数 – Wikipedia

 ひまわり,パイナップル,植物の葉の付き方,貝などの自然界にはよくあることがわかります。
 以下のような記事もご覧になるといいと思います。
【参考】

第14回:全ての植物をフィボナッチの呪いから救い出す

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阪神大震災から20年

 阪神・淡路大震災から20年。
 この20年間で私が実感したいことは,被災しなかった人には無関心な話題ということです。自分が将来被災する可能性があると考える人はほとんどいないということです。
 京都市内は花折断層があり,数十年以内に確実に地震が来ると私が言っても,だれも聞いてくれません。
 東京で,防災訓練だと騒いでいる人は,実は阪神・淡路大震災のもと被災者だったりします。
 私の所属するある研究会で,このテーマを取り上げようと提案したが,「なにかつながりがわからない」ということを先生がいて,その先生の想像力の欠如に脱帽しました。
 以上のことから,防災というのは,自分が体験しない限りは,なにも学ばないということではないでしょうか?

ビスマルクのいう「賢者は歴史に学び,愚者は体験に学ぶ」

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「基礎数学の123」著者語る2 等比数列と指数関数

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 今回は等比数列と指数関数の関係について述べます。とりあげる場所は以下の部分です。

第3章 数列 第1節 数列
第5章 指数・対数関数,三角関数 第1節 指数関数と対数関数

1 そもそも数列をなぜ学習するのか?
 私がいつも参考にしている三省堂の教科書の一つである「高等学校の基礎解析」の第1章に数列が収録されています。この本の著者のひとりの森毅先生は「数列は,とにかく遊び感覚で数字の扱いに慣れればいいんだ」みたいなことを述べておられて,残りの章への関連を述べていません。せいぜい,数列の和が積分(リーマン積分)に関係するぐらいのことしか述べていません。
 それでは数列はなぜ学ぶのでしょうか? 関数のx軸(入力側)の離散化,コンピュータ科学の言い方をすれば標本化(サンプリング)です。したがって,数列と関数の関係を意識するべきなんですね。本当は高等学校でここまで意識させてほしいのですが,現状では無理なので,大学あるいは専門学校入学後にそういう教育をするしかありません。

2 等比数列と指数関数
 等比数列の式は以下のように書きますね。高等学校と異なって,n=0から始めることにします。ここでnは整数です。
An=A0・r^n
 もう少し関数ぽく書き直すと
A(n)=A(0)・r^n
となり,A(0)は初項といいますが,関数的な考えであれば初期値ともいえますね。こんどはnを実数全体に拡張してxと書くことにしましょう。
A(x)=A(0)・r^x
 これは指数関数の世界ですね。rは指数の底,xは指数といいますね。あれ? 高等学校の教科書の形で書くと
f(x)=a^x
 となりますね。aは指数の底,xは指数。前の係数はありません。A(0)の部分は重要で,実際のデータ,たとえば指数関数的に増加する人口を表す場合なら,A(0)の部分は人口調査開始時の人口になります。初期値ですね。

3 バクテリアの増加で指数関数を表現しました。
 「第5章 指数・対数関数,三角関数 第1節 指数関数と対数関数」ではバクテリアの増加を例にあげて説明しています。底は2,指数部分は時間tです。時間tをつかっているので,自然な形で実数の指数がわかるかと思いましたが,読者の方から,「わかりにくい」という声を聞きました。等比数列から指数関数へのつながりが悪いのでないかと思い,現在,接続する方法を検討中です。
 高等学校の教科書ではn乗根から分数指数をつまりn乗根は1/n乗であることを定義にしています。しかし,n乗根を数値的に確かめることが高校生ではできないのが残念です。最近だとパソコンやスマホあるので,こういう手段を提示することも重要です。なお,n乗根を求めるときは1/n乗します。この関係はしっかり教える必要があります。
 √は1/2乗
 n√は1/n乗…しかし2乗根(平方根)の場合は,左肩に2と書きません。

4 累乗? べき乗?
 高等学校では,「累乗」と言葉を使いますが,高等学校を卒業すると,「べき乗」しか使いません。昔「冪(べき)」という漢字が当用漢字(現在の常用漢字)に入っていないので,当時の文部省が「冪乗」を「累乗」に置き換えたと言われています。一方,多項式では「降べきの順」や「昇べきの順」という言葉は残っているので,一貫性のなさを感じます。

