新学習指導要領 その1

 本日,IEC情報教育学研究会で学校教育における「統計学」の扱いの発表がありました。
 まず,2002年から中学数学の学習指導要領では統計分野はまったく消えました。また,2003年からの高校数学では数学Bの選択単元で「統計とコンピュータ」があり,数学Cで「統計処理」があるだけです。問題は,これらの単元を開校している高校があるのかという問題ですが,東京大学も京都大学もこれら2つの単元は入学試験の範囲に含めていないため,実は開校している高校はゼロと言われいます。
 こんな状況では行けないということで,脱ゆとり指導要領では統計分野(数量関係という領域)が中学数学で復活します。しかも標準偏差までありますので,これは第一次ゆとり教育前の1972年学習指導要領なみです。
 脱ゆとりの高校数学では選択単元になるため,どこも開講しないことが予想されます。これは大変です。
 ということで,統計学はいっそのこと,教科「情報」で取り上げるのいいのではというのが,本日の発表でした。私も,統計学は教科「数学」で取り上げるのでなく,「情報」で取り上げるべきだと考えます。そこでこのように私が結論づける前に,mathとmathematicsのちがいについて考えてみましょう。
 ここで,mathとmathemaicsの違いについて述べたいと思います。mathは計算,数式,具体的事例への数や計算の適用,数理的な推論をすべて含んだ科目で,日本で言う小学校の算数(arithmetic)や中学数学もmathと呼んでいて,mathematicsではありません。またアメリカでは高校数学も具体的な事例に基づいた数式の運用をするため,mathematicsではなくmathと呼ばれます。一方,日本の高校数学は具体的な事象への応用は基本的には考えないという立場をとるため,mathematicsを教えて,mathではないのです。こういう風に言えば,日本の高校数学では統計学を扱うのは基本的に無理で,統計に関する数式の扱いつまりいわゆる「数理統計学」しか扱うことはできなことになるのです。具体事例への応用となれば,教科「情報」がいいと思います。

【新習指導要領】
高校の新学習指導要領
高校の学習指導要領 新旧対応表
数学のリメディアル教育のために(学習指導要領大研究)

【ブログ内参考】
ゆとり教育の歴史 その3
ゆとり教育の歴史 その2
ゆとり教育の歴史 その1

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