「不都合な真実 」がノーベル賞

不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション

 昨日から風邪がひどくて,本日はついにお休みをいただきました。ほとんどずっと寝ておりましたが,やっとブログを書く元気が出てきましたので,書きます。

 私はこのブログでアル・ゴア「不都合な真実 ECO入門編 地球温暖化の危機 」を紹介しました。絵や写真がきれいです。
【ブログ内】
環境問題を考えよう

 しばらくして,著者のアル・ゴアさんがノーベル賞を受賞されたのですが,このブログで報告を忘れていました。
【出典】
asahi.com:ノーベル平和賞にゴア氏ら 環境問題への取り組み評価 – 国際

 私はノーベル賞なんか意識していなかったのに,この本を取り上げた直後にノーベル賞が話題になってビックリです。そこで今回はDVDを紹介します。大変すばらしいプレゼンテーションです。これは参考になります。
 アメリカの大学では文系でも数字,図,表を用いて議論することは当たり前ですが,日本の文系大学ではそのようなことはほとんどトレーニングしません。このDVDでは文系のアル・ゴア(文学部出身)が数字,図,表を用いてプレゼンテーションするので英語の勉強にも最適です。日本の高校生もみてもらいたいですね。

【amazon】
不都合な真実:: アル・ゴア,枝廣 淳子
An Inconvenient Truth: The Planetary Emergency of Global Warming and What We Can Do About It: Albert Gore

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「文科系」が国を滅ぼす

「文科系」が国を滅ぼす―この国の明日に希望はあるか

 早稲田大学で教鞭をとる大槻義彦氏(テレビでお馴染みですよね)が日本の大学のあり方を告発する本です。文科系エリート達(実は東大法学部のこと)が支配するこの国が滅びつつあるのは,生ぬるい大学教育に責任があるとし,真の文科系エリートを育てる新しい大学体制を提案しています。
 この本がいいのは,東大理系出身の大槻氏が同じ東大文系を批判するから貴重な本なのです。もし早稲田大学出身者が東大法学部を批判しても「負け犬の遠吠え」で終わりです。さて,現在の大学在学中の世代では大卒文系は同世代の35~40%に達しており,「文系国家」とも「書類立国」ともいえるほど事務屋さんを製造しているのです。
 はっきりいって,大学の文科系は教員も学生も楽すぎます。アメリカの文科系なみに勉強すれば,日本の文科系はもっと輝くことでしょう。私は,理系離れをどうにかするよりは,文科系離れを起こすほど文科系のカリキュラムを厳しくして,文科系教員が学生をしごけば,「理科系の方がいいなあ」となると思います。
 高度成長期に,理科系は工業高校卒高専卒大学理工系学部卒の3段階を設けたのです,文系にはこの区分がありません。このことは安易に大卒文系を増やす要因となったはずです。事実,「学歴社会新しい文明病 (岩波現代選書)」によると,発展途上国では学歴を分け与える装置として大卒文系が機能するそうです。「大学=学歴配給装置」なんですかね。京都情報大学院大学に来なさい。学歴以上の実力をつけてあげましょう。

【目次】
第1章 ぶざまな文科系エリートたち
第2章 理工系エリートのひとり勝ち
第3章 理工系と文科系の深い溝
第4章 あまりにお粗末な日本の大学院
第5章 欧米の大学院でのエリート教育
第6章 間違いだらけの日本の「高等教育」
第7章 大学・大学院大改革への提言

【ブログ内】
学歴社会について考えよう! 「学歴社会新しい文明病 (岩波現代選書)」
それでも大学に行きますか?–その2 「最高学府はバカだらけ」
それでも大学に行きますか? 「最高学府はバカだらけ」

【参考】
教育問題
 

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昔の地図を見るサイト

 MDDロボットチャレンジも終わりましたので,いよいよ鉄道の記事を書こうかと思います。それで探しておりますとおもしろいサイトを見つけました。昔の地図のサイトです。

Old Map Room

 このサイトでは同地点の明治,大正または昭和戦前,昭和戦後(高度成長期前),平成の各時代の地図を掲載しています。一度ご覧ください。

【参考】
日本地図センター
電子国土ポータル
2万5千分1地形図の作成(国土地理院)

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学歴社会について考えよう!

