定本 解析概論
理工系の書籍も日本国内における著作権の保護期間が満了するものが出てきました。高木貞治の「解析概論」もそうです。
正直言って,わかりにくいです。現代的スタイルの解析学の教科書の見本みたいです。なぜ,現代的な教科書は理解できないかといえば,高校までの数学は18世紀までのスタイルですが,大学ではいきなり20世紀スタイルになるからです。この本もそのスタイルです。
私は以前から19世紀のスタイルの微分積分を追い求めましたが,そのひとつが,私の著書になっています。この本を読破できれば,高木貞治の解析概論も読破できるはずです。
【参考】
関数・微分方程式がビジュアルにわかる微分積分の展開―数学・物理学・工学の三体一体
19世紀スタイルの教科書としては以下の本もオススメです。
三角関数のn倍角の公式をパスカルの三角形を利用して求めます。つぎに,n倍を無限に飛ばすとべき級数展開になります。それからテーラー展開へ一般化して,無限級数和に持って行く流れはとても感動しました。だから,無限級数和が有限値を持つかどうかはとても重要になるんです。しかし,そればかりにこだわると,コーシーになってしまうんです。
解析教程 上 新装版: E.ハイラー, G.ワナー, 蟹江 幸博
解析教程 下 新装版: E.ハイラー, G.ワナー, 蟹江 幸博
昔紹介した,「解析入門」なども参考にしてください。
アメリカの微分積分の教科書 | オブジェクト脳@kcg
アメリカの線形代数の教科書 | オブジェクト脳@kcg
最後に公開されている「解析概論」のサイトです。
【参考】
高木貞治 – Wikipedia
【解析概論の目次】
第1章 基本的な概念
第2章 微分法
第3章 積分法
第4章 無限級数 一様収束
第5章 解析函数、とくに初等函数
第6章 Fourier式展開
第7章 微分法の続き(陰伏函数)
第8章 積分法(多変数)
第9章 Lebesgue積分
附録1 無理数論
附録2 二、三の特異な曲線
補遺 いたるところ微分不可能な連続函数について