【ブログ内参照】
指数・対数関数や三角関数のトラウマの方は三省堂の「高等学校の基礎解析」を読みましょう。 | オブ脳@kcg

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「基礎数学の123」著者語る1 三角関数

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「基礎数学の123」が書かれた当初のことを思い出して,どういう意図で書いたかを述べたいと思います。今回は以下のところです。
「基礎数学の123」1 
第5章 指数・対数関数,三角関数
第2節 三角比と三角関数

1 三角比へのこだわり
 三角比の定義ははっきりいってわかりにくい。なぜ,そんなものを定義するのかがわからないからです。ポイントは以下の点にあります。
・直角三角形の相似の条件は角度が一つきまればいい
・直角三角形は斜辺以外の2辺は「角度に接する辺」と「角度から離れた辺」に区別される

 以上のことから,斜辺の長さを1に規格化すれば,当然,2辺の長さはけっていされるのです。「角度に接する辺」をコサイン,「角度から離れた辺」をサインと呼びます。ということから,ややこしい説明を抜きにして,単位円のx座標をコサイン,y座標をサインとして定義して始めました。「基礎数学のABC」の第4章もご覧ください。

2 n倍角の公式からべき級数展開へ
 さて,私がここでとった方法は,日本の和書では珍しい方法です。それは,2倍角の公式,3倍角の公式と増やして,n倍角の公式を導きます。本書では紙面の都合で数学的帰納法をつかった証明は与えていませんが,結果は簡単に推定できます。この係数がマイナス部分を除いてはパスカルの三角形になるんです(p.222~p.224)。
 ここでθが小さいときはsinθ≒θ,cosθ≒1になることを利用してnθ=αとおくとなんと,コサインとサインのべき級数展開が導けます。ただし,無限数列の和が収束する(一定数になること)ことの証明も与えていません。しかし,私はべき級数展開にこだわりました。
 理由は以下の通りです。
コンピュータ内部では,コサインやサインはべき級数展開で計算するからです。
べき級数展開の結果を覚えておけば,微分や積分も容易に理解できる
オイラーの公式へ移行がスムーズである。
無限数列の和の収束の議論の重要性を感じることができる。

 この流れの原点はハイラー・ワナーの「解析教程 上」から学びました。

3 波の式
 通常の数学の三角関数では波の式は扱いません。これは全くおかしな話です。物理学や工学の分野では三角関数と言えば波の式です。私のこだわりでは
y=sinθ
では一般性はなく
y=Asinωt
の方が一般性があると考えています。物理量としては振幅のAの部分があり,波打って変化するのはサインの方です。おまけに角度が変化するのではなく,角振動数と時間の積が変化するんですね。ここは強調しました。なお,kXととして各波数と位置の積もとりあげています。また,この当時のゆとり教育の影響で,三角関数の積和公式や和積公式も教えられていなかったので,ここでは掲載しています。

【参考文献】

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この本でも三角関数のべき級数展開を扱っています。

 

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学習指導要領と生年の関係

 私は,数学教材のインストラクショナルデザインを考えるという観点から,学習指導要領と生年の関係を研究してきました。その上で著書を著してきました。

【参照】
ゆとり教育で不足した学力はどこで補完するのか ~社会人になるために~ | Vol.20 | アキューム

 ところで,ジェネレーション・グラムという考え方で,これを発展させた図版がありました。社会現象まで書いていますので,よくわかりますね。

データえっせい: どの学習指導要領で育ったか

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「本能寺の変 431年目の真実」で納得

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Facebookやっていると,この本の宣伝がしつこく出てきますので,ついに拾い読みしました。なるほど。著者は明智光秀の子孫です。しかも本職は歴史学者ではなく,システムエンジニア。
 肝は第6章。信長の野望が「中国大陸制圧(唐入り)」で,光秀は中国派遣させられそうになったというわけ。一族全部が異国の地で果てるのは我慢ならないというわけだったんですね。 以下の目次の抜粋を読めば,およその内容はわかりますよね。