学歴社会新しい文明病 (〈特装版〉岩波現代選書)

 本書は1978年に初版の第3版(1998年)です。1978年当時の日本は受験戦争が真っ盛りで,このころは小学校では集合論を教られていて,落ちこぼれが続出し,1980年からゆとり教育が実施される直前です。
 日本では教育が選別機能によって抑圧され,一片の卒業証書のために競争する「学歴社会」ができつつあったのですが,大学進学率は15~20%の間ぐらいでしたので,「日本の大学制度はよくできている」と本書の著者はほめています。しかるに本書の出版された同じころの1976年(昭和51年)4月1日に施行された私学助成振興法(私学助成法ともいう)によってどんどん私立大学が出来たのは周知の事実です。
 まずは目次をご覧ください。

【目次】
第1部 診断
 (問題の所在;イギリス;日本;スリランカ;ケニヤ;後発効果)
第2部 常識的な対策
 (教育と開発―学問的論争;教育と開発―政策の変転;キューバの学制改革;タンサニアの学制改革;スリランカの学制改革)
第3部 よりラジカルな解決策
 (脱学校論;ささやかな提言;中国とタンザニアにおける改革;振り返って―平等と多様性)

 学歴社会は新しい文明病であり,その克服なしには人間社会の未来はありえないというのが本書の主張です。日本,イギリス,発展途上国の実態を歴史的に検討し,その比較・分析を通して本来の教育機能のための方策を具体的に提言した名著です。なお,本書は現在絶版ですので,図書館で借りるときは第2版や初版もあわせてお探しください。それぞれの版で表紙はまったく異なります。
 この本に関するご意見は読後にお書き込みいただけると幸いです。

【同書籍】
学歴社会 新しい文明病 …1990年出版の第2版。黄色の表紙

学歴社会新しい文明病 (1978年) (岩波現代選書〈3〉)…初版

Amazon.co.jp: The Diploma Disease: Education, Qualification And Development: Ronald Philip Dore: 洋書…原著

【参考】
高等教育の再編成—専門学校から大学への編入—
「アキューム」9号 「初代学院長の思い出」…「共通一次試験教育の国家統制で学校のランキングを公にするものだ。」,「高校までの成績で入学を差別するシステムにはくみしない。」という名言があります。

【ブログ内】
それでも大学に行きますか?–その2
それでも大学に行きますか?

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社会人の常識になればいいのに…

権威と権力―いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 (888))
 「最高学府はバカだらけ」であったように,大学が高校の教育を信用していないように,産業界は大学の教育を全く信用していないのです。このことでビックリするのは,入社前教育の一環として,内定した会社に読書感想文を送らないといけないというものがあります。私のゼミの学生(高度専門士の学科)の学生はIT系の企業に内定して読書をしているというのです。ふむふむ,今の学生さんは小学校で作文の指導や読書感想文の指導をほとんど受けていない(ゆとり教育の一環です)ため,企業内教育で昔の小学校でやっていたような教育が必要なんですね。
 さて,私は大学院生に読書を勧めています。まずはこの本をすすめました。「権威と権力」の違いなんて社会人ならば常識にするべきでしょう。私は高校生のころにこの本を読んだのですが,大変新鮮な感じでした。みなさん,この程度の本は読みましょう。

【ブログ内参照】
それでも大学に行きますか?–その2
それでも大学に行きますか?

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英語学習用に最適

PowerDVD 7 Deluxe デスクトップシアター アップグレード版

 オブ脳英語教室ではまだ取り上げていませんが,DVDで英語を見ながら英語の勉強をするのです。ビデオテープと違って好きなチャプターから再生できます。音声は英語も日本語もOK。字幕は英語も日本語もOK。音声=英語,字幕=日本語で見てから,音声=英語,字幕=英語で見るのが普通のパターンです。たまに,音声=日本語,字幕=英語にするとおもしろいです。「日本語でのこういう表現は英語ではこういうのか?」とかがよくわかります。
 音声は英語で日本語の字幕と英語の字幕が同時に見れてもいいなと思っていると,このソフトはバイリンガルキャプション機能を装備したのです。つまり日本語と英語の字幕が同時に出せるんです。
 さらに,セルフリピート機能といって,ワンクリックで気なるセリフを何度も再生できるのです。これらは英語学習のために装備した機能なんです。これはいいですね。
 私はVistaで動くDVD再生ソフトを探して昨日これを買いました。すでにPowerDVDを持っていたのでアップグレード版で対応しました。4000円くらいで済みました。WinDVDなど他社のソフトを持っている場合は乗り換えバージョンをお買いください。きっと,語学学習にはもってこいです。
 映画英語の解説本はスクリーンプレイ社またはアルク社から出ています。以下のサイトにシリーズがあります。

【参考】
PowerDVD 7の機能紹介
スクリーンプレイ社の本
アルク社の本

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それでも大学に行きますか?–その2

大学より専門学校がトク 2008年版―就職で専門学校が圧倒的に有利な理由大学に挑戦する専門学校の夢と情熱 (2008)

