こんどは大阪の地名。大阪市の市章の「澪標(みおつくし)」は何なのでしょうか? 澪標とは河川などを通行する船に,通りやすい水路をさししめすために立てた杭のことであるという説明が一般的です。この説明は納得できませんね。
私は学生のtきに京都大学人文地理学の足利健亮先生(故人)の講義を聴いて納得しましたよ。水量の多い淀川が大阪湾に注ぐ部分では川の流れは水の慣性でそのまま海の中にも続くわけです。淀川@大阪湾みたいな部分は波(浪)が速く,その結果,航行が難しくなるわけです。そこで,淀川@大阪湾の部分を船が通過しないように,淀川@大阪湾の両側に澪標を立てたそうです。船長は澪標を横断しないように航行することで難破する危険性はなくなりますし,淀川を上るときには,澪標に沿って航行すれば京へ向かうことができた訳です。
このように,大量の水を運ぶ淀川は大阪湾に危険をもたらしたのですね。
そこで,大阪湾の浪は速いので
浪速(ナミハヤ)→ナニワ
となったのです。浪または波が速いので航行が難しいので
難波(ナンバ)
という地名が生まれたんです。難波は「ナニワ」とも読まれました。澪標のマークは阪急や京阪の社章,高槻市の市章にも使われています。偉大なる澪標に経緯を表しましょう。「身をつくす」必要はありませんが…
【地名シリーズ】
兵庫,武庫,六甲–日本の地名
金沢–日本の地名
十条–京の地名
寺町–京の地名
出町柳–京の地名
御土居(おどい)–京の地名