生成文法と漢字音に関する中国語学習書

中国語概論
 著者の藤堂明保(とうどうあきお)氏も相原茂氏も,日本の中国語教育をリードする第一人者です。
 まず,藤堂明保氏は「漢字源 」や「学研新漢和大字典」で有名な方です。一方の相原茂氏は2003年ごろのNHK中国語講座を担当したり,中国語の学習書を多数書いておられます。文法の解説が明確で,私はこの著書のファン一人です。
 この本の目次の概要をあげておきましょう。

【目次】
1 中国の言語、
2 北京語音韻論、
————
3 文法論I統辞法、
4 文法論II品詞論(上)、
5 文法論III品詞論(下)、
6 文法論IV文論、
7 文法論V造語法、
————-
8歴史的音韻論I―隋唐の中古漢語、
9歴史的音韻論II―周秦漢の上古漢語、
10漢字の変遷と単語家族

 この本は3部構成といえます。
最初の部分は,中国語に関する導入分です。第1章,第2章に相当します。
2番目は第3章から第7章までの文法論です。これは,ノーム・チョムスキーの生成文法の考え方を導入して,中国語を説明しています。生成文法を用いた文法解説自体珍しいのに,中国語に適用しているのが,とてもすばらしいですね。
 3番目は,藤堂氏の専門である「歴史的音韻論」です。中国語の漢字の読み方がどのような経緯で,現在の読み方に変化していったかを述べています。日本語の漢字の読み方と中国の漢字の読み方の隔たりはものすごいですから,この記述はかなり貴重です。

【参考】
生成文法 – Wikipedia
Amazon.co.jp: 英語の構造 上  岩波新書 黄版 133: 中島 文雄…実は生成文法の本
Amazon.co.jp: 英語の構造 下  岩波新書 黄版 134: 中島 文雄
Amazon.co.jp: 日本語の構造―英語との対比 (岩波新書): 中島 文雄…実は生成文法の本

【ブログ内参照】
漢字音の研究 その1 | オブジェクト脳@kcg
漢字音の研究 その2 | オブジェクト脳@kcg
漢字音のHTML | オブジェクト脳@kcg

comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*