 「それでも大学に行きますか?」で書きたいことが多すぎたので,続編を書きます。「最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318) 」はあまりにもインパクトが大きすぎて,ネット上に書評がたくさんありますね。まずはそれを紹介します。そして,専門学校の特徴を述べます。専門学校は文部科学省の厳しい管理下に置かれていませんので,世間の動向や学生の事情にあわせてカリキュラムの改訂が容易に行える点がすごいのです。
 たとえば,現在の4回生が入学したのは2004年です。大学で2004年度からカリキュラムを変更した場合,その策定は2002年度に行うことになります。2005年度あたりから組込み関連の需要が増えているので,組込み関連の授業を開講したいと思っても,開講できません。2004年度に改訂したカリキュラムは最短でも2007年度まで続けることが文部科学省の決まりです。日本の大学という制度は,いくら学生の要望や産業界の要望で新設科目があっても,在学生は恩恵を受けることが不可能で,そのい要望は卒業後の後輩の時代にようやく反映されるのです
 専門学校は違います。2004年度入学の学生のカリキュラムに変更が必要であれば容易に追加開講が可能なんです。これはすごいのひとことです。

【参考】
大学崩壊と学力低下で専門学校の時代が来た,中村 忠一

 
【「最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318) 」の書評】
『最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情』 (大学プロデューサーズ・ノート,マイスター)
山内太地公式ウェブサイト 電脳科学大学
10/27(土)検証:大学・最高学府はバカだらけなのか否か (大学と教育ビジネスtyamauch.exblog.jp)…電脳科学大学のブログ
Information Design?!: 「最高学府はバカだらけ」という本
書評 – 最高学府はバカだらけ (404 Blog Not Found)
最高学府はバカだらけ 石渡嶺司 No.12 (文徳の読書日記)

石渡嶺司『最高学府はバカだらけ?全入時代の大学「崖っぷち」事情』(光文社新書,2007年)(historical amnesia 失敗はなぜ繰り返すのか)
Dr.Eigenvalueの異常な愛情 – 最高学府はバカだらけ…Eigenvalueつまり固有値なんですね。
ΓΝΩΘΙ ΣΑΥΤΟΝ-購書&購盤日記- 《読書》石渡嶺司『最高学府はバカだらけ-全入時代の大学「崖っぷち」事情-』光文社新書
cat’s cradle: 最高学府はバカだらけ
最高学府はバカだらけ 全入時代の大学「崖っぷち」事情 石渡嶺司著 光文社新書 740円 読んだ本の内容まとめ/ウェブリブログ
これ☆ほしい – 最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318)
石渡嶺司『最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情』 – ひろの日記帳@神戸芸術工科大学…本書に登場する香山リカ先生がおられる大学です。

 この本に関するご意見は社会的影響力が大きすぎますので,トラックバックもコメントもお受けいたしかねます。大変申し訳ございませんが,各自で本書をご購入されて各自で参考文献などを読んだ上でご判断くださることを切に願いします。

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それでも大学に行きますか?

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318)

 すごい本を見つけました。この本の書評を書くと,毎日のブログのネタになるほどの量があります。あえて書きませんが,皆さん読んでみてください。受験生,大学生,社会人,保護者・高校教員,大学教職員が読者ターゲットです。amazonには目次がないので以下に掲載します。

〈目 次〉
はじめに
第一章 アホ大学のバカ学生
第二章 バカ学生を生む犯人は誰か?
第三章 バカ学生の生みの親はやはり大学!?
第四章 大学の情報公開をめぐる二つの講演
第五章 ジコチューな超難関大
第六章 「崖っぷち大学」サバイバル
終章 バカ学生はバカ学生のままか?
あとがき
参考文献
大学ギョーカイ用語集

 本書が扱っていない点は「留学生,そして社会人学生という,各大学が今後もっとも注力すべきであろうステークホルダーの欠如」(404 Blog Not Found)にあるとおりです。そういえば,京都情報大学院大学は留学生,もと社会人も多数入学しており,学生の多様性は学生にいい影響をもたらしています。一般企業での常識,海外での常識,外国語に対するモチベーション向上などは,京都情報大学院学大学の学生に自然に身につく環境が備わってくるのです。企業の研究所以外の企業出身の教授も多数おられるので,産業界とつながりも大きいのが本学の特徴です。バカ学生が誕生しにくい環境にあります。外部評価も高いですね。

【英文版,中文版大学紹介】
The Kyoto College of Graduate Studies for Informatics
京都信息大学院大学

【産業界とのつながり】
NAIS講演会「情報システム部門の役割と課題」
NAIS特別講演会「松下電器におけるIT経営革新」
本年度,早くも3名の学生が 「SAP認定コンサルタント試験」に合格!…あの超有名なSAPの資格が取れるんですよ!!!
 
