英語の構造―その奥に潜む原理
今日は朝から接骨院通いです。左京区の高原町の接骨院で治療を終えてから百万遍の吉岡書店まで歩きました。そこで古本を何冊買いました。その一つがこれです。英語学の入門書です。こういうのをKCGでも授業してみたいですね。
内容はだいたい知っている内容です。目次とコメントをあげておきましょう。
【目次とコメント】
1 英語から言語学へ(小野隆啓)
これは言語学へのイントロダクションです。
2 音の構造(山根典子)
言語学の三大柱の音韻論です。本書のなかにあるA Tip for Thinkingがなかなか役立ちますね。
3 語の構造(小野尚之)
この章の内容は辞書にも書かれていない内容です。一読の価値があります。
4 文の構造(近藤真、藤本幸治)
言語学の三大柱の2つめの統語論(シンタックス)です。俗に言う文法です。本書では生成文法が扱われています。
5 意味の構造(蔵藤健雄、田畑圭介)
言語学の三大柱の3つめの意味論(セマンティックス)です。意味論が好きな人は統語論が苦手ですし,統語論が好きな人は意味論が苦手です。いわゆる理系の人は統語論,文系の人は意味論をそれぞれ好むでしょう。僕は意味論派の英語教師にはもう習いたくないんですね。できればKCG学生に統語論的な英語教育をしてみたいですね。
6 談話の構造(桐生和幸)
この章は普通の教科書ではお目にかからないので一読の価値あり。
7 言語と社会(島田将夫)
社会言語学。英語では使う階級によって言葉が違うと言われているので,重要ですね。
8 言語と心理(松岡和美)
生成文法で言語を認知する過程を述べています。これもなかなかすごいですね。ちなみにp215に言語処理の流れがあります。
音の処理→語の処理→統語構造の処理→意味解釈→語用論的解釈
となっていますが,これはコンパイラの処理過程に似ていますね。
字句解析(音,語)→構文解析(統語)→意味解析→最適化(語用論的解釈)
日本の英語教育は字句解析の部分でぽしゃっていて,構文解析はまったくなく,意味解析を適当にごまかして,最適化はしないというのが,私の見方ですが,読者のみなさんいかがでしょうか?
9 英語の歴史(神谷昌明)
英語の歴史が古英語からノルマン支配,母音の大移動まで書かれています。
【参考文献】
英語の音韻論の入門なら以下の本。
Amazon.co.jp: フォニックスってなんですか?: 松香洋子, 堀その子: 本→書評はこちらへ。フォニックス | オブジェクト脳@kcg
英語の生成文法に関しては以下の本。
Amazon.co.jp: 英語の構造 上 (岩波新書 黄版 133): 中島 文雄: 本
Amazon.co.jp: 英語の構造 下 (岩波新書 黄版 134): 中島 文雄: 本
【参考】
古英語 – Wikipedia
中英語 – Wikipedia
大母音推移 – Wikipedia
フォニックス | オブジェクト脳@kcg
語源が詳しい英英辞典 | オブジェクト脳@kcg
生成文法と漢字音に関する中国語学習書 | オブジェクト脳@kcg