【目次抜粋】
プロローグ【問題だらけの本能寺の変の定説】
◆第一部 作り上げられた定説◆
第1章 誰の手で定説は作られたか
秀吉の宣伝の書『惟任退治記』
秀吉伝説を作った『太閤記』
光秀伝説を作った『明智軍記』
定説を固めた高柳光寿神話

第2章 定説とは異なる光秀の経歴
フロイス証言の信憑性
義昭を離れ信長のもとへ

第3章 作られた信長との不仲説
史料が記す親密な関係
矮小化された二人の人物像

◆第二部 謀反を決意した真の動機◆
第4章 土岐氏再興の悲願
愛宕百韻に込めた祈願
土岐氏の栄枯盛衰
なぜ脇句・第三も改竄されたのか

第5章 盟友・長宗我部の危機
利三兄弟と長宗我部の絆
畿内・四国同盟に訪れた危機

第6章 信長が着手した大改革
織田家の長期政権構想
信長の「唐から入り」
信長のコンキスタドール
これが謀反の真の動機

◆第三部 解明された謀反の全貌◆
第7章 本能寺の変はこう仕組まれた
六月二日の未解明の謎
光秀の兵が出した答
家康・順慶呼び出しの謎解き
織田信忠見落としの謎解き
安土城進軍の謎解き
信長の油断の謎解き

第8章 織田信長の企て
家康領の軍事視察
なぜ「家康討ち」なのか
信長の最期の言葉
安土城の密室での証人

第9章 明智光秀の企て
謀反の決意と模索
光秀が奏上した「家康との談合」
談合にいたもう一人の人物
成就するかに見えた謀反
狂いだした歯車

第10章 徳川家康の企て
作られた伊賀越えの苦難
手間取った光秀援軍
安土城放火の真犯人

第11章 羽柴秀吉の企て
早過ぎる中国大返し
準備されていた和睦
秀吉が待望した光秀決起
秀吉の巧みな情報操作
三者による秘密の封印

◆第四部 叶わなかった二つの祈願◆
第12章 祈願「時は今あめが下なる五月かな」
明智氏による土岐氏再興
落ち延びた光秀の子供

第13章 祈願「国々は猶のどかなるとき」
豊臣秀吉の唐入り
千利休切腹の真実
関白秀次切腹の真実

エピローグ【本能寺の変の定説を固めた国策】

謝辞
付録
1本能寺の変「日表」
2光秀「年表」
参考文献

【参考】

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「基礎数学のABC」著者語る2 集合と論証

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 今回は集合について取り上げます。

「基礎数学のABC」
第1章 集合と論証
第1節 集合
第2節 命題と集合
第3節 コンピュータと集合

 そもそも,この本の最初に「集合と論証」を持ってきたのはなぜか? 1994年度から実施された学習指導要領では数学はI/II/III系統とA/B/C系統に分けられた。文部科学省の科目番号の決まりでは,I/II/III系統は積み上がっていくイメージであるのに対して,A/B/C系統は学校の状況に合わせて履修させる科目なのである。I/II/III系統は解析学の系統の単元が多く,その扱いはかなり伝統的かつ体系的であった。一方,A/B/C系統はカオスなのである。特に,2003年度から実施の学習指導横領(世間でいうゆとり)の数学Aは謎めいていた。抜粋して掲載する。
【出典】
第4節 数  学(第3次ゆとり教育の数学A)
=====
(1) 平面図形
 ア 三角形の性質  イ 円の性質
(2) 集合と論理
 図表示などを用いて集合についての基本的な事項を理解し,統合的に見ることの有用性を認識し,論理的な思考力を伸ばすとともに,それらを命題などの考察に生かすことができるようにする。
 ア 集合と要素の個数 イ 命題と証明
(3) 場合の数と確率
 ア 順列・組合せ イ 確率とその基本的な法則 ウ 独立な試行と確率
======
 2004年の執筆当時に出版されたほとんどの教科書は何の思想もなく,3単元が並んでいるだけでした。しかし,啓林館だけはストーリー性があったんです。

