この本の書評を以前書いたのですが,再度追加します。
【ブログ内参照】
暴走する「世間」で生きのびるためのお作法
まずは,この著者が日本世間学会を設立していたことが判明しました。
日本世間学会 – The Japanese Sekengaku Society
さらに,面白い書評も発見。ドイツ在住の日本人が書いています。
面白い部分を抜き書きしましょう。
「世間」と「社会」は違います。ヨーロッパにも「世間」はあったらしいのですが,800年ほど前のキリスト教の支配のときに否定されて「社会」に変わったそうです。ヨーロッパでは都市化の要素も加わり,新たな「社会」という人的関係が生み出され,個人が形成されたという。日本ではそうした「社会」とは異なる「世間」という人的支配が続くのですね。
世間は「本質的にいえば、三人以上の関係において存在する共同幻想、つまり複数の人間が持つ共同観念で」(p19)
社会は「バラバラの個人から成り立っていて、個人の結びつきが法律で定められているような人間関係」(p17)
私は、恋愛とは「自分では絶対に制御できないような他者との出会いによって、ボロボロになることだ」と思っている。あるいは,「話せばわかる」とかいったような,一切の民主主義的な努力が報われない世界であることが,恋愛の経験であると思っている。(p.111)
【目次】
第1章 「世間」のオキテを見極めよう―KYとは何か
第2章 学校のお作法―「プチ世間」の登場
第3章 お仕事のお作法―「お世話になっております」の不思議
第4章 ケータイのお作法―即レスの圧力
第5章 恋愛のお作法―「結婚しなくていいですか」の正論
第6章 信心のお作法―お盆とクリスマスが同居する謎
第7章 格差社会のお作法―「妬み」の構造