 本書が扱っていないもう一つの点は専門学校の実態を全く調査していないことです。この好景気の時代に大卒者の進路先が就職または専門学校となっているのです(本書でもふれています)。したがって専門学校へも取材に行くべきだったのではないでしょうか? 以下の文献を参考にしてもらえると幸いです。大学だけが高等教育機関ではないのです。キーワードは「高度専門士」です。
 本書の読者の方は「卒業生が最先端」のキャッチフレーズで大学を凌駕することでお馴染みの京都コンピュータ学院の姿を見に来ましょう。オープンキャンパスにくれば,「ああ,大学ってなんだろうか?」と思います。お申し込みははこちら→ページの最後にメールアドレスと電話番号があります。

【専門学校に関する文献】
大学崩壊と学力低下で専門学校の時代が来た
大学より専門学校がトク 2008年版―就職で専門学校が圧倒的に有利な理由大学に挑戦する専門学校の夢と情熱 (2008)

 この本に関するご意見は社会的影響力が大きすぎますので,トラックバックもコメントもお受けいたしかねます。大変申し訳ございませんが,各自で本書をご購入されて各自で参考文献などを読んだ上でご判断くださることを切に願いします。

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ストラテジ系知識の勉強のために

システムアナリスト合格完全対策〈2005年版〉

「みちしるべ」によりますと,S=ストラテジ系知識M=マネージメント系知識T=テクノロジー系知識が出題されることになります。ストラテジ系知識の最高峰がITストラテジスト試験(現在のシステムアナリストおよび上級シスアド)です。そのストラテジ系知識の超オススメ参考書がこれです。ストラテジ系知識を,効率的に学習ができるよう各項目2ページ単位で要点整理されています。目次は以下の通りです。参考文献(つまり出典もと)が充実しています。

目次:
第1章 試験の概要
第2章 経営戦略と情報システム
第3章 情報戦略の立案
第4章 情報システム構想の立案
第5章 システム計画の立案
第6章 開発プロジェクト計画への支援
第7章 システム評価と情報化コンサルテーション
第8章 ビジネスプロセスと情報システム
第9章 システムアナリストに不可欠なITキーワード

 この本の出版元の経林書房はすでに倒産しています。入手のときは是非amazonでどうぞ。2005年版が売り切れたときは2004年版でもOkですが,2003年以前からは内容が異なります。

【ブログ内参考】
六年一貫…トラックバック付き
マネージメントの勉強をしよう!
京都情報大学院大学 ニュース&ブログ
あたらしい基本情報技術者試験
応用情報技術者試験
CIO向け国家試験
教育エンジニア

【出典】
情報処理技術者試験 新試験制度の手引 ― 高度IT人材への道標 みちしるべ)―(案)…本記事では「みちしるべ」と書きます。

【参考】
カリキュラム (京都情報大学院大学)…日本で最初の「応用情報技術」研究科

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植物の細胞壁

 植物の細胞壁の構造の3次元CGを作ってほしいという要望をKCGに依頼されてきた大先生がおられます。そこで,本日その相談を受けました。
 そもそも,動物細胞と植物細胞の最大の違いは何でしょうか? それは細胞壁の有無です。植物細胞は細胞壁という固い壁があるために,細胞をブロックのように積み上げることができます。草木は骨格がなくても立っているのはそのためです。動物細胞はには堅い殻はないので,積み上げることができません。だからある程度の大きな動物には骨があるのです。
 さて,この不思議な細胞壁セルロース(紙の成分と同じ)からできています。セルロースは水にはとけません。しっかりしています。このセルロースの分子が束になって細胞壁の骨格をつくっているのですが,案外複雑な構造をしているのです。ここで私のモデル化する力が発揮されます。また,セルロースの化学式が出てくるので,元化学者の私は少し興奮気味です。草はセルロースが一年でだめになってしまい,枯れるのですが,木は内側に向かって堅くなって残っていくのです。
 castor先生も同席して一時間ぐらいのディスカッションを終えて,大先生はお帰りになりました。久しぶりにアカデミックサイエンティフィックというべきか)な感じでしたね。

(注)
 このブログ内のMDDロボットチャレンジもアカデミック(情報処理学会主催)ですが,何か雰囲気が違いますね。自然科学情報科学の違いでしょうね。

【参考】
細胞の構造 (NHK 高校生物)

【出典】
The Science And Lore of the Plant Cell Wall: Biosynthesis, Structure And Function (Brown Walker Pr, 2006)

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