  • 「集合と論理」の論理を発展させる形で「平面図形」を扱う
  • 「集合と論理」の集合を発展させる形で「場合の数と確率」を扱う

 この流れはすばらしい。そこで我々もこの流れに従うことにしたんです。こうすれば,「場合の数と確率」から「統計」へつなぐことができるからです。
 さて,実際に執筆を始めると公務員試験で出題されるが「命題と論証」であることがわかった。もちろん情報系の教員だったので,論理回路も扱いたい。そこで以下のような流れになった。

  • 第1節 集合→「第2章 個数の処理と確率」→「第3章 統計とコンピュータ」
  • 第2節 命題と集合→「第4章 初等幾何の体系」→「第5章 解析幾何とベクトル」
  • 第3節 コンピュータと集合

 このことは本書を構成していく上できわめて重要なコンセプトであることが理解していただけるでしょう。

【参考文献】

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 「使える集合論」の学習をしたいなら,この本はオススメです。日本語訳は絶版ですので中古品をご購入ください,Schaum’s Outline of Set Theory and Related Topicsが原著です。最新版をお探しください。

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 タイトルとすこし異なって,集合論入門です。

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 離散数学入門です。

【シリーズ】

 「基礎数学のABC」著者語る1 初等幾何の体系 図形と計量,三平方の定理 | オブ脳@kcg

 

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「基礎数学のABC」著者語る1 初等幾何の体系 図形と計量,三平方の定理

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 本年の初めから,著書について,どういう意図で執筆したかを解説します。

「基礎数学のABC」1
第4章 初等幾何の体系
第3節 図形と計量

 そもそも,この本に「初等幾何」を掲載するべきかどうかは著者の間で議論になりました。

  • 掲載する理由:第3次ゆとり教育(2003年度学習指導要領)で高校へ上がってきた部分が多く,論証の部分などは中学校で扱わなくなった。その上,就職試験や公務員試験で扱う。
  • 掲載しない理由:大学で扱わない。大学での学習のどこにつづくか不明

 結局,就職試験や公務員試験の対策の必要性から著者全員が納得したのである。公務員試験でおく出題されるのは,初等幾何以外には,「第1章 第2節 命題と論証」があげられる。

 さて,公務員試験でなぜ,初等幾何がよく出題されるのか? 特に「図形と計量」の部分はよく出題される。

  • 多角形の面積を求める問題
  • 相似形の問題

 ここから推定されるのは,公務員は建物や土地の図面を見ることが多いので,図形の知識が必要なのではないかということである。事実,たまたま私はある公務員の方と話をしたことがあるが,その方は土地の登記をずっと扱っているというのです。測量して面積を求めることなど日常の仕事なんですね。なるほど,相似形などもわかっていないと,面積を求めるのは難しいので,そういう知識を問うていることがよくわかりました。

 著者の一人に当時,高等学校の教員がおられました。その方の意見で,三平方の定理(ピタゴラスの定理)を重視した構成にしました。三平方の定理を知らない大学生や大卒者が多いことに驚いていました。三平方の定理が重要なのは以下の点です。

  • 平方根の図形的理解
  • 座標幾何で,2点間の距離を求める→円や球の方程式
  • 余弦定理の理解→幾何学的内積の理解

 これらを理解できないことは高校数学のベクトルの理解が壊滅的になります。事実,そういう方はたくさんいるのです。でも三平方の定理は中学校でやるはずです。ここで高等学校の教員の共著者からすごい発言が出てきました。「三平方の定理は中学校三年生の最後の方で学習する。高校入試まで期間が短く,生徒の習熟度が低いため,できるたけ出題しないようにと教育委員会からお達しが来るんですよ」と。共著者一同驚きましたが,三平方の定理が重要であるにもかかわらず,「中学校でやっていない」と大きな顔をする大学生や大卒者がたくさんいることへヒントになりました。いずれにしても,三平方の定理は理解しやすいように工夫しました。

 この節は,高等学校の三角比で扱われる正弦定理や余弦定理,中学校から高等学校へ移ってきた正多面体や相似形を扱っています。どうも数学の理解がたらないと言う方はこの部分から学習し直してはどうでしょうか?

【リンク】
ゆとり教育で不足した学力はどこで補完するのか ~社会人になるために~ | Vol.20 | アキューム

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