今日は奈良県に行きましょう。ボタンで有名な長谷寺です。
なぜ,長谷(ながたに)と書いて「はせ」と読むんでしょうか? 本学には何人かおられる長谷川先生もご存じないようですね。
長谷寺の住所は奈良県桜井市初瀬731-1です。「初瀬(はつせ)」なんです。初瀬,初めての瀬,つまり川の始まりを指すんですね。川の上流はどんな形状でしょうか? 中学校の理科の参考書や地理の教科書にあったかもしてませんが,V字谷です。長い細い谷なんです。
初瀬(はつせ)=長谷
というわけです。「はつせ」はいつしか「はっせ」と読まれたんでしょう。そもそも旧かなづかいでは,「つ」と「っ」の区別はなかったのです。「はっせ」もいつまにか「はせ」になり,最後には「初瀬」とかいても「長谷」とかいても「はせ」と読むようになったのでしょう。
最後に枕詞(まくらことば)についても見ておきましょう。
「母」だったら「垂乳根の」が枕詞です。「明日香」は「飛ぶ鳥の明日香」がいつのまにか「飛鳥」で「あすか」と読むようになったん。そして 「長谷(ながたに)」も枕詞です。この場合は「長谷の初瀬」でした。それで「長谷」を「はせ」と読むように なったという説明もあります。
【参考サイト】
長谷寺
V字谷 (googleの画像)
【地名シリーズ】
淡路,十三,梅田–日本の地名
なにわ,なんば–日本の地名
兵庫,武庫,六甲–日本の地名
金沢–日本の地名
十条–京の地名
寺町–京の地名
出町柳–京の地名
御土居(おどい)